第53話 「禁忌の研究区画」
キングピラー内部ーー
黒い通路。
静けさと禍々(まがまが)しさの、
混同する空間ーー
四人は静かに歩いていた。
キリカが肩を回す。
「さっきの…」
「思い出すとムカつくわね」
コトハが小さく頷く。
「人を材料にするなんて…」
「許せない…」
ルディが言う。
「……マリス機関」
「……昔から」
リントは黙って歩いていた……
さっきの小さな声…
「……ありがとう」の意味。
楽にしてやることでしか
救えなかった自分自身への
不甲斐なさ……無力感。
今……静かに…ただ静かに
前を向き進むーー
その瞳には確固たる何かが宿っていた。
やがてーー
通路の先。
扉が見えてくるーー
金属製の巨大な扉。
その上には文字。
【研究区画】
キリカが眉を上げる。
「研究所?」
コトハが静かに言う。
「……11階」
リントが扉に手をかけ
ゆっくり開くーー
ギィィ……
その先に広がっていたのはーー
白い空間。
今までのフロアとは違う。
整然と並ぶ装置の数々。
ガラスのカプセル。
大小無数のモニター。
キリカが漏らす。
「……マジで研究所じゃない」
「ここキングピラーだよね?」
コトハが端末を見つめる。
「マリス反応……間違いない」
「…キングピラー内部」
ルディが低く言う。
「……実験」
「マリス………」
その時だった!
奥の扉が開き人影が……
白衣の男!?
キリカが剣を構える。
「敵?」
男は慌てて手を上げた。
「待ってくれ!」
「攻撃しないでくれ!」
リントが目を細める。
男は震えていた。
「君…!?」
「もしかして…」
「Dr.ジンの息子か?」
沈黙ーー
キリカが振り向く。
「リント」
「知ってる人?」
コトハも息を呑む。
「……」
白衣の男は言った。
「私は研究員だ」
「……Dr.ジンの」
「助手だった者だ」
言葉とは裏腹にーー
男の目は――
どこか怯えていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
もし宜しければブックマークお願いいたします。




