第91話 「導き手たち」
黒が蠢く――
【セブンスピラーΩ】
その存在は、ただそこにあるだけで
世界を削り続けている。
だが――
その侵食が、止まる。
「……?」
ルディがわずかに眉を動かす。
空間が――歪む。
上空ーー
三つの“影”がゆっくりと降りてくる…
コトハ
「……あれは…」
キリカ
「……嘘でしょ…」
黒を纏いながらーー
しかしそれに呑まれない存在。
そして――
静かに…地に降り立つ。
圧倒的な存在感と共に。
ゼノン
「……随分と、ギリギリだな」
ノクス
「うわ〜マジで終わりかけじゃん!ウケる♪」
エレボス
「……くだらん終わり方だ」
キリカ
「なんで……アンタたちが……!」
ルディ
「……【D】?」
コトハ
「ゼノン……ノクス……エレボス……」
ノクスは肩をすくめる。
「別に?頼まれたから来ただけ〜♪」
エレボスはセブンスピラーΩを睨む。
「この程度の終焉で終わるなど、興醒めだ」
ゼノンは一歩前に出る。
視線は――リントへ。
「……お前か」
リント
「……あぁ」
短くぶつかる視線。
次の瞬間――
三人がそれぞれ力を解放するーー
黒ーー
だがそれは侵食ではない。
“支配する側の黒”
ゼノン
「――破壊のヴァルス」
ノクス
「ーー欲望のヴァルス」
エレボス
「ーー厄災のヴァルス」
三つの力が展開されーー
セブンスピラーΩの侵食がーー
押し返される。
コトハ
「……止まってる……?」
ルディ
「完全では…ないが……均衡…している」
ゼノン
「長くは持たんがな」
ノクス
「まぁ80時間くらいならギリいけんじゃね?」
エレボス
「それ以上は保証せん」
キリカ
「……どういうつもり?」
ゼノンは視線を外さずに言う。
「別に……世界に消えてもらっては困る…それだけだ」
ノクス
「そーそー俺らってさ〜一応“人類の先”だし」
エレボス
「身内の恥は拭わんとな…」
沈黙。
その中で――
ゼノンが静かに言う。
「……七人だ」
リント
「……?」
ゼノン
「この場で終わらせるならな」
キリカ
「終わらせるって……」
ゼノン
「方法は一つだ」
セブンスピラーΩの中心――
“顔”を見据える。
「そこを叩き潰す」
ルディ
「……成功確率は」
ゼノン
「知らん」
ノクス
「低いんじゃね?」
エレボス
「だが、それ以外はない」
キリカ
「……そんなの」
ゼノン
「だからだ」
一拍…
「時間をやる」
コトハ
「……時間?」
ノクス
「72時間〜♪」
エレボス
「それまで、我らが抑えよう」
ゼノン
「逃げるならそれでもいい」
「戦うなら――戻ってこい」
キリカ
「何でそこまで……」
ゼノンはわずかに目を細める。
「後悔する顔は、見飽きた」
その言葉の裏にあるものを――
誰も測れない。
そして――
ゼノンはゆっくりと歩き出す。
リントの横を通り過ぎる。
「……来い」
小さく。
それだけ言って。
リント
「……あぁ」
二人は、少し離れた場所へ。
ゼノン
「時間は限られている」
リント
「分かってる」
ゼノン
「選択肢は二つだ」
静かに…淡々と。
「成功すれば――お前一人が消える」
「失敗すれば――全部終わる」
リントの瞳が揺れる。
ゼノン
「どちらでもいい」
「好きに選べ」
一瞬の沈黙。
「……ジンさんならどうしたかな?」
それだけを残して…
ゼノンは背を向ける。
残されたリントは――
ただ…空を見上げた。
世界はまだ…
終わっていない。
だが――
終わりは確実にーー
近づいている。
そして…
“最後の三日間”が――
静かに、始まった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
もし宜しければブックマークお願いいたします。




