第25話 「反撃の狼煙」
瓦礫の山に--
静かな風が吹く。
コトハの前で
リントがゆっくり立ち上がった。
その体からは
まだ淡い光が残っている。
コトハの目から涙が溢れる。
「……リント」
声が震える…
「本当に……生きてるの?」
リントが振り向く。
いつもの顔。
少しだけ困ったように笑う。
「だから言ったろ」
「ちょっと寝てただけだ」
キリカが怒鳴る。
「寝すぎよバカ!!」
涙で顔がぐしゃぐしゃだった。
リントが笑う。
「キリ…」
その時だった!?
リントの目が止まる!!
キリカの体…
ボロボロだった。
服は裂け--
腕は血だらけ--
膝は砕けた瓦礫に沈んでいる。
呼吸も荒い。
リントの顔から
笑いが消えた。
静かに聞く。
「……誰にやられた」
キリカが答える前に
リントの視線が動く。
前方。
瓦礫の向こうーー
黒い影。
模倣アビス。
懐中時計の光の影響か
その体はわずかに歪んだまま---
静観している。
リントは理解した。
すべてーー
キリカの傷。
コトハの涙。
さっきまでの戦い。
静かな声で言う。
「……あいつか」
空気が変わった…
リントの手の甲。
【リベリオンの紋章】が…
ゆっくり輝き始める。
コトハが気付く。
「……リント?」
光が強くなる。
バチッ――
空気が震える。
キリカが目を見開く。
「ちょっと待って…」
リントの背中から…
感じたことのない圧が溢れる。
怒りだった。
だが叫ばない。
静かな怒り。
リントは歩を進める。
「キリ」
振り向かず言う。
「よくやった」
キリカが固まる。
「……え?」
リントが続ける。
「よく」
拳を握る。
「生きててくれた」
その瞬間!!
模倣アビスが動いた。
光の歪みが解ける。
黒い体が…
一瞬でリントへ迫る。
コトハが叫ぶ。
「リント!!」
だが…
遅かった。
ドンッ!!
衝撃。
次の瞬間!!
模倣アビスの体が
地面に叩きつけられていた。
キリカの目が見開く。
「……は?」
リントの拳が
アビスの顔面にめり込んでいた。
地面がクレーターになる。
リントが呟く。
「遅ぇよ」
模倣アビスが起き上がる。
形が歪む。
再びコピーしようとする。
だがーー
その視界からーーリントが消えた。
ドンッ!!
横からの衝撃。
アビスの体が吹き飛ぶ。
ビルの残骸を突き破る。
キリカが叫ぶ
「速すぎ!!」
リントはすでに目の前にいた。
アビスの腕が再びーー
刃へ変形し振り下ろされる!!
ガキン!!
だが
止まった。
リントが素手で
刃を掴んでいた。
ギリギリと音が鳴る。
リントが静かに言う。
「仲間」
力を込める。
黒い刃が砕けた。
「泣かせた罪…」
拳を振り上げる。
「許せねぇ!」
ドンッッ!!!!
強烈な一撃。
模倣アビスの体が
真っ二つに砕けた。
静寂の中…瓦礫の崩れる
音だけが響く。
キリカが呟く。
「……嘘」
コトハも言葉を失う。
「強すぎ……」
リントが振り向く。
さっきまでの怒りは消えていた。
いつもの顔。
「終わったぞ」
その瞬間。
キリカが走った。
ドンッ!!
思いきり抱きつく。
「バカ!!」
涙が溢れる。
「本当に死んだと思ったんだから!!」
リントが苦笑する。
「苦しいって」
コトハも泣きながら笑う。
「……もう」
涙を拭く。
「心配させないで」
リントが二人を見る。
少しだけ照れる。
「わりぃ」
そして…空を見上げる。
黒い塔。
不気味に脈打つ巨大な存在。
リントが拳を握る。
リベリオンの紋章が
静かに輝く。
「まだ終わってない」
笑うーー
、
あのいつもの笑顔。
「行こうぜ」
二人を見る。
「三人で」
黒い塔を指さす。
「てっぺんまで!」
黒い塔が
不気味に脈打った。
まるでーー
三人を待っているかのように。
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