表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【やり直し】死んで、女の子に生まれ変わって自分を殺したやつと婚約した件【人生】  作者: 稲村つむじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/19

十六話目


どうやら賊は一人のようだ。


急ぐ。

殿下達のいる客室へ、駆ける。


長い廊下。

そのさきに、その人物はいた。


真っ黒い装束の人物だ。

頭と顔も黒い布で覆われている。

目だけは流石に見えているが、それだけでは種族まではわからなかった。


黒ずくめの人物は今にも殿下達のいる部屋のドアノブへ、手をかけようとしているところだった。


俺は気配を消したまま、その人物の頭へ飛び蹴りをした。


蹴りが当たる寸前で、俺の事に気づき避けられてしまう。


「チッ」


淑女としては失格な舌打ちが、思わず出てしまう。

黒ずくめの人物は、俺をマジマジと見つめてきた。


「お前は」


くぐもった声だ。

男か女かもわからない。


「……」


俺はすかさず、突進をかます。

そのまま、小さい体を利用して急所へと蹴りを繰り出した。

性別に関係なく、股間は人体の急所だ。

たとえ相手が女性だったとしても、攻撃されれば激しい痛みが伴うはずだ。

しかし、速さと重さが伴っていないのか、ひらりと避けられてしまう。


「記載のない人物、か?」


黒ずくめの人物がそんな言葉を漏らした。


は??


「あなたは何者です?」


気にはなったが、とりあえず対話を試みる。


「……」


「ここがサーヴェ侯爵家と知っての狼藉ですか?」


「……なぜ、存在している??

お前は、アイリス・サーヴェだ。

そうだろう??」


「質問をしているのは、こちらです。

我が家の者達になにをしたんですか??

そして、あなたは誰です?」


「……」


「答えなさい」


「奇跡の子、アイリス・サーヴェ。

なぜ、お前は存在している??

お前は、()()()()()()()()


「は?」


「どこにもそんな記載はない。

なかった。

今まで、お前は存在しなかったはずだ」


記載?

記載って、なんのことだ。

戸籍のことか?

前世でも、この国でも戸籍が作られていた。

俺は書類上でも、ちゃんと存在している。

戸籍の記載が無い、と言いたいのだろうか?

そんなわけはない。

存在云々もよくわからない。


「お前は誰だ??」


黒ずくめは続けて言葉を投げてきた。


「……私もお聞きしたい。

あなたは何者です?

なぜ、殿下、いえ殿下の母君を傷つけようとしているのですか??」


黒ずくめの男は無言で襲いかかってきた。

それを避ける。

俺は言葉を続けた。


「知っているのですよ、殿下の心を傷つけ、闇に染めるために、殿下の母君に害をなそうとしていることを。

なぜ、そんなことをするのです?」


そこで初めて、黒ずくめの人物が動揺した気配が伝わってきた。


「あなたは、いった……」


最後まで言えなかった。

あっという間に、黒ずくめの人物は俺との距離を詰めたかと思うと、どこからか取り出した短剣で刺そうとしてきたのだ。

今度はヒラリ、と避ける。

身体強化をしているので、刺されても大丈夫だとは思うが、咄嗟に避けてしまうのはもう防衛本能とかそういうものなので仕方ない。


「嫁入り前の体に傷をつけようとするなんて、乱暴な方ですね」


さて、まずは生け捕りだ。

なんとしても、捕まえて情報を吐かせなければならない。


殿下と母君の顔が浮かぶ。

母君は殿下が楽しそうにお芝居を見ているのを、優しく見守っていた。

本当なら、あんな時間を過ごすはずの家族なのだ。

でも、それを壊そうとしている存在がいる。


それがこの黒ずくめの人物なのだろう。

殺してもいい気もするが、記載だのなんだのも気になる。

やはり、情報を得なければならない。


黒ずくめの人物を生け捕りにするには、多少痛めつけて弱らせなければならない。

しかし、この小さすぎる体ではそれは難しい。

なにより、相手も手練れだと理解できてしまった。

こうしている間にも、相手は短剣を手に俺を殺そうとしてくる。

的確に致命傷になりうる場所へ、短剣が繰り出される。

それをひょいひょいと避けて、頃合いを見計らって俺は魔法を発動させた。


星灯(ライト)!!!!」


ありったけの魔力をこめて、最大光量を黒ずくめの人物へ浴びせる。

黒ずくめの人物の目が灼かれる。

ふらり、と黒ずくめの人物が目眩を起こしたかのように体をふらつかせた。

それを見逃さず、俺は突進し短剣を蹴り落とした。

短剣は、黒ずくめの人物もそして俺でも届かない場所へ転がっていった。


黒ずくめの人物が倒れる。

その足を、思いっきり踏み抜いた。

骨が折れる音が響く。

これで逃げられない。


「ぐっ、ふ」


くぐもった呻き声。

激痛のはずなのに、悲鳴を上げないのは凄い。

俺は、星灯(ライト)を解除、消す。

それから黒ずくめの人物を見た。


「クソ、やられた!」


俺は素で吐き捨てた。

黒ずくめの人物が、血と泡をふいて死んでいたのだ。

毒薬を飲んだらしい。


せっかくの情報だったのに。

いや、待てよ?

またやり直せばいいんだ!


俺は、情報がほしい。

今後のためにも、この黒ずくめの人物が持っていた情報は必要だ。

なら、そのためにすることは決まっていた。

黒ずくめの人物が持っていた短剣が目にはいる。


よし、死ぬか。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ