第26話 「始動する影」
戦いの跡が残る地。
瓦礫の上で--
キリカがドサッと座り込んだ。
「はぁぁ……」
思いきり息を吐く。
腕も足もまだ震えている。
リントが振り向く。
「大丈夫か?」
キリカが睨む。
「誰のせいだと思ってんのよ」
リントが笑う。
「俺かよ?」
キリカ
「そうよバカ!!」
コトハが小さく笑った。
緊張が解けたのかーー
三人の間に少しだけ穏やかな空気が流れる。
だが――
ドクン!
黒い塔が脈打ったーー
三人が同時に顔を上げる。
塔の表面。
黒い紋様がゆっくりと広がっていく。
コトハが呟く。
「……何これ」
リントが塔を見上げる。
「さっきまで…」
「こんなんじゃなかったよな」
キリカも立ち上がり塔を睨む。
黒い塔はまるで 呼吸しているかのように脈打っていた。
ドクン-
ドクン--
ドクン---
コトハの顔が青ざめる。
「……嫌な感じ」
リントが笑う。
「まあいいじゃん」
拳を握る。
「来るなら来いって感じだろ」
その時だった!
塔の頂上ーー
黒い霧がゆっくりと渦を巻き始めた。
まるで…
得体の知れない何かが…
目を覚ますかのような違和感。
キリカが呟く。
「……嘘でしょ」
大地がわずかに震える。
コトハの未来視が走る。
一瞬だけ。
巨大な影。
コトハが息を呑む。
「……来る」
リントが塔を見上げた。
その目は 静かに燃えていた。
「いいじゃねぇか」
笑う。
「次は何だ?」
ーー場所は変わり
【???】
暗い部屋。
無数のモニター。
その一つに映っている。
黒い塔の麓。
三人の姿。
椅子に座る男がいた。
【ゼノン】
静かな目で画面を見ている。
画面の中。
リントの手の甲。
光る紋章。
ゼノンが呟く。
「……目覚めたか」
その時背後の扉が開くーー
足音。
ゼノンは振り向かない。
「来たか」
男が隣に立ちモニターを見る。
銀色の長髪。
静かな目。
【ルディ】
少し首を傾げる。
「……あれ」
画面のリントを見る。
「この前の…」
ゼノン
「知っているのか」
ルディ
「…少しね」
沈黙。
ルディが画面を見つめる。
リント。
キリカ。
コトハ。
小さく呟く。
「面白い…人間」
黒い塔がモニターの中で脈打つ。
ドクン。
ルディが空を見上げるように言う。
「……守護者」
ゼノン
「ああ」
静かに続ける。
「塔は異物を嫌う」
画面の三人を見る。
「だから排除される」
ルディが聞く。
「死ぬ…?」
ゼノンは少し沈黙した。
そして言う。
「いや」
リントを見る。
「リントは死なない」
ルディ
「どうして…」
ゼノンが小さく笑う。
「俺が…そうだったからだ」
ルディの目が細くなる。
「……なるほど」
少しだけ笑う。
「…興味ある」
その体がゆっくりと黒い霧に溶けるように消えるーー
最後に一言。
「また会おう…」
部屋に静寂が戻るーー
ゼノンはモニターを見続けていた。
黒い塔。
その頂上。
巨大な影が動く。
ゼノンが静かに呟く。
「始まる…」
黒い塔の麓---
三人が塔を見上げる。
ドクン-
ドクン--
ドクン---
塔の頂上。
黒い霧の中から
巨大な影が立ち上がる。
夜空に響く咆哮!!
ゴオオオオオォ!!
キリカ
「ちょ……でかすぎない?」
コトハの声が震える。
「守護者……」
リントが笑って拳を握った。
「いいね」
巨大な影を睨む目が鋭くなる。
「やっと…本番か」
満月の下ーー
黒い塔の頂上で。
守護者が……目覚めた。
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