第36話 メッセージの差出人と会う!
社交性を上げるために、ボランティアにやって来た。
床に倒れて騒いでいた男を運んだ!
部屋を出て、再び仕事に戻っていく。 さあ!仕事に戻ろう。
スマホの通知は、もう収まったみたいだ。 仕事をしながらだけど、メッセージの差出人も探してみようかな。
黄色い帽子に白い服、だっけ。 今、この区画の中にいるということなんだろう。 どこだ……?
しかし、探していくが見つからない。
私はゴミを拾い上げて、ため息をついてスマホを眺めていると、不意に声をかけられた。
「ねぇ君っ! どうかしたの?」
顔を上げると、女の子がいた。 軽い色の、夏服の学生服を着ている。 腕章をつけていて、また別の係員みたいだ。
私がさっきからウロウロしてたから、変に思って声をかけてくれたんだろう。
「ちょっと人を探してて……」
「どんな人? 迷子?」
「いや、全然関係ないんですけど……」
私は事情を説明する。 係員の女の子は熱心に話を聞いてくれた。 そして優しいことに、一緒に探してくれることになった。
「じゃあ、私も探そうっ!」
「え、いいんですか?」
「いいよいいよっ! そろそろ私たちの仕事も終わりの時間だし、ちょっと気になるしね。 あっ! 連絡先教えてっ」
女の子はそう言って、自然な笑顔を見せてくる。 明るい性格らしく、跳ねるような調子だ。 おぉ、なんか居心地がいいなぁ。
係員の女の子は、楓ちゃんというらしい。
私たちは連絡先を交換し合うと、手分けして探し始めた。 数分後、すぐに連絡が来る。
指定された場所に行くと、係員の楓ちゃんと、メッセージの差出人らしき人がいた。 黄色い帽子に白い服を着た女の子が、建物の影に座っている。
あら、本当に来てた。 というか、男かと思ってたけど女だったのね。
私は足を早めて近づいていった。 女の子はうつむいていて、表情が見えなかった。
覗くように顔をうかがいながら、私は声をかけていく。
「……SF大好きっ子さんですか?」
女の子は反応して、顔を上げた。 鋭い目をしていて、雰囲気が落ち着いている。 ボーイッシュで中性的で、肌がキレイだ。 あら、結構美少女じゃない。
問いかけに答えるように、女の子は一つ頷いた。
えーっと、これはどうしたらいいのかしら。 会ったはいいものの、女の子はうつむくだけで言葉も発さない。
私はぐるぐると頭の中で考えていると、周りの様子を見ていた楓ちゃんが言った。
「とりあえず、ご飯食べようっ! もう昼休みだし」
周りを見ると、午前の部が終わっていた。 会場内は昼休みになっていて、色んなところで弁当を売ったりしている。
私は3人分の弁当をその辺で買ってくると、3人で建物の影に座って一緒に食べ始めた。
メッセージを送ってきたわけを聞くべく、私と楓ちゃんは、食べながら女の子に話しかけていく。
「SFさんは、高校生ですか?」
「…………」
「君はどこから来たのっ?」
「…………」
「おっ、ロボットの形のウインナー、美味しいねっ!」
「…………」
何を言っても、女の子は俯いて黙っている。 うーん、まいったな。
とりあえず、何か思いつめているような、まともな精神状態じゃないことは分かる。 簡単に言えば、鬱っぽい感じだ。
だけどそれ以上は何もしゃべらないし、分からない。
しばらくすると、私たちは弁当を食べ終えた。
何も答えないから、私は途中から話しかけるのを放棄していたが、楓ちゃんはしつこく話しかけていた。
弁当を食べ終えると、女の子は少しの間うつむいて黙っていた。 楓ちゃんもいよいよ黙り込み、私たちは言葉を発さなくなった。
女の子を見つめて、何か言うのを待っていたが、やがて女の子は立ち上がり、小さく一礼して去っていった。
……え、終わり?
私は座ったまま、去っていく女の子の後姿を見つめる。
「……何だったんだろう?」
「うーん……大丈夫かなぁー……。 なんか、悩みを抱えてそうに見えたけど……」
楓ちゃんは立ったまま、心配そうにその後姿を見つめている。
確かに、そんな風に見えた。 悩みを相談したくて、私にメッセージを送ってきたのかもしれない。
とはいえ、何も喋らないんじゃ仕方がない。
私たちは何もできず、黙って女の子が去っていくのを見つめていた。
昼食も食べ終えたし、あとは午後の部をこなして、最後に片づけをして終了だ。
私は一人で会場の外に出ていくと、建物の別の陰の所で弁当を食べてる葉月たちを見つけた。
「あ、せんぱーい!」
私を見つけて、葉月は手を振ってくる。
葉月はいつも通りの様子で、仕事をこなすのに問題はなかったみたいだ。 あの冷たすぎるコミュニケーション様式でも、社交性はあると言えるのかもしれない。
私は2人に向かって近づくと、瑞が声をかけてきた。
「どうだった?」
さっきのSF大好きっ子さんのことを聞いているんだろう。 私はそばに歩いていきながら、首をひねって答えた。
「……会ったんだけど、何も話さなかった」
「どういうこと?」
私は横に座って、さっきの出来事を話した。 話を聞き終えると、瑞は考えるように黙り込んでいる。
「まぁ、いいんじゃないですか?」
葉月が口に物を入れたまま言う。 適当な口調で、どうでもいいって感じだ。
「いや、別にそういうわけじゃないですけど。 事情があるんでしょう」
そう言いながら箸を動かして、モグモグとごはんを食べている。 うーん、これでよかったんだろうか。
先輩の分も弁当ありますよ。はい。(葉月)




