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第22話 アパートで一緒にご飯を食べよう!

 田舎体験から数日後!

 アパートでみんなでご飯を食べることになった。

 私たち3人は、今日はこんな感じで集まった。 特に集まる伝言(でんごん)などもしなかったのに、変なものだ。

 私たちが一緒に動き始めてから、少し経った。 結局なんとなく活動してるわけだが、これでいいんだろうか。

 葉月は、こんな活動で満足なんだろうか。 やっぱり私には、小説の趣味(しゅみ)が合うという意味での、仲間が欲しいように見えるのだ。

 それとも、別に同類の仲間でなくとも、ただ一緒に活動できる人ならいいんだろうか。 私の実家の部屋で、葉月は一人で(さび)しかったと言っていたし。


 (みず)のことも、相変わらずよく分からない。

 田舎に行ったのを通して、多少は瑞のことが分かってきた。 だが、やはり行動が曖昧(あいまい)というか、何をしたいのかが見えないのだ。

 私たちは話すようにはなったが、特に話が合うわけではない。 ただ何となく一緒にいる感じに思えてしまう。

 今日は違うが、会って間もないころは、頻繁(ひんぱん)に自分の学校に行っているみたいだった。 最初に会った日もノートパソコンを持ち歩いていたが、最近はネット小説部には行ってるんだろうか。

 受験や将来のことで悩んでるとも言ってたが、話している限りでは悩んでる様子も伝わってこない。

 行動や振る舞いが雲のように(つか)みがたく、いまいち何をしたい人なのか分からないのである。


 そんなこんなで疑念はあるが、私もなんとなく一緒に活動している。 結局のところ、私にもこうして集まるのを否定する理由は見つからないのだ。


 ところでこの2人は、夏休み中はずっとヒマらしい。 葉月はヒマすぎて、夏休みの宿題はとうに終わらせているという。


「友達いないですからねぇ」


 葉月は寝転んで、スマホをいじりながら言う。


「やること他にないですから。 別に、勉強したいわけじゃないですけど」

「瑞は?」


 私は気になって、瑞に会話を振ってみる。 ペットボトルの水などを器用に使って料理していた瑞は、手元を見ながら答えた。


「私も終わってる。 ……やることないし」


 何ということだ……。 現代の学生は、なんと悲しいのだろう。

 かつての夏休みと言えば、遊びまくって宿題をギリギリで終わらせるのが風物詩(ふうぶつし)ではなかったのか。

 私は、ふと疑問に思ったことを聞いてみた。


「瑞って、学校で友達いるの?」


 寝転びながら、葉月がどうでもよさそうに代わりに答えた。


「どう見てもいないでしょう」

「少しはいるよっ!w」


 瑞は語気を強めて言う。

 本当か? 普段の瑞の様子を見ていると、なぜか友達と話している姿が想像できないのだ。

 私は頬杖(ほおづえ)をついて、改めて考える。

 しかし、夏休みがヒマねぇ……。 でも考えてみると、私も高校に通ってたらそんなものだったかもしれない。

 高校は遠くからも生徒が集まるから、親しい人がいたとしても、必ずしも一緒に遊んだりはしないように思えるからだ。

 ……いや、それでも充実(じゅうじつ)してる人も、中にはいるだろう。 今はネットもあるんだし、活動的になろうと思えばいくらでも活動できると思う。

 それもできずに、ただ夏の間中引きこもってるこの2人がただ可哀(かわい)そうなだけなのだ。ぶははっ!ww


「先輩、聞こえてますよ」



 そんなこんなを話していると、料理が出来た! 瑞は次々に、出来上がった料理を並べてくる。

 サバイバルみたいに紙皿を使って、料理をよそっている。 紙皿の上にはラップを()いている。

 これは災害時に避難(ひなん)した時のコツが含まれている。 災害の時には水が貴重だから、なるべく水を使わなくて済むように処理すべきらしい。

 食器を洗うのにも水がいるから、ラップを皿の上に敷いて、汚れたラップだけをそのまま捨てるのが良いということだ。

 それにしてもなんてことだ……瑞の料理スキルは想像以上だった。 キッチンもなく、火も使わなかったのに、次々にちゃんとした料理が運ばれてくるっ!


「うまい!」

「美味しいーっ!!」


 2人で心からの絶賛(ぜっさん)しながら料理を食っていると、瑞がむずがゆそうに笑った。 ()められて嬉しいんだろうけど……あれ、もしかして瑞って可愛いかも?


「おかわりもあるよ」


 そういって、瑞は余った料理を指し示す。

 おぉ、やったっ!w 食材は私が買ってないから、事実上これは食費の足しにできる。 ムフフ、ラッキー。 結構な量があるから、後からお腹がすいたときに食べよう。


 ピンポーン。


 3人で料理を食っていると、インターホンが鳴った。 あら誰かしら。 私は立ち上がって、玄関へと向かった。

 扉を開けると、銀杏(いちょう)がいた。


「おっす。これ」


 軽い挨拶(あいさつ)を投げてきながら、銀杏は紙の束を手渡してくる。 見ると、大学の授業の資料だった。

 聞けば銀杏は『地球環境科学部』らしい。 私が興味を示すと、授業で使った資料をやると言ってきたのだ。

 私たちが話していると、玄関に瑞が来た。


「銀杏さん」

「おう。 メシ食ってんの?」


 もぐもぐしてる私たち2人を見て、銀杏が聞いてくる。 私は聞き返した。


「お腹すいてんの?」

「銀杏さんも食べますか? 余ってるからいいですよ」

「マジかっ?! じゃあもらうわ」


 瑞が(さそ)うと、銀杏はすぐさま乗ってきた。 全く遠慮(えんりょ)せずに、ズカズカと入ってくる。

 銀杏は玄関を上がって部屋に入ってきながら、一人で大声で話しだした。


「いやー、田舎(いなか)よかったわー」「やっぱ自然を感じないと、人間だめかぁー!」「またどっか行きたいなぁー!」


 など、一人で誰にともなく言っている。

 たしかに、銀杏はあれから随分(ずいぶん)さっぱりした顔になった。 ずいぶん田舎体験が効いたらしく、行動にも瑞々(みずみず)しさみたいなものが感じられる。

 銀杏は汚い(たたみ)に座りこんで、小さな机に向かうと、その辺に置かれていた資料が目に入ったようで、手に取って(なが)めだした。

 その資料は、縄文時代のやつね。 最近新しい小説を書くにあたって、集めた資料である。

 銀杏はしげしげと資料を見つめている。 興味あるのかしら。


 私は食べながら、パソコンを操作しはじめた。

 ところで、私はまた新しい小説を書こうと思っている。 すでに3つの連載(れんさい)を同時にやっているわけだが、4つ目を書かざるを得ないのっぴきならない事情が出てきたのだ。

 この小説戦国時代には、新しいネット文学賞が次々に出てきているわけだが、なんと大賞に1000万も払うという太っ腹な賞が出たのだ!

 1000万て……それだけあれば遊び放題じゃないのっ!!wwふははw

 その賞は指定のテーマに沿って書かなければならず、今回のテーマは『生物』だという。

 生物ねぇ……。 人間も生物に含まれるんだから、ラブコメだろうが異世界ものだろうが理屈(りくつ)としてはあってるはずである。

 しかし、そういった『普通の』小説は受け付けないと明言(めいげん)されているのだ。 人間以外の生物に着目しなければならないらしい。

 猫とか犬とかの視点になって物語が展開するやつとか? うーん、でもそれは普通すぎるわね……。 私は天邪鬼(あまのじゃく)なのだ。

 ここは斜め下を(ねら)って、恐竜(きょうりゅう)とか書こうかと思っているところなのだ。

 目の前の画面には、博物館のホームページが表示されている。 その博物館は恐竜の骨格模型も展示していて、参考になると思った次第(しだい)だ。


「先輩、博物館なんて行きたいんですか?」


 気づけば、料理を食べ終えた葉月が(のぞ)き込んできていた。 相変わらず距離が近くて、振り向けば顔が当たりそうだ。

 本で知識を得るのは重要だろうが、私は実は本が好きではないのだ。 だって肩凝(かたこ)るし首痛くなるし、要は疲れるのである。


「先輩、ジジ臭いですね」


 葉月たちは、その賞のことは知らなかったようだ。 しかし(わけ)を話すと、話に乗ってきたっ!


「……そういうわけで、1000万の賞金の賞があってね」

「1000万っ!!!!フオアアアァァああぁっっ!ッ!!wwww」

「やるよっ!!! やるよ!やるよおおぉおっ!!Ww」

「よーっしっ! 私が大賞取ってやりますよっ!!!!1000万むはははははっっ!!!!!!wwwwww」


 この場の全員、単純である。 私も普段クールぶってるが、実は()が単純で流されやすいのだ。 狂気(きょうき)に笑いながら、みんなで博物館に行くことになったっ!

 明日の朝、駅の前で集合ね!(黒縁)

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