最終話 「最後の笑顔」
宇宙。
音はないーー
光も届かない
その静寂の中――
二つの存在が対峙していたーー
終焉。
【セブンスピラーΩ】
そして――
その眼前に立つ一人の男。
【リント】
砕けた身体。
滲む血。
荒い呼吸。
それでも――
笑っている。
「……やっと終わりか」
目の前の巨影を睨む。
次の瞬間ーー
セブンスピラーΩが蠢き
黒が収束する!!!
世界を消し去るための――
最後の力。
同時に。
リントの中の光もまた――
極限まで高まる!!!
「……来いよ」
静かに構える。
その時――
遠くで…聞こえる。
ありえないはずの声……
「約束したでしょ……!!」
「死なないで!!」
「リント…!!」
キリカ。
コトハ。
ルディ。
確かにーー
届いている。
リントはそっと…
目を閉じる。
ふっと笑う。
「……悪いな」
そして…小さく呟く。
「その約束は――」
……
「守れそうにねぇわ」
だが――
すぐに顔を上げる。
その目にはもう迷いの色はない…
「でもよ…」
静かに…優しく…
懐中時計を握る。
「お前らの笑顔は――」
「絶対守る!!」
その瞬間――
脳裏に響く声ーー
ジンーー
『リント』
『どんな世界でも』
『笑っていられる男でいろよ…』
リントは笑う。
「ああ」
「分かってるよ……親父」
そして――
雄叫びと共にーー
リントの光が輝きを増す。
「――アルファ・フィストォォォォォ!!!」
同時に。
セブンスピラーΩがーー
終焉の力を解き放つ。
光と闇。
二つの極が――
衝突する。
一瞬!!
完全な静止。
次の瞬間――
ーー大爆発!!!!!
かつてない規模のーー
光が宇宙を裂く。
それは――
地球からも見えるほどの
巨大な光。
青い星の空に――
一条の閃光が走る。
そして。
全てが――
消えた……
何も残っていない…
リントも。
セブンスピラーΩも。
完全に――
消滅した。
――地球。
満天の星空の下…
優しく風が吹く。
穏やかな日常。
まるで何もなかったかのように――
世界は続いている。
だが…
海辺。
あの場所。
三人は立っていた。
キリカ。
コトハ。
ルディ。
……
波の音だけが響く…
キリカ
「……終わったね」
コトハ
「……うん」
ルディ
「……ああ」
短い言葉ーー
それだけで全て伝わる。
キリカが空を見上げるーー
リントの消えた空…
「……バカ」
小さく呟く。
「ほんと……最後までバカ」
震えている。
でも――
涙は流さない。
コトハがそっと言う。
「……帰ってきたよ」
キリカ
「え?」
コトハは胸に手を当てる。
「ここに」
静かに笑う。
ルディ
「……同意」
キリカはしばらく黙る…
そして――
ふっと笑う。
「……ほんっとバカばっかり」
その時ーー東の空に。
【一筋の彗星が流れた】
大気との摩擦で
燃え上がり…
宝石のように輝きながら
尾をたなびかせ…
そして消えていった……
カラン……
小さな音ーー
三人が振り向く。
そこに落ちていたのは――
リントの懐中時計。
キリカがゆっくり拾う。
手の中に収めるが…
温もりは――
もう…ない。
それでも…
強く握る!
「……帰ってきたじゃん」
小さく笑う。
コトハの目に涙が滲む。
ルディは静かに目を閉じる。
静かに夜風が吹くーー
――数日後。
街。
人々は笑い。
日常を生きている。
誰も知らないーー
世界が一度
終わりかけたことを。
そして――
一人の男が。
その全てを背負い
消えたことを。
だが――
一人の少女が空を見上げる。
コハク ソラ
「今日……空すごく綺麗だね」
「ありがとう…お兄ちゃん」
その視線の先ーー
青い空。
どこまでも広がる世界。
そのどこかで。
誰にも見えない場所で。
確かに――
“最後の笑顔”はーー
そこにあった。
― 完 ―
RINTO ―最後の笑顔― ~終焉の果てに在るもの~
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。
エピローグがございますので、もう少しだけお付き合い下さい。




