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第85話 「侵食する静寂」

黒い柱は――


ただーーそこに在った。



動かない。


語らない。



だが――


重いーー


空気が沈むーー


呼吸が浅くなるーー



まるで世界そのものが

拒絶しているかのように…



リント達はそんな中ゆっくりと

歩みを進めていた。



キリカ

「……ねぇ」


小さく(つぶや)く。

「これ……本当に敵なの?」



誰も答えない……


ただ圧だけがーー

全身にのしかかる。



コトハが眉をひそめる。

「ちょっと待って…」


目を細める。

「これ…普通じゃない」



リント

「何が?」



コトハ

「先が…見えないの」


少し間を置く…

「未来がないとかじゃない…」


「“途切れてる”感じ」



ルディ

「……妙だな」


「…終わってる」


その一言にーー

     空気が凍る。



リントが舌打ちする。

「ふざけんな!」


「んなもん関係ねぇよ」


拳を握る。

「ぶっ壊せばいいだけだろ!」



――その瞬間。


世界が(ゆが)んだ。

――――



リントは

一人で立っていた。


「……は?」


振り返る。

  誰もいないーー


代わりに――

  そこにある社長の亡骸(なきがら)


血に染まりながらーー

   地に()している。



リント

「……やめろ」


声が震える。

「やめろよ……」



その隣に――

  ジンが立っていた。


何も言わないーー

   ただ見ている。


冷たい目で。

  否定するようにーー



リント

「違う……!」


「俺は……!」



言葉が出ない…

  視線が揺れる…

    胸が締め付けられる。



ドクン…

ドクン…



罪が――(うず)く。



――――



キリカは走っていたーー


手を伸ばす。

「待って!!」



その先にいるのはーー

過去の誰か。


大切だった存在。



だが――


届かない。



どれだけ走ってもーー

距離は縮まらない。

「……やだ」


声が崩れる。

「置いてかないでよ……」



背中は振り返らない。

     消えていく…



――――



コトハは立ち尽くすーー


無数の未来。


だが――


全部同じーー



崩壊。

終わり。

消滅。



「……そんな」


小さく(つぶや)く。

「これ…全部同じ未来…?」


目が揺れる。

「嘘でしょ……」



――――



ルディ

「……」


何もないーー

ただ“無”だけ。



自分の体がーー

ゆっくりと消えていく。


「……これが」


静かに(つぶや)く。

「…終わりなの…か」


抗わないーー

ただ受け入れる。



――――


現実。


四人はーー

その場に立ち尽くしていたーー



動かない。

虚ろな目。


セブンスピラーはーー

変わらずそこに()る。



ただ――


“見ている”


リントの中でーー

何かが(きし)む。



ドクン…

ドクン…



響く…

社長の言葉。

『それでも笑え』


リント

「……ぐっ」


歯を食いしばる。

「ふざけんなよ……」


「こんなもんで……」


顔を上げる。

「折れてたまるかよ!!」



叫んだ瞬間――



パァァァン…



世界が砕ける!!



キリカ

「はっ…!?」



コトハ

「今の……なに…!?」



ルディ

「……戻った」



全員が息を荒げる。



リントが前に出る。

「これは攻撃だ」


セブンスピラーを(にら)む。

「心を折るためのな」



キリカ

「最悪ね…」



コトハ

「でも…」


息を整える。

「対処はできそう」



ルディ

「…ああ」



リントがニヤッと笑う。

「だろ?」


拳を固める。

「上等じゃねぇか」



その時――


柱の中心ーー

白い核が脈動する。



ドクン――

ドクン――



空気が変わるーー



キリカ

「……何これ」



コトハ

「ちょっと待って…」


目を見開く。

「これ…どんどん強くなってる…!」



ルディ

「……来る」



リントが構える。

「今度は何だよ……」



その瞬間ーー

  空間が裂けたーー



黒い(ゆが)みの中から

一人の男が現れる。


ゆっくりと歩み出る。

    Dr.Darknessーー



その顔には――

(ゆが)んだ笑み。

「……ああ」


震える声…

だが歓喜に満ちている。

「ついに……辿(たど)り着いた」



リント

「てめぇ……」



だが視線は向かないーー


ただ一点…

セブンスピラーだけを見ている。



「素晴らしい……!!」


両手を広げる。

「これだ……これこそだ!!」



笑うーー

壊れたように。

「善も悪も…!」


「感情も歴史も…!」


「全部が無意味になる瞬間!!」



一歩、また一歩と進む…

「これこそが究極だ!!」


「存在など最初から不要だったのだよ!!」



キリカ

「止まんなさいよ!!」



叫ぶ。

だが――止まらない。



コトハ

「ダメ…あれ…」


声が揺れる。

「完全にイカれてる…!」



ルディ

「……もう…遅い」



Dr.Darknessが振り返る。


その目は完全に狂っているーー

「私は証明する!!」


笑う。

「この世界は――」


「“無に(かえ)る為に()る”と!!」



その瞬間――


核が開く!!

光ではないーー



“空白”。



Dr.Darknessはーー

迷いなく踏み出す。

「さぁ……」


両手を広げる。

「見せてくれ」


「終焉を――」



身体が削れるー

   崩れるのではない。


  “存在が消える”



それでも笑う。

「フヒャヒャ……ハハハ…フヒャヒャ!!」



完全消滅ーー静寂。


次の瞬間――



ドクン――!!


柱が脈打つ!!


ドクン――!!


世界が震える!!



黒い亀裂が走るーー


何かが……

生まれようとしている。



リント

「……来るぞ」



キリカ

「ええ…」



コトハ

「これ…ヤバい…」



ルディ

「……(ゆが)む」



柱の中心が裂けるーー

黒が(あふ)れ出す。


それはまるで――


“誕生”ーー



世界を覆う悪意がーー

   新たなる形をーー

     持とうとしている。



      ――終焉の胎動。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


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