第81話 「目醒めの刻」
崩れた研究室ーー
リントが息を吐く。
「……ふぅー」
所々から血が滴る…
社長は静かに立っているーー
まるで動かない彫像のように。
キリカ
「どうしちゃったの…社長?」
コトハ
「……何かが…戻った?」
ルディ
「…突然…止まった……」
リントが拳を握りしめゆっくり近づくーー
「社長…」
「まだやるか?」
「それとも話すかい?」
社長は答えない…
ただ見ている。
リントをーー
その後ろにあるものをーー
その瞳はーーどこか遠い。
リントが叫ぶ!
「どうした?」
「さっきまでみたいに殴ってこいよ!」
社長の拳がーー
僅かに震える。
その瞬間!!
記憶が過る…
――若き日の研究室。
笑い声ーー
男の声ーー
「お前さ…」
「もう少し人を信じろよな!」
「聞いてるのか?…なぁ○○○…」
社長の瞳が揺れるーー
リントが社長の肩に手をかけた。
「社長!」
拳を振るーー
バキッ!!
横っ面を殴った!!
衝撃ーー
社長の身体が揺れる。
静寂…その口が…
ゆっくり動く。
「……ジン」
キリカ
「!」
コトハ
「今…」
ルディ
「…戻った」
社長の視線ーー
まっすぐリントを見る。
その目は…
もう濁っていない。
リントが息を吐く。
「やっとかよ」
ニヤッと笑う。
「社長」
「目ぇ覚めたか?」
社長はしばらく黙る。
そして――
小さく笑った。
「……なるほど」
「やっと」
「ここまで来たか」
リント
「?」
社長が続けるーー
「ジンよ」
天井を見るーー
「お前の息子は」
「本当に…しぶといな」
「お前そっくりだ」
キリカ
「え…」
コトハ
「……」
ルディ
「…そういうことか」
キリカ
「どーゆーことよ!!」
リントが眉をひそめる。
「何言ってんだ社長?」
社長はーー
ゆっくり構える。
その目はーー
完全に覚醒している。
そして…
社長は笑う。
「だが…」
「まだだ!」
リント
「は?」
社長
「ここで終わるほど」
「この戦いは軽くない!!」
拳を握る!
「来い!リント!!」
その声はーー
もう洗脳ではない。
意思を持ったーー
男の覚悟だった。
「リント…」
「ジンの息子…」
キリカが叫ぶ!
「何でよ?」
「戻ったんでしょ!?」
社長は答えないーー
ただ続けるーー
「君は…」
「まだ足りない!」
リント
「……」
社長
「善意だけでは」
「世界は救えない」
目が鋭く光るーー
「悪意も…」
「越えてみせろ!!」
次の瞬間!!
ドン!!
社長が踏み込み拳が振り抜かれるーー
それをリントがーー受け止める。
衝撃!!
研究室が揺れる。
社長が静かに言う…
「ここからだ」
「リント」
その目にはーー
確固たる決意と覚悟ーー
遠くでーー
キングピラーが唸る。
ゴオォォォォォ………
本当の戦いがーー
始まったーー
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