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第93話 「世界の裏側で」

街。



いつも通りの朝。



人が歩きーー

笑っている。


誰も知らない。


終わりが近いことを――



キリカ

「……ほんとに気付いてないのみんな?」



コトハが端末を見る。


コトハ

「うん」


「ほとんどの人はそうだね…」



ルディ

「……正常だ」



リント

「平和ってことだろ…」



キリカ

「違うでしょ!」



リント

「同じだ」


少しだけ強い言い方ーー



キリカが眉をひそめる。


コトハが静かに見る。



その時――



  「すみません」



振り返る四人。



見覚えのある顔。


「あの時は…

助けて頂き本当に

ありがとうございました」



キリカ

「え?」


「あの時……」



コトハ

「……あ!」


思い出す…


マリス化から救った人達。



「あなた達がいなかったら…」


次々と頭を下げる。



キリカが戸惑う。

「いや…その…」



リントが前に出る。

「気にすんな!」


軽く手を上げる。


「勝手にやったことだ」



笑う。


いつも通り。


でも――



コトハの目が細くなる。


キリカも見る。


違和感。



どこかーー遠いーー



人たちが去っていく……


「ありがとうございました!!」



静かになる。


タッタッ…


タッ…!


足音ーー


  振り向く四人。



そこにいたのは――



   【少女】



以前より少し成長した姿。


幼さは残るがーー

確かな“意思”を持った目。



ルディ

「……マリス…あの時の」



少女は少しだけ笑う。

「うん」


リントを見る。

「お兄ちゃん…

助けてくれてありがとう」


「私まだ名前…

言ってなかったね」


「私の名前は…」



 『コハク ソラ』



静かな空気。



コトハ

「……ソラちゃん」


ソラが(うなず)く。



キリカ

「今さら名乗るの?」



ソラ

「うん」


少しだけ間…


「だって…覚えてほしいから」



リントを見るーー



ほんの一瞬…

リントの表情が止まる。


でもすぐ笑う。


「覚えた!」


「ソラな」



ソラが嬉しそうに笑う。


「うん」



そして…


四人に手を振りながら

帰っていく。


「またね…」



キリカ

「……今日多くない?」



リント

「いいことだろ」



キリカ

「まぁね」



コトハが静かにリントを見る…



ルディ

「……お礼か」


「……分からん」



三人が歩き出すーー

リントが最後に続く。


少しだけ遅れて。




――その瞬間。


ーー キィィィン… ーー



世界が止まる。


音が消える。


色が落ちる。



リントだけが立っているーー


「……来たか」


背後の気配。


振り向かない。


「やっぱり親父か…」


静かな声。

      ――ジン。



ジン

「迷ってるな」



リント

「当たり前だろ」


「死ぬんだからな…」


静かに言う。



ジン

「逃げるか?」



リント

「さっきも聞かれたなそれ」


少し笑う。


「逃げねぇよ」



ジン

「なぜだ?」



リント

「決まってる…」


前を見る。


「アイツらがいるからだ」



ジン

「……そうか」


沈黙。



リント

「なぁ…」


「怖ぇよ親父…」


初めての言葉。…本心。



ジン

「……ああ」


「それでいい」


「恐怖を知らない者は…

強くはなれない」


「お前は自慢の息子だ」




ーー世界が戻る。


音が戻る。


色が戻る。


前を歩く三人。


リントが歩き出す。



キリカが振り返る。

「遅い!」



リント

「悪い悪い」


笑う。



でも――


キリカの目が止まる。


コトハも止まる。


ほんの一瞬…


二人だけが気付くーー



その笑顔がーー少しだけ

違うことに。



夕焼け。


影が伸びる。


世界はまだ…

何も知らない。



でもーー


確実に終わりへ進んでいる。



残された時間は


      あと(わず)か――

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


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