第4話 「成功例」
ある日の夜。
コンビニ袋を
ぶら下げ歩くリント。
「働きすぎだろ俺…」
スマホが震える。
コトハ
「ご飯できたよ」
リントが笑う。
「あと10分で着く」
その瞬間ーー
空気が歪む(ゆがむ)ーー
音が一段階落ちる。
リントの足が止まる。
「やれやれ……またか」
路地の奥。
黒いコートの男。
静かに立っている。
「初めまして」
リント
「宗教の勧誘なら間に合ってまーす」
「では、さようなら」
男が一歩出る。
!?
街灯が顔を照らす。
普通の男。
ただ目だけが――空洞。
「観察していた」
リントの視線が鋭く(するどく)なる。
「ストーカーかよ」
男は首をかしげる。
「君は面白い」
「人間でありながら、
マリスを破壊する」
空気が震えるーー
男の体が歪む(ゆがむ)。
骨が裏返る音。
背中が裂ける(さける)。
黒い腕が生える。
だが完全なマリスではない…
理性を残している。
「実験体」
「No.3」
リントの目が細くなる。
「人工か」
男が笑う。
「理解が早い」
次の瞬間!?
消えるーー
風圧。
リントの頬が切れる。
「速ぇな」
男
「データ通りだ」
リントの空気が変わる。
「顕化」
影が体を包むーー
地面が軋む(きしむ)。
男の体が六本腕へ変異
アスファルトが砕ける。
衝突。
拳と拳。
衝撃波。
…壁が砕ける。
男が笑う。
「素晴らしい!」
「融合率が高い!」
リントが低く言う。
「うるせぇ奴だな」
一瞬の静止--
リントの踏み込みーー
顕化エネルギーが爆ぜる(はぜる)。
ドンッ!!
六本腕が吹き飛び
男が壁に叩き(たたき)つけられる。
体が崩れ(くずれ)始める…
だが笑っている。
「今日はここまで」
霧へと変わる。
「リント」
「君は成功例だ」
リントの目が止まる。
「……何のだ」
男の輪郭が消える。
「我々は探している…」
「君のような存在を」
最後に…
「Dが喜ぶ」
完全消滅。
静寂。
スマホが震える。
キリカ
「リントー!」
「ラーメンのびるー!!」
リントは空を見上げた。
どこかで視線を感じる…
見えない高所ーー
ビルの屋上。
暗い部屋。
複数の影。
モニターに
リントの戦闘データ。
一人が言う。
「観察完了」
別の声。
「適合率、想定以上」
一番奥の影。
低い声。
「面白い」
モニターに一文字。
【D】




