第92話 「いつもの一日」
青空――
海。
波の音。
平和すぎる光景。
リント
「……なんで海なんだよ」
キリカ
「いいじゃん別に!」
「最後くらい明るいとこ行きたいでしょ!」
リント
「最後とか言うなバカ」
キリカ
「じゃあ何て言うのよバカ」
リント
「……知らねぇよ」
コトハがクスッと笑う。
「いいじゃん海」
「キリちゃんっぽいし」
キリカ
「でしょ?」
ルディが海を見る。
「……広いな」
リント
「今更かよ」
ルディ
「……実際に見るのは…初めてだ」
沈黙。
キリカ
「はぁ?」
コトハ
「え?」
リント
「マジかよ!」
ルディは真顔。
「……映像では…見た」
リント
「相変わらず抜けてんな…」
キリカが笑い出す。
「何それ!」
コトハも笑う。
「ちょっと新鮮だね」
ルディ
「……そうか」
少しだけ…
満足そう。
キリカが靴を脱ぐ。
「よし!」
リント
「おい」
次の瞬間――
バシャッ!!
リント
「冷っ!!!」
キリカ
「ははっ!」
「隙あり!」
リント
「いきなりかけんなバカ!」
コトハ
「キリちゃん
やりすぎだよ」
キリカ
「コトちゃんも来なよ!」
コトハ
「えー…」
一歩近づく。
波が足に触れる。
「……冷たい」
少し笑う。
その瞬間――
バシャッ!
コトハ
「きゃっ!」
キリカ
「ほら来た!」
コトハ
「もう…!」
でも…
楽しそうに笑ってる。
ルディが見ている。
「……平和だな」
リント
「だな」
少しの沈黙…
「……なぁ」
ルディ
「……何だ?」
リント
「逃げるか…」
キリカ
「えっ?」
コトハが静かに見る。
ルディは少しだけ考える…
「……それも」
「一つだ…」
キリカ
「ち、ちょっと!」
リント
「だろ?」
キリカ
「よくないでしょ!」
リント
「何でだよ」
キリカ
「何でって……!」
言葉が詰まる…
コトハが静かに言う。
「……後悔するでしょ」
沈黙…
リントが見る。
コトハ
「どっち選んでも…」
「きっと後悔するよ」
静かだけどーー
真っ直ぐな言葉。
ルディ
「……否定できない」
キリカが顔をしかめる。
「もうやめてよーー
その話!」
空気が少しだけ重くなる…
リントが笑う。
「本気にすんな!」
「嘘だよバーカ…」
立ち上がる。
「今は考えねぇ」
キリカ
「は?」
リント
「せっかく海来てんだろ」
ニヤッと笑う。
「遊ぶぞ!」
キリカ
「……は?」
次の瞬間――
バシャァッ!!
キリカ
「ちょっ!!!」
「いきなり何すんのよこのバカ!!」
リント
「お返しだバーカ!」
キリカ
「ほぅ…上等!!」
コトハ
「ちょっと二人とも!」
ルディ
「巻き込まれるな……」
その直後ーー
バシャッ!!
ルディ
「……」
リント
「お前もだよ!」
ルディ
「理不尽だ……」
コトハが笑う。
四人の笑い声。
時間が流れるーー
夕方。
赤く染まる海。
並んで座る四人。
キリカ
「……ねぇ」
「このままさ」
少し間…
「マジでどっか行っちゃうの
ありじゃない?」
沈黙。
リント
「……いいな」
ルディ
「……否定はしない」
コトハ
「……それでも」
三人が見るーー
「ここに戻りたくなるよきっと」
静かに刺さる。
キリカが笑う。
「何それ」
コトハ
「何となく」
リント
「適当だな」
コトハ
「リントに言われたくない…」
リント
「……確かに」
キリカが吹き出す。
ルディ
「……仲が良いな」
キリカ
「どこが!!」
笑い声。
夜。
帰り道。
キリカ
「……また来ようね」
コトハ
「うん」
ルディ
「……ああ」
リント
「……あぁ…」
誰も振り返らないーー
でもーー
その言葉は残った。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
もし宜しければブックマークお願いいたします。




