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第65話 「ノクス」

キングピラー【上層】ーー


【D】のフロア


第二ノ扉前ーー




闇の奥からーー


ゆっくり影が歩いてくるーーー



その出で立ちはーー


全身をレザーで統一され、

経年変化(エイジング)によって、

より異質で圧倒的な

    存在感を放っていた…



口元にはーー

楽しそうな笑み。



男は周囲を見渡す。

「へぇ」


「派手にやったなぁ」


視線が四人に向く。

「ゼノンが見当たんないけど…?」



リントが肩を回す。

「帰ったぞとっくに」



男が少し驚く。

「ん?マジ?」


「帰したの?」



キリカが剣を構える。

「アンタ何者?」



男が笑う。

「あぁ…自己紹介か」


「その前にーー」



パチン!



ゴゴゴゴ……


男の指鳴らしと共に重い扉が開く…


「さぁ…どうぞ」



四人は言われるがままに、

扉の先へと歩を進めるーー



フロアは静寂に包まれていたが、

どこか異様な重々しさを漂わせていた……



すると男はーー


四人の前に立ちーー

屈託のない笑顔を見せ軽く頭を下げる。


「改めまして…」


「ボクは【D】の一人」


指を立てるーー


「欲望のヴァルス」



「ノクス」ーー



「第二ノ扉【Desire】へようこそ」



突如!!!


コトハの端末がーー

警告音を鳴らす。



コトハ

「反応……!」



ルディが(つぶや)く。

「強い…」



ノクスが笑う。

「おっ!分かるんだ」


「でもゼノンほどじゃねーから」



リントが前に出る。

「十分だ」


「次はお前だろ?」



ノクスが楽しそうに目を細める。

「いいねぇーー君」


「壊れかけてるのに元気だ」


一歩近づくーー


「好きだなぁ…そういうの」


「……もっと壊したくなる」



ノクスがうっすらと凍りつくような笑みを浮かべた…



次の瞬間――


ノクスが消える!!



ドンッ!!



衝撃ーー

リントの身体がくの字に折れる。


身体が吹き飛びーー

   壁に叩きつけられる。



キリカが叫ぶ。

「リント!」



ノクスが笑う。

「おースゲ」


「頑丈!」



キリカが斬り込む。

高速斬撃ーー



ノクスが軽く避ける。

「速っえー」



シュ…ガッ!!



剣を素手で止める!


キリカの目が見開く。



ノクスが(ささや)く…

「でも…」


「残念!」



ドンッ!!



蹴りーー

キリカが吹き飛ぶ。



ルディが手を上げる。

空間が(ゆが)むーー


「ヴォイド・ブレイク」


黒い裂け目ーー



ノクスが笑う。

「それ面白い」


横に跳ぶーー


回避。

「でも…」


ルディの目の前。

「無駄!」



ドンッ!!



ルディが床を滑るーー



コトハが叫ぶ。

「みんな!」



リントが立ち上がる。


血を吐きながら笑う。

「はは……」


拳を握る。

「いいなお前」



ノクスが首を(かたむ)ける。

「何が?」



リントが笑う。

「ようやくストレス発散できそうだぜ!」



一瞬の沈黙…



そしてーー

 ノクスが笑うーー

  本当に楽しそうに。


「最っ高!!」



指を鳴らす。


パチン。



その瞬間――


景色が(ゆが)むーー

 ノクスとの距離がーー

    少し遠く感じる…



ルディの目が(するど)くなる。

「……能力」



ノクスが笑う。

「ご名答~!」


一歩踏み出す。

「じゃあ」


「第二ラウンド」


手を広げる。

「行ってみよーか!」



キングピラー【上層】


第二ノ扉【Desire】


    【D】


 【欲望のヴァルス】


   【ノクス】



妖しい雰囲気をもつーー

新たなるヴァルスとの戦いがーー


   今ーー

     始まる。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


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