第52話 「救いの拳」
黒い融合体が咆哮する。
ドグォォォォォ!!
巨大な腕が振り下ろされーー
床が砕け散る!!
だがーー
リントは動かない…
キリカが横から斬り込む。
「邪魔よ!」
一閃。
腕が吹き飛ぶ!
だが次の瞬間ーー
肉が蠢き腕が再生する。
キリカが顔をしかめる。
「気持ち悪いわね」
コトハが目を細める。
「これ……」
「マリスの融合体じゃない!」
「……人!?」
キリカが振り向く。
「は?」
コトハが震える声で言う。
「人間の反応が混ざってる…」
ルディが低く呟く。
「……実験体」
「……マリス機関」
巨大な怪物の顔が歪む。
無数の顔。
男ーー
女ーー
子供ーー
すべてが苦しそうに呻く。
「クルシイ……」
「タスケテ……」
「イヤダ……」
その声がフロアに響く。
リントは視線を逸らさないーー
黙ってそれを見据える。
巨大な怪物。
だがーー
その奥にあるもの…
【壊された人間】
リントが前に出るーー
キリカが言う。
「リント?」
リントは小さく言う。
「下がってろ!」
融合体が暴れながら突進する。
巨大な腕ーー
振り下ろしーー
攻撃が掠めるその刹那!!
ーーリントが消える。
次の瞬間…
ドォォン!!
衝撃と同時にーー
融合体の体が大きく揺れる。
リントの拳が 融合体の胸に突き刺さっていた!!
圧倒的な力。
融合体が膝をつく…
キリカが目を丸くする。
「もう終わり?」
リントは拳を抜く。
融合体が崩れかける。
だがーー
顔が叫ぶ。
「コワイ……」
「シニタクナイ……」
「タスケテ……」
沈黙……
リントは目を閉じゆっくり息を吐く。
そしてーー
静かに言った…
「……もう苦しまなくていい」
融合体が震えるーー
リントは続ける…
「楽になっていいぞ」
少しだけ笑う。
「よく頑張ったな!」
そしてーー優しく振り抜く。
ドォォォォォン!!
黒い体が砕け…崩れていく融合体。
黒い霧が ゆっくり…
消えていく…
その奥でーー
一つの顔が
穏やかな表情になった。
小さな声…
「……ありがとう」
その顔はーー
静かに消えていった。
フロアに静寂が戻る。
キリカが呟く。
「……許せない」
コトハが目を伏せる。
「マリス機関……」
「人の命を何だと……」
ルディが小さく言う。
「……知ってた」
リントは振り向かない…
ただ前を見て言う。
「行くぞ」
低い声ーー
「全部ぶっ潰す!!」
リントの声が響くーー
誰も止めなかった。
四人は歩き出すーー
その先で待つものを…
全て終わらせるために。
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