第21話 「三人の距離」
街の外れーー
壊れかけたコンビニの前。
街灯が一つだけーー
静かに点いている。
キリカが袋を振った。
「よし!」
リント
「何がよしだ!」
「あー腹減った…何かくれよ」
キリカ
「補給完了!」
袋の中には
パン、プリン、ジュース…
リント
「もう…完全に遠足だな」
キリカ
「戦いの合間の癒しよ!」
コトハが少し笑う。
「キリちゃん…」
「それ全部甘い物」
キリカ
「え?」
袋を見る。
チョコパン
クリームパン
プリン
ドーナツ
…
キリカ
「……あ」
リントが吹き出す。
「バカじゃねぇの」
キリカ
「うるさい!」
コトハが小さく笑う。
三人はコンビニ前の縁石に座る。
夜風が静かに吹く--
リントが缶ジュースを開けた。
「ぷはーっ」
キリカ
「うわっ…おっさんくさ」
リント
「言うな」
沈黙ーー
遠くで犬の鳴き声--
キリカが言う。
「ねぇ…」
リント
「ん?」
キリカ
「なんであんたそんな平気なの?」
リント
「何が?」
キリカ
「マリスとの戦い」
リントは少し考える…
空を見上げ肩をすくめながら。
「……別に」
「怖くないわけじゃないけどな」
キリカ
「じゃあ何で?」
リント
「誰かがやらねぇと」
缶を軽く振る。
「終わらねーだろ」
「……」
コトハが静かに言う。
「リントは…」
二人が彼女を見る。
「優しいね」
リント
「は?」
キリカ
「どこが?」
リント
「お前が言うな!」
コトハ
「二人とも」
少し笑う。
「自覚ないだけ」
リント
「意味分かんね」
キリカがプリンを食べながら言う。
「でもさ!」
スプーンを振りながらリントを見る。
「正直」
「リントいなかったら
私もう死んでただろうな…」
リント
「何言ってんだお前」
「大袈裟なんだよバカ」
キリカ
「大袈裟なんかじゃない!」
コトハも小さく頷く。
「私も…一緒」
リントが少しだけ照れる。
「……めんどくせぇなお前ら」
キリカ
「なによ!」
リント
「感謝とかいらねぇんだよ」
そして二人に聞こえるか聞こえない声で呟く…
「感謝してんのはこっちだっつーの…」
二人
「えっ?」
慌てて取り繕いながら空を見上げるーー
「…どうせまた戦うんだろ」
キリカ
「まぁね!」
コトハ
「うん!」
リントが笑う。
「じゃあさ」
二人を見る。
「約束しようぜ!」
キリカ
「なに?」
リント
「三人とも」
拳を強く握る。
「絶対死なない!!」
キリカが笑う。
「それ」
指を差す。
「死亡フラグ」
リント
「うるせぇ!」
コトハが少し笑う。
「でも」
小さく言う。
「いい約束」
キリカが立ち上がる。
「よし!」
手を出す。
「じゃあ」
リント
「子供かよ」
キリカ
「いいから!」
コトハが手を重ねる。
「三人」
リントがため息をつく。
「……はいはい」
手を重ねるーー三人の手。
キリカ
「せーの!」
三人
「絶対死なない!!!」
その瞬間---
静かに風が吹く。
どこか遠くで
黒い塔が光った。
“何かが応えたように”
コトハが言う。
「ねぇ」
キリカ
「ん?」
コトハ
「もし…」
少しだけ迷う。
「もし…この三人が崩れたら」
沈黙…
キリカ 「……は?」
リント 「おい」
コトハ 「仮の話」
静かに言う。
キリカ
「そんなの」
即答する。
「ありえない!」
リントが笑う。
「だよなぁ」
コトハは二人を見る。
そして小さく笑った。
「うん」
「ありえない」
夜空。
星が静かに瞬く。
その下でーー
三人は笑っていた。
まだ誰も知らない…
数時間後――
この約束が
破られることを---
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
もし宜しければブックマークお願いいたします。




