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第61話 「格の差」

キングピラー【上層】ーー


【D】のフロア 


  第一ノ扉【Destroy】



黒い通路。


静寂。


四人の前に立つ男ーー


   【ゼノン】



キリカが剣を構える。

「ここを通してもらうわ」



ゼノンは答えない。


ただ…

静かに立っている。



リントが肩を回す。

「無視かよ」


「まぁいい」


「ぶん殴れば話早いしな」



その瞬間ーー



キリカが動いた!


床を蹴るーー

一瞬で間合いーー

剣が走るーー

鋭い斬撃ーー



だが…


空を切る。

「え?」



キリカの目の前。



ゼノンはーー

一歩横に立っていたーー

動いた気配がない。



キリカが二撃目を振る!

また外れる。



三撃目!

やはり届かない。

「何よこれ…!」



リントが笑う。

「当たってねぇぞ」



「黙って!」

キリカが再び踏み込む。



高速連撃ーー

斬撃の嵐ーー



だが…


全部ーー

当たらない。



ゼノンはーー

半歩ずつーー

すでにそこに居たかのようにーー

位置を変えるだけ。


その動きは

あまりにも自然だった。



リントが踏み込む!

拳。

全力。



だが…


拳が届く直前ーー

ゼノンの姿がーー

消える。



ドンッ!!



衝撃ーー

リントの体が横に吹き飛ぶ。



壁に叩きつけられた。

「がっ…!」



ルディが動く!


静かに手を上げる。


空間が歪む。

黒い裂け目。

「……ヴォイド・ブレイク」



ゼノンの周囲の空間がーー

一気に崩れる。


逃げ場はない。



しかし…


ゼノンは

そこに立っていた。

何事もなく……



ルディの目が細くなる。

「……」



次の瞬間!!


ゼノンが動く!


一歩…それだけ。



ドンッ!!



ルディの腹にーー

拳がめり込む。


空気が抜けるように、

体が浮きーー

床に叩きつけられた。



コトハが叫ぶ。

「ルディ!」



キリカが再び突っ込む!


跳躍ーー

空中からの斬撃。


ゼノンの頭を狙う。



しかし…


剣はーー

また空を切る。



ゼノンはーー

すでにーー

キリカの背後にいた!

「っ!」



バキィ!!



衝撃。


キリカの体が

床を滑る。



リントが血を吐きながら立つ。

「チッ…」


「何回やってもダメか…」



踏み込むーー

拳ーー

蹴りーー

回し蹴りーー

連撃!!



だが…


当たらないーー

ゼノンは

わずかに位置を変えるだけ。



起こるはずの

未来をーー

無かったことにするようにーー


リントの拳が

空を切る……



その瞬間!


ゼノンの肘。



ゴンッ!!



視界が揺れる。

続けてーー(ひざ)



ドンッ!!



リントの体が宙に浮き床に叩きつけられた。



静寂…


キリカ

ルディ

リント


全員ーー

倒れている。



コトハの手が震える。

「なんで……」


「当たらないの…」



ゼノンが

リントを見る。

「立て」



リントが笑う。

血だらけの顔。

「は?」



ゼノンは言う。

「その程度じゃないだろ」


静かな声。



リントの指が動く。

床を掴むーー



ゆっくり…立ち上がる。

「はは……ムカつくな」


リントが拳を握る。

「全部見えてんのか?」



ゼノンは答えないーー

ただーー

わずかに

笑った。



その瞬間!!!


空気が歪むーー

   ほんの一瞬。



世界がーー

巻き戻ったようなーー

違和感。



コトハの目が揺れる。

「今……」



誰も気づいていない。

だが…

確かにーー

時間がーー

(きし)んでいた。



リントが構える。

「いいぜ」


「もう一回だ」



ゼノンが一歩踏み出す。

静かな足音。



圧倒的な存在感。


   【D】


破壊のヴァルス


  【ゼノン】



その背中はーー

まだーー

遠い。



キングピラー上層ーー


絶望の戦いが…続く。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


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