第72話 「再会」
四人の通過と共にーー
巨大な扉が閉まってゆく。
ゴォォォン……
静寂。
リント達はゆっくり歩く。
長い通路。
白い光。
奥に見えるのは――
研究室。
機械音が響くーー
ウィーン……
ガラスのカプセル。
無数の装置。
キリカが顔をしかめる。
「うわ……」
ルディ
「……研究施設」
コトハが小さく言う。
「嫌な感じね」
その時ーー
男の声。
「ようこそ」
四人が振り向く。
白衣の男。
艶やかな寒色系の長髪を束ね。
丸みを帯びたメタルフレームの眼鏡。
優しそうな顔。
男は穏やかに笑う。
「よくここまで来たね」
リント
「……誰だ」
男は軽く頭を下げる。
「そうそう、自己紹介がまだだったね」
静かに微笑む。
「私は…」
「【Dr.Darkness】」
「最後の【D】にして…」
「【D】のフロアを統括せし者」
キリカ
「うっわ…胡散臭っ!」
「……怪しさ満点じゃん」
男は歩きながら少し笑う。
「そうかな!?」
「昔はもっと普通の名前だったんだけどね」
リントが睨む。
「…お前がマリスの親玉か」
Dr.Darkness
「親玉というより…」
少し考える…
「研究者かな」
コトハ
「研究……?」
Dr.Darkness
「人類の進化だよ」
その時ーー
リントの視線が止まる!!
部屋の奥ーー
ガラスカプセル。
そこにーー
一人の少女が眠っている…
【黒い紋章】
リントの呼吸が止まる!
「……おい!」
ゆっくり近づくーー
「まさか…」
カプセルの中の
ーー少女。
あの時より…
少し成長している。
八歳くらい。
長い髪。
静かな寝顔。
リントの声が震える…
「……お前」
Dr.Darknessが微笑む。
「覚えているのかい?」
リントが睨むーー
Dr.Darkness
「君が救った」
軽く言う。
「失敗作だよ!」
キリカ
「……あの子って」
コトハ
「あの時の……」
Dr.Darknessはカプセルを撫でる。
「この子は特別でね!」
静かに言う。
「マリスと人間」
「その境界を調べていたんだ…」
ルディ
「……実験体」
Dr.Darkness
「そう!」
笑いながらリントを見る。
「だが…」
「君が壊してしまった」
リント
「……」
拳を握る。
Dr.Darkness
「本当に面白い男だ」
「普通なら殺す!」
「だが君は…」
カプセルを見る。
「救った!!」
リント
「当たり前だろーが!!」
Dr.Darkness
「だが…その結果…」
スイッチを押すーー
ピッ。
装置が動く。
ウィーン……
カプセルが開く。
キリカ
「おい!」
少女がゆっくり落ちるーー
リントが受け止める!
「……軽い?」
その瞬間!
少女の目が開く。
黒い瞳。
リントを見る。
「……おにいちゃん?」
リントの目が揺れる……
キリカ
「覚えてる!?」
コトハ
「良かった……!」
しかし。
Dr.Darknessが言う。
「本当にそう思うかい?」
少女の紋章が光るーー
ドクン…
黒い霧ーー
少女の体が震える。
リント
「おい…大丈夫か!」
少女が苦しむ。
「こわい……」
「さむい……」
Dr.Darknessが静かに言う。
「この子はね…」
「君達を殺す鍵なんだ」
狂気を帯びた目で微笑む。
少女の腕がーー
マリス化する!!
キリカ
「…ふざけんな!!」
剣を抜く!
Dr.Darknessが言う。
「動くな!」
ボタンを押す!!
ドクン…!!
少女が叫ぶ。
「いやあああぁぁぁ!!」
リント
「おい止めろ!!」
Dr.Darkness
「この子の命は…」
「私の手の中だ」
四人が止まるーー
Dr.Darknessが笑う。
「さあ」
「実験を始めよう」
瞳が狂気に染まるーー
「人間の善意は」
「どこまで壊れるかな?」
リントの全身が震えるーー
キリカ
「このクソ野郎……」
ルディ
「……クズ」
コトハ
「許さない!」
リントがゆっくり言う。
「お前…」
顔を上げるーー
笑っていない。
「たとえ謝っても…」
「絶対ぶっ飛ばす!!!」
Dr.Darknessが笑う。
「それは楽しみだ」
「君が生きていられたら……の話だけどね」
装置が動く。
ドォン!!
研究室の床が開く。
無数のマリスーー
リント達を囲む。
Dr.Darkness
「さあ」
「ショーの始まりだ!」
吐き気すら生ぬるいーー
人の尊厳をかけたーー
戦いが………始まる。
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