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第46話 「甘い楽園」

街に入った瞬間だった。

「……なんか」


キリカが周りを見回す。

「やたら平和じゃない?」



空は晴れーー

街は明るいーー



カフェ。

スイーツ店。

雑貨屋。


楽しそうに歩く人々。



リントが鼻をひくひくさせる。

「甘い匂いする…」



コトハが少し笑う。

「クレープ屋さん」


「チョコレート屋さんもある」



ルディがぼそっと言う。

「……スイーツの街?」



その時。


どこからか声が聞こえたーー


甘くーー

優しくーー

耳元で囁くような声。



『頑張らなくていいよ』



四人が止まる。



『戦わなくていい』


『ここで休めばいい』


『ずっといていいんだよ...』



リントが腕を組む。

「なんだ…この声」



キリカが眉をひそめる。

「これが」



コトハが言う。

「アディクト・ピラー」



その瞬間ーー


また声。

『リント』


『君は頑張りすぎだ』


リントが少し固まる。


『もう戦わなくていい』


『ここにいれば楽しい』



キリカの耳元。

『キリカ』


『強くなくていい』


『誰かに守ってもらえばいい』



キリカが一瞬考える。

「……それ」


「ちょっと楽かも」



コトハの耳元。

『コトハ』


『未来なんて見なくていい』


『考えなくていい』



コトハが困った顔。

「それは…」


「ちょっと魅力的」



ルディの耳元。

『ルディ』


『面倒なこと』


『全部やめていい』



ルディが真顔で言う。

「……最高」



リントが笑う。

「ルディお前一番ハマってるじゃねぇか」



その時ーー


街の奥から声。

『さあ』


『楽しいことをしよう』


『依存しよう』


『ここは』


『アディクトの街』


『最後の楽園』



リントが頭を()く。

「なるほどな…」


「やる気なくさせる街か…」



キリカが背伸びする。

「悪くないわね」



コトハが小さく笑う。

「ちょっと休憩?」



リントが言う。

「よし!」


「休むか!!」



ルディが(うなず)く。

「……賛成」



ーー数分後。


カフェ。

四人が座っている。



ケーキ。

パフェ。

クレープ。

山盛り!!



リント。

「うめーっ!」



キリカ。

「マジ美味しい!」



コトハ。

「幸せ…」



ルディ。

「……平和」



眼前に(そび)える塔ーー



【アディクト・ピラー】



その頂上で守護者が様子を見ていた。

「よし…」


「フフフ…」


「人は依存には決して抗えない存在…」


「甘い誘惑なら…尚更…」



しかしーー


カフェの席。



リントが立ち上がる。

「よし!」


「食ったし行くか」



キリカも立つ。

「甘い声で言われてもねぇ」


「私ーー」


「基本わがままだから」



コトハも立つ。

「依存って」


「自分で決めるものだよね」



ルディがぼそっと言う。

「……束縛嫌い」



塔の上。


守護者が固まる。

「え?」



リントが塔の方を見る。

「なんか…」


「上の方にボスっぽいのいるな!」



キリカが剣の柄に手を置く。

「いるわね!」



コトハが小さく言う。

「守護者かな?」



ルディが呟く。

「……面倒そう」



リントがニヤリと笑う。

「まぁ」


「行けばわかる!」



四人はゆっくりとーー

塔へ歩き出したーー



塔の上。


守護者が焦る。

「え?」


「ちょっと待て!」


「依存しないの!?」



甘い街の奥ーー


静かにーー


“依存”が牙を剥こうとしていたーー

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


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