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第89話 「手の温もり」

黒が――侵食するーー



セブンスピラーΩは動かないーー



ただそこに()るだけで

世界が消えていく。



だが――


その中を…


一人の少女が進む…



  【キリカ】



光を(まと)いながら。


一歩。


また一歩。


止まらないーー



コトハ

「……キリちゃん!!」


叫ぶ。


「もうやめて!!」


声が震える…

涙が止まらない……


「これ以上行ったら……!」



分かっている…

その先にあるものを。


それでも…

キリカは止まらない。



キリカ

「大丈夫」


振り返らないままーー

小さく言う。


「ちゃんと分かってるから」



その足がーー


“削れる”


「っ……」



一瞬だけ顔が歪む。


だが止まらない…



ルディ

「……来る」



手をかざし静かに構える。


空間が歪むーー



「――ヴォイド・エンド」



黒が裂けるーー


空間そのものが

削り取られ…


セブンスピラーΩへと叩き込まれる。



だが――


消えない。


揺らがない。


まるで何も無かったかのようにーー



ルディ

「……効かないのか」


キリカが少しだけ笑う。


「ありがと、ルディ」



また一歩。


  その腕がーー


     “消える”



コトハ

「やめてよぉ!!」


崩れ落ちる。


「なんで……なんでそんな……!」



リント

「……戻れバカ!」


その声は震えている…



それでもキリカは止まらない。


「ねぇ、コトちゃん」


優しく呼ぶ。


「ちゃんと聞いて」



コトハ

「やだ……」


首を振る。


「聞きたくない……!」



キリカ

「大丈夫」


微笑む…


「すぐ終わるから」



その言葉がーー


あまりにも残酷で。


あまりにも優しい。



キリカ

「みんな……」



少しだけ振り返る。


その顔は――


笑っていた。



「私のこと」



一瞬、言葉が詰まる。


それでもーー


ちゃんと伝える。



「忘れないでよね」



コトハ

「やだぁぁぁ!!」


叫びが響く……



ググッ…ーー


リントが拳をーー

血が(にじ)むほど握り締める。



キリカ

「リント」


真っ直ぐに見る。


「コトちゃんのこと……頼んだよ」



リント

「……ふざけんな!」


絞り出す声。


「知るかバカ!勝手に託してんじゃねぇ…」



キリカ

「あんたらしいね…」


「約束よ…お願い」



そして――


前を向く。


その足がーー



  “ほとんど消える”



それでも進む。



キリカ

「私……」


小さく呟く。


「ちゃんと……」



消えていく身体ーー

光が薄れていく。



それでも…

最後まで……

笑おうとする。



「笑えてたかな……?」




プッ…ーー


――その瞬間!!


リントの中でーー

    何かが切れた!!!



ドクンーー


ドクンーー



心臓が激しくうつ!


視界が赤く染まる!



リント

「……ざけんなよ!」



強く…

  激しく…

     唸るように……



「勝手に終わらせんなぁ!!」



地面を蹴る!!



コトハ

「リント!?」



止まらない!!


消えることもーー

   構わずに飛び込む。


黒の中へーーー



キリカ

「……っ!?」



目を見開く。


その瞬間――


手がーー掴まれる。



一瞬の静止。


黒も、時間も…


キリカの目に映るのは


リントの顔。



――消えていない。


温もり。


消えていくはずだった手が…


確かにーー

   (つか)まれている。



キリカ

「……リント?」



信じられないという顔。


しかし…


リントはそこにいた。


黒の中にーー



消えていない。


侵されていない。



リント

「……マジでバカかお前」



息を荒げながら。


それでもーー


離さない。



「勝手に消えようとしてんじゃねぇ!!」



キリカ

「でも……!」



リント

「うるせぇ」



引き寄せる。


強くーー

絶対に離さない力で。



その瞬間――


黒が弾けるーー

    拒絶される。



まるで…


“触れられないはずのものが触れられた”ことを…


否定するかのように。



ルディ

「……何だ」


初めて驚きが混じる。



コトハ

「消えてない……?」


震える声…



リントの体は無事だった。


一切……削れていない。



キリカ

「なんで……」



リントは静かに言う…


「決まってんだろ」



顔を上げセブンスピラーΩを(にら)む。



その目は――


今までとはーー

変わっていた。



「終わらせねぇためだ!!」



ドクン――!!


心臓が高鳴る。



その瞬間ーー


光が溢れーー黒を押し返すーー


暖かくーー

強くーー

揺るがない光。



リント

「うおぉぉぉぉ…!!!」



叫びーー


世界が震える。


完全に…

消滅を拒絶するように

キリカを引き戻す。



そして――


その姿が変わるーー



黒が触れる。


だが――侵されない。


その存在は…


すべてを拒まない。



ただ――


全てを包み込む大いなる光。


――【 アルカ : Arca 】



ルディ

「……なるほどな」



コトハは涙を流しながら微笑む…

「リント……!」



キリカは…

その手を見ていた。


確かに繋がっている。

温もりーー

消えなかった世界。



キリカ

「……ありがと」



小さく笑うその涙は

もう恐怖じゃないーー


希望だった。



リントは前を向くーー

セブンスピラーΩへ。



「ここからだ!」


静かに言う。


「終わらせるのは――

俺たちだ!!!!」



終焉(しゅうえん)(あらが)う存在がーー


        今ーー目覚めた。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


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