第42話 「疑心暗鬼」
「捕まえろ!!」ーー
怒号が夜の街に響く。
数十人の群衆がリントたちへ押し寄せた。
リントが眉をしかめる。
「マジかよ?」
キリカが剣を構える。
「どうする?」
コトハがすぐ言う。
「戦っちゃダメ!」
「この人達は普通の人」
男が叫ぶ。
「そいつらが災厄を呼ぶ!」
「覚醒者を殺せ!」
石が飛ぶーー
ガンッ!
リントの肩に当たる。
キリカが怒る。
「ちょっと!」
「やめなさいよ!」
しかしーー群衆は止まらない。
突如、女が泣き叫ぶ。
「子供が消えたのよ!」
「全部あいつらのせい!」
男が続くーー
「覚醒者は化け物だ!」
ルディがぼそっと言う。
「……当たってる」
リントがため息をつく。
「逃げるか」
その瞬間ーー
群衆の奥で
一人の男が叫ぶ。
「見たぞ!」
「塔から黒い影が出た!」
人々がざわつくーー
「魔物だ!」
「街を襲う!」
恐怖が一気に広がるーー
コトハが小さく言う。
「フォビア・ピラー」
「恐怖を増幅してる…」
キリカがイラつく。
「デマまで増えるの?」
コトハが首を横に振る。
「違う」
「恐怖が想像を作る!」
その時だったーー
遠くでーー
ドォォォン!!
爆発音。
街の向こうで
煙が上がるーー
人々が叫ぶ。
「魔物だ!」
「逃げろ!」
群衆が一斉にパニックになる。
押し合いーー
転倒ーー
悲鳴ーー
リントが顔をしかめる。
「マジ最悪だな…」
キリカが言う。
「同じ事ばっか言ってるようだけど……どうする?」
コトハが目を閉じる。
未来視ーー
そして呟く。
「……本当にいる」
リントが聞く。
「何が」
コトハが震える声で言う。
「恐怖が」
「形になってる」
その瞬間!
煙の中から
黒い影が現れる。
四足。
巨大な牙。
人間の恐怖が生んだ怪物ーー-
群衆が悲鳴を上げる。
「魔物だあぁぁぁ!!」
リントが笑う。
「はは……最高じゃん」
「これで逃げる理由なくなったな」
キリカが呆れる。
「喜ばないで」
怪物が群衆に向かって突進する。
コトハが叫ぶ。
「人が!」
リントが飛び出す。
ドォン!!
拳で怪物を殴り飛ばす。
怪物は地面を転がる。
しかし…
すぐに立ち上がる。
キリカが驚く。
「再生!?」
コトハが言う。
「恐怖が消えない限り」
「消えない」
ルディがぼそっと言う。
「……つまり」
「終わらない…」
リントが頭を掻く。
「また面倒な敵だな」
「想像が敵になるとか……タチ悪すぎだろ」
その時。
空気が変わるーー
街全体がーー
静かになる。
コトハが震える。
「……来た!」
キリカが周囲を見る。
「何が?」
コトハが空を指す。
黒い霧。
その中から…
巨大な影。
ゆっくり降りてくるーー
群衆が震える。
「……あれ」
「なんだ」
霧の中から現れたのは
顔のない巨人ーー
体は黒い煙でできている。
その声は…
人間の囁きのようだった。
「怖い」ー
「怖い」ーー
「怖い」ーーー
キリカが呟く。
「……趣味悪いわね」
コトハが震える。
「フォビア」
「守護者」
リントが拳を鳴らす。
「見えない敵じゃなかったな」
ルディがぼそっと言う。
「……いや」
「…違う」
コトハが言う。
「本体じゃない!?」
沈黙…
リントが振り向く。
「どういうことだ?」
コトハが答える。
「守護者は」
「この街の恐怖そのもの」
その瞬間ーー
街中の人間が
一斉に震えた。
そしてーー
全員が同時に呟く。
「怖い」
リントが目を見開く。
キリカが剣を握る。
ルディが空を見上げる。
得体の知れない恐怖が…
街全体に広がっていた。
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