十七話目
カジュアルにそんな考えで動こうする。
その時だった。
眠りの魔法が解けたのだろう。
屋敷の中がザワつきはじめる。
サクッと終わらせよう。
俺は短剣を拾おうと、歩み寄ろうとした。
その時だ。
殿下達の泊まっている部屋のドアが開いた。
続いて、悲鳴。
殿下達の世話を任されていたであろう、メイドの悲鳴だ。
黒ずくめの人物の死体が見つかってしまう。
当然、大騒ぎになってしまった。
殿下やその母君も、メイドの悲鳴で部屋から出てきてしまう。
こんな中で、さすがに自害してまでやり直すことは出来なかった。
※※※
数日後。
俺は掲示板へ報告の書き込みを行う。
スレ民達は、スレッドを消費しないよう気を使ってくれていたので、新しくたてた掲示板は残っていた。
――――――
265:スレ主
とまぁ、そんなわけで
いろいろ大変だったんだ
――――――
何があったのか一通り書き込んだあと、俺は現状を簡潔に説明した。
度重なる暗殺未遂騒ぎ。
それも殿下、というよりも殿下の周囲へ暗殺未遂が集中しすぎていることに、現龍皇も気づいたのである。
今日までの数日間、俺は大人たちから質問攻めにあっていた。
懇切丁寧に俺は、なにがあったのか説明した。
その際、黒ずくめの人物を無力化しようと【星灯】を使って、相手は観念して自殺してしまった、と正直に話した。
足を折ったことは、怖くて逃げようとしたときに思わず踏んずけてしまった、ということにした。
とりあえず、それで大人達は納得してくれたのだった。
黒ずくめの人物が口にした、【記載】だの諸々、俺に関することは伝えていない。
伝えても混乱させるばかりだと思ったのだ。
それに、それを伝えるべき存在は他にいる。
ちなみに、捜査は続行中である。
しかし、誰が暗殺の首謀者なのかはわからないままである。
――――――
270:考察厨
(´-ω-`)ナルホドナ
記載、記載かぁ
それに、スレ主は本来存在しないはずって、暗殺者は言ったんだよな
271:スレ主
(*´・д`)-д-)))ソゥソゥ
もうなんのことかわからなくて
273:名無しの転生者
>>272
いや、ちっとは頭働かせようぜ
この程度の情報なら、考察厨じゃなくても推測くらいはできる
暗殺者は、本来のアイリスが存在していなかったことを知っているってことだ
でも、それが何故なのかは知らない
スレ主の転生や、そのアイリスとして生きることとなった事情を知っているのは、俺たちスレ民
そして、スレ主を転生させた神様だろ
でも、暗殺者はそれを知っていたわけだ
――――――
そうやって説明されると、情報が整理できて助かる。
しかし、ならばなぜ、暗殺者は俺が本来なら存在しない人間だと知っていたのか、ということになる。
その疑問をそのまま書き込んだ。
――――――
279:考察厨
さてね
280:名無しの転生者
捜査員からの調査報告待ちなんだろうが
果たしてスレ主にまで、その話が降りてくるかどうか
281:名無しの転生者
そもそも、最初の世界では誰にも気づかれることなく
皇子は闇堕ちしたんだろ??
捜査してすぐわかるもんかね??
――――――
正直、捜査でなにもかも解明されることは難しいだろう。
それに、俺にまで話を伝えてくれるかも考えにくい。
まだ子供だから、という理由で遠ざけられている。
事実、さっきも父上へそれとなく、殿下や母君の暗殺未遂について聞いたが、はぐらかされてしまった。
そのことも、正直に書き込んだ。
――――――
288:名無しの転生者
早くも手詰まり感、半端ないな
289:名無しの転生者
せめて、特定班とかスネークがスレ主の世界にもいてくれたらな
――――――
特定班?
スネーク??
疑問符が浮かぶ。
しかし、神様に与えられた情報が説明してくれた。
【特定班】は、わずかな手がかりから、たとえば個人の情報や、事件の真相を執念深く突き止める者たちの総称。
【スネーク】とは、何かがおきている場所、たとえば事件事故現場や、特定の組織、あるいは話題になっている店等へ好奇心から実際に赴いて、こっそり入りこんで潜入調査のようなことをし、それらを実況、あるいは報告する者たちの総称であるらしい。
これらを自称する者たちは、【渡航者】の中にもいて、書き込みする際はわかるようにコテハンでその名称を使うらしい。
――――――
291:名無しの転生者
たぶん、居るんだろうが
この掲示板に気づいてないか
ROMってるかなんだろうな
292:考察厨
居たとしても
スレ主がいる国の、首都、皇都?王都?
にいるかは運だろ
293:スネーク
壁|ω・)ハイ ヒョッコリハン
294:スネーク
呼んだ?
σ(゜Д゜*)
――――――
ん???




