表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/100

第82話 「親友への贖罪」

研究室は静寂に包まれていたーー



崩れた壁ーー

   砕けた床ーー



その中心でーー

リントと社長が向き合う。



リント

「……社長」



社長

「来い」


その声は静かだった。

もう迷いはないーー



ドォォン!!



二人が同時に踏み込み

拳圧が衝突する!!



ドゴォォォン!!



衝撃波ーー


固唾(かたず)をのみ見守る三人…


キリカ

「……」



コトハ

「……」



ルディ

「…終りが…近い」



拳圧ーー

風圧ーー

衝撃波ーー



荒れ狂う台風の如くーー

二人の周囲には誰も近づけないーー



しかし…


次第にーー

 二人の動きはーー

  シンプルになっていく!!



技でも能力でもないーー


ただの(こぶし)


ただの覚悟!


善意と悪意ーー!!



リント

「社長…」



社長

「まだだ…」



拳に込められたーー

それぞれの想いが交錯(こうさく)する!!



ドコオォォォン!!



社長が笑う。

「いい拳だ」



リント

「当たり前だろ!」



社長

「だが…」


一歩踏み出す。

「まだ足りない」



その時……


社長の体からーー

   黒い霧が溢れだす。



キリカ

「……何?」



コトハ

「悪意…」



ルディ

「…重い」



社長が言う!!

「これが…」


「私の罪だ!」


社長の放つオーラが(まが)々しさを()びて成形(せいけい)されてゆく…



怒り。

憎しみ。

絶望。



社長が背負ってきた

    負の感情の全て……



リントが拳を握る。

「……そうかよ」



社長

「受け取れ!!」



その瞬間!!!


社長のオーラが黒い球状になり

  リントにぶつかるーー

     そして吸収された!?



ドクン……



リントの心臓がーー

 高鳴りと共にーー

  胸の奥底にまでーー

   ドス黒い感情を引き込むーー



リント

「ぐうっ…!」


「がぁ…あぁ……っ」



善意の光ーー

  そこにーー

    悪意の闇が重なる。



コトハ

「シンクロナイズ…!」



キリカ

「何が起きてるわけ…」



社長が言う。

「善意」ーー

「悪意」ーー


「双方を受け入れ…昇華させ…

     それを越えて見せろ!!」



リントが顔を上げたーー

目が変わっている。



静かに言う。

「社長」


「もういい」



社長が笑う。

「そうか」


互いがゆっくり構える。


「ならば」


「最後だ!!!」



リント

「あぁ!」



ドン!!



二人が激しくぶつかり合うーー


そしてーー



ドンッ!!



リントの拳が

社長の胸を(つらぬ)くーー



静寂…


社長の身体が揺れる。


そしてーー

  ゆっくりーー膝をつく。



リントの拳が震える。

「……社長」



社長が笑う。


静かにーー

   「ジン…」



天井を見る。

崩れた空の向こう…

「遅くなってすまなかったな」



リントの目が揺れるーー



社長

「これで…」


「やっと」


小さく笑うーー


「お前に胸を張って会えそうだ」


息を吐く。


「結局…」


「悪意の力は」


「善意の力には及ばなかったということか」


「ハハ…」


リントを見るーー


「ジン…」


「お前の勝ちだ」


そして言う。


「お前の息子が」


「それを証明しているよ!」



リントの肩が震える……


  社長の声が弱くなる…



「愚かな私を…」


「許してくれ」


ーー目を閉じる。


親友(とも)よ…」



研究室内にーー静寂が落ちる。



戦いは…

   終わった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


もし宜しければブックマークお願いいたします。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ