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第17話 大学で銀杏と再会!

 葉月たちと部活していたが、すぐに解散した!

 しょうがないので、散歩することにした。

 私は住んでいる場所を抜けて、散歩してみる。 少し歩くと、別の道に出ていった。

 ごちゃごちゃした住宅地っぽいところだ。 辺りには古いマンションや、大昔から変わってないような個人の店などが立ち並んでいる。

 雰囲気(ふんいき)は住んでいる近所と似ているが、車が通っている分、人の動きを感じられる。

 小さな商店街などもあるが、完全に(さび)れ切っている。 立ち並んでいる店は、一軒を除いてシャッターが下ろされていて、もはや商店街なのかも分からない。


 まったく、元気のない場所ねぇ。 最近の社会は低エネルギーだとは思うが、ここまで静かだと怖くなってくる。

 バカな明るさを発揮(はっき)している人とか、アホみたいに希望的なことを言う人が、もっといてもいいと思うんだけど。


 私は商店街を通り過ぎて、道を歩いていると、ある人の姿に目がとまった。 道のそばの草むらの中に、()もれるようにして倒れている男がいる。

 あら、今どき珍しいわね、こんな人。 そう思って見ていると、何かが記憶に引っかかるような気がした。


「あ」


 思い出した。 この男は、葉月たちとサークル系のオカルトイベントに行った時、建物の前にいた人だ。 私が話しかけたら、一方的に延々(えんえん)と話してくれた人だ。

 カンカン照りの太陽の下で、道端(みちばた)にわずかに生えている草の中に、男は倒れこむようにしていた。

 一体何をしているんだろう? 私はそう思いながら通り過ぎようとしていると、男はこっちに気づいて声をかけてきた。


「おぃ、よう」

「こんにちは。 ……何してるんですか?」

「いや。 何も」


 そういって男は、はあとため息をついた。 真夏というのに汗をダラダラとかきながら、草むらに横になっている。 本当に何もしていないみたいだ。

 顔を上げると、すぐ目の前には大学があった。 町の中だが、大きな敷地(しきち)がとられて建てられている。

 私たちが今いるそばに校門があり、古い校舎への道が続いていた。

 私は何となく聞いてみた。


「ここの大学の人ですか?」

「そう」

「ふーん……」


 私はぼうっと、立ち止まったまま大学の校舎を眺める。

 校舎は古くて、ぱっと見は人がいるのかも怪しい感じだ。 グラウンドもあるが、人はおらず、雑草が伸び放題になっている。

 最近ここに引っ越してきてから、たまに横を通るが、ここが人で(にぎ)わっている様子を見たことは無い。 でもたまに車が入ったりしているから、何もないわけではないんだろう。

 私はいつも、この場所を通るとき、ちょっとドキドキする。 私は高校をやめたが、大学にはいつか行きたいと思っている。 そんなわけで、少し(あこが)れみたいな感情があるのだ。

 私が黙って校舎を見ていると、男が言った。


「興味あるのか?」

「え……まぁ……」

「案内しようか」


 男はそう言うと、返事も聞かずに立ち上がった。 何が起きているか分からずボケっとしている私を置いて、ゆったりと歩き始めて大学へと向かっていく。

 私は(あわ)ててついていった。

 男を追いかけて校門をくぐり、敷地に足を踏み入れていく。

 おぉ、来たっ!w 実はこの校門を、くぐってみたいって散歩するたびに思っていたのだ。


 私はそのあと、しばらく男の後についていき、校舎をめぐっていった。

 男は、名前を銀杏(いちょう)というらしい。 大学3年で、理系の学部に行ってるらしい。

 前にオカルトイベント会場で話した時にも感じたが、銀杏は博識(はくしき)で、それを人に話す――もとい、ひけらかすのが好きらしい。

 校舎の中を歩いていると、銀杏はそのたびに、無駄(むだ)な説明をごちゃごちゃと加えていった。

 私のことなど見ずに、相変わらず一方的にしゃべってくる。 イライラするときもあるが、なぜか不思議と、私は心地よさも感じていた。

 呼び捨てしていいと言ってきて、結構フレンドリーな人でもある。 私は気さくな人と気が合うのもあってか、そういう意味でも居心地(いごこち)が良かった。


 しばらく校舎の中を歩いていると、大学の紹介は少なくなり、話す内容は次第(しだい)に銀杏自身の話になっていた。

 銀杏は研究に興味があるが、進路に悩んでいるらしい。


「最近、何やればいいのか分かんなくなってな。 今まで学んできたことも、自分に合ってないような気がするんだよ」

「ふーん……」


 階段を下りながら、私は適当に相槌(あいづち)を打っていく。

 銀杏は深刻な顔になっていき、歩くのが遅くなっていたが、ついに足を止めた。 いきなり(こし)を下ろして、階段の途中に座り込み、ひとりごとを言うように話し続けている。


「この方向でいいはずなんだよ。 でも、なんか違うんだよなー。 何なんだろうなー……」

「なん……なんですかねぇ……」


 私も仕方なく、階段の途中で立ち止まっていく。

 どうでもいいけど、さっき買ったキーボードのレジ袋を持ったままだ。 私はレジ袋の重さを感じつつ、立ったまま銀杏を見つめた。

 大学に入ってからの話なんて、私にはついていけない。

 さっき私は高校を中退したと説明したが、銀杏には関係ないみたいだ。 こっちの事情はあまり見えてないのか、一方的に語りかけてくる。


「学問自体も、変わっていくものだろ? 今はあるけど、昔はなかった学問なんかもあるんだよ。 今あるものだけで、全部が説明できるわけじゃないだろう」

「まぁ、そうですね」


 私は考えながら答える。 今ある学問に、自分に合ったものがないと言いたいんだろうか。 まあ、確かにその可能性はあるけど。

 銀杏は本気で悩んでいるようで、いよいよ頭を(かか)え始めた。


「もう、ダメだ……。 こんなこと言ってても、俺はグダグダ言ってるだけの奴なんだよ」

「ふーん」


 私は足が疲れて、一緒に階段に座っていく。 隣の銀杏は、手で頭を(おお)って、壁によりかかるようにして、一人で話し続けている。


「もう、どうしようもないんだよ。 俺はこのまま、ここで()ち果てるんだよ。 死体は焼いておいてくれ。 あぁ、俺なんか……。 俺なんか……」


 そう言って、地面に沈み込んでいきそうな勢いである。

 大丈夫か? 学問うんぬんの前に、心がまともじゃない感じだ。

 私は少しの間(だま)っていたが、いいアイデアを思いついた。 そうだ、これなら葉月や二見さんのことも、同時に対処できる。


「そうだっ! ちょっと、一緒に来てください」

「何?」

「いいから来いっ!!!!」

「ぎゃーっ!!!ww」

 ラーメン食べようっ!(黒縁)

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