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第34話 「黄金の塔」

巨大都市の外縁(がいえん)



夜明け前の空はまだ暗くーー

遠くの地平線だけがわずかに

赤く染まり始めていた。



リントたちは丘の上に立っていた。


その先に広がるのは――

巨大な街。



高層ビルが林立(りんりつ)し、

無数のネオンが夜を照らしている。



だが…

その中心。


街のど真ん中に

異様な塔がそびえているーー

黒い塔。



今までの塔とは違うーー


塔の表面を流れる光は――

金色。



キリカが顔をしかめる。

「……何あれ?」



コトハが小さく(つぶや)く。



【マモン・ピラー】



リントは腕を組んで塔を見上げた。

「ずいぶん派手だな」



その瞬間だった!


街の方から爆発音が響く。



ドォン!!



煙が上がるーー

さらに別の場所で怒号(どごう)が聞こえる。



「金を返せ!!」


「奪え!!」


「逃がすな!!」



キリカが眉をひそめる。

「……何かやばくない」



三人は街へ向かった。



街の入口に着いたとき、彼らは足を止めた。


そこには信じられない光景が広がっていたーー


人々が争っているーー



通りでは殴り合い。

店は略奪。

銀行の前には群衆が押し寄せている。

道路には燃える車。



完全な混乱だった…



キリカが(つぶや)く。

「……戦争??」



コトハは首を振る。

「違う」


塔を見るーー

「欲望」



リントが歩き出す。

「塔の影響だな」



その時!


背後から声がした。

「観光客かね?」



三人が振り向く。



そこに立っていたのは――

スーツ姿の男だった。


細い()みを浮かべている。



男は塔を指さした。

「初めて見るだろう?」


「この街の新しいシンボルだ!」



キリカが警戒する。

「あんた何者…」



男は名刺を差し出した。

「営業担当だ」


「主に、この街の欲望を管理している」



そこには会社名が書かれていた。



【マモン・コーポレーション】



男はにこやかに笑うーー

「この街の経済を支えている会社さ」



リントは男をじっと見る。

「塔と関係あるのか?」



男の笑みが少しだけ深くなる。

「もちろん!」


「我々の繁栄の象徴だからね」



その瞬間!!


街の奥でまた爆発が起きた。



ドォォン!!



悲鳴。

怒号。

銃声。



男はまるで気にしていないーー

むしろ楽しそうだった。

「見てくれ」


「人間の本性だ」


「金が(から)めば、皆こうなる」



キリカが(にら)む。

「最低だな…」



男は笑う。

「違う!」


塔を見る。



金色の光が脈打つーー

「これが進化だ!」


「弱い奴が奪われるのは当然だろう?」



コトハの未来視が走る。

そして――


顔色が変わる。

「……リント!」



リントが振り向く。

「どうした」



コトハは震える声で言った…

「この街」


「まだ……壊れる」



リントの目が細くなる。



男は楽しそうに笑った。

「もちろんだ」


「まだ始まったばかりだからな」



男はゆっくりと後ろへ下がる。

「塔に近づきたければ好きにするといい」


「だがーー」



男の声が低くなる。

「そこに辿(たど)り着くまでに」


街の暴動を指さす。

「何人殺すことになるかな?」



(にご)った笑みを浮かべーー男は闇の中へと消えた。



キリカが舌打ちする。

「ムカつく奴だな」



リントはマモン・ピラーを見上げる。


塔の金色の光が、街を照らしていたーー



コトハが小さく言う。

「守護者は……まだ見えない」



リントが拳を握る。



——この街はもう壊れている…


助けるべきなのかーー

止めるべきなのかーー


一瞬だけ迷いがよぎる。


それでも…


「今はいい」


「まずはあの塔だ」



キリカが剣を抜くーー

「確かに…この街めちゃくちゃにされてるし」



三人は街の中心へ向かって走り出したーー



その様子をーー

遠くのビルの屋上から見ている影があった。


白いタキシード。

帽子を深くかぶった男。



その男は小さく笑う。

「…やっと来たか」


男の目が光る。

「リント…」



その男こそ――



   ルディだった。



黄金の塔の影でーー


新たな戦いがーー


今まさに始まろうとしていた。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


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