第84話 「背負う者たち」
崩壊した研究室ーー
静寂が広がっている。
焦げた床ーー
砕けた壁ーー
その中心で――
リントは立ち尽くしていた。
肩が震えている…
「……俺が」
声が掠れる……
「俺がやったのかよ…」
視線の先ーー
社長が倒れている。
動かないーー
キリカ
「リント…」
そっと近づく。
だが…
リントは動かない。
コトハ
「生命反応……」
目を閉じる。
「極めて微弱…」
ルディ
「…生きてる!?」
リントの目が揺れるーー
「……何だよそれ」
膝をつく。
「ふざけんなよ…」
拳を床に叩きつける!!
ドン!!
「じゃあ何だよ!!」
叫ぶーー
「俺は!!」
「この人に何を返せばいいんだよ!!」
沈黙……
キリカが静かに言う。
「……背負ったのよ」
リント
「……え?」
キリカ
「社長は…」
視線を落とすーー
「自分の罪を」
「全部アンタに渡したの…」
コトハ
「悪意のシンクロ…」
「強制共有する為に…」
ルディ
「…重いぞ…リント」
リントが胸を押さえる。
ドクンーー
ドクンーー
胸の奥が疼く。
怒り。
憎しみ。
後悔。
全部が渦巻くーー
「……くっ」
歯を食いしばる。
キリカ
「それでも…」
リントの目をまっすぐ見るーー
「あんたは立つんでしょ?」
リント
「……」
ただ…
社長を見つめーー
時間が過ぎる。
その時――
社長の指が
わずかに動く!
リント
「!?」
ゆっくりとーー
目が開く。
社長
「……やれやれ」
掠れた声。
「静かに眠らせてはくれないのかね…」
リント
「社長…!!」
社長が小さく笑う。
「情けない顔をしているな」
リント
「俺は…!」
言葉が詰まるーー
社長
「もういい」
「何も言うな…」
ゆっくり呼吸するーー
「それよりも」
「感じているはずだ…」
優しい目でーー
リントを見つめる。
「私の罪は…」
「重いだろう?」
リント
「……ああ」
社長
「それでいい」
静かに言うーー
「それを背負って…」
「生きろ!」
リント
「……」
そして…小さく笑う。
「私は…」
「逃げ続けた男だ!」
「ジンを裏切りーー」
「闇に堕ちーー」
「世界すら壊そうとしたーー」
肩で息をしながらーー
リントを見つめるーー
「だが最後に」
「お前に託せた!!」
「それで十分だ」
リントが震えながらうつむく。
「いいか!」
社長はハッキリ言う!
「人の罪は消えない!」
「だが…」
「背負うことはできる」
「そして…辛く苦しい時…」
「それでも笑え!!」
リントの目に涙が滲む。
「我が親友ジンが望んだのは…」
「そういう男だ!!」
そう言って…
静かに目を閉じるーー
「頼んだぞリント…」
その言葉を最後にーー
社長は動かなくなる。
キリカ
「……」
コトハ
「……」
ルディ
「……寝た」
リントは何も言わない。
ただ…
静かに立ち上がりーー
深く息を吐く。
「……行くぞ」
キリカ
「え?」
リント
「ここにいても社長は喜ばねぇ」
「やることは一つだろ!」
コトハ
「そうだね…」
ルディ
「…ああ」
少しの沈黙。
そして――
キリカがため息をつく。
「はぁ…」
リントを睨むーー
「あんたさ…」
リント
「ん?」
キリカ
「もうちょいさ」
「空気読めないの?」
リント
「は?」
コトハが静かに苦笑い…
「確かに…感情の切り替えが早すぎるね」
ルディ
「…雑」
リント
「うるせぇな!」
キリカが頭を抱える。
「あーもう!」
「ほんっとバカ!」
リント
「何だと!?」
「バカはお前だ!」
キリカ
「誰に言ってんのよこの大バカ!!」
コトハが少し柔らかい口調で…
「でもね…」
「それでいいと思う」
ルディ
「…らしいな」
キリカも小さく笑う。
「ま、そうね」
リントが鼻で笑う。
「だろ?」
少しの沈黙。
その後――
リントが前を見る。
「行くぞ!」
その視線の先ーー
遥か上空。
黒くそびえ立つーー
巨大な柱。
【セブンスピラー】
静かにーー
世界を見下ろしている。
リント
「……ぶっ壊す」
キリカ
「当たり前でしょ!」
コトハ
「だよね…」
ルディ
「…賛成」
四人が歩き出すーー
悲しみを知ったーー
その背中はーー
もう迷っていない。
――新たなる決戦へ。
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