第12話 「崩壊の夜」
夜の街にーー
サイレンが響く。
消防車。
パトカー。
救急車。
すべてが入り乱れていた。
だが――
それでは追いつかない。
交差点の真ん中で
一人の男が叫んだ。
「やめろ……やめろ!」
次の瞬間!
男の体から黒い霧が噴き出す。
顕化ーー
通行人が悲鳴を上げて逃げ惑う。
別の通り。
ビルの屋上。
地下鉄のホーム。
次々と人が黒い霧を吹き出しながらマリスへと変わっていく。
まるで――
街そのものが壊れ始めているようだった。
コンビニ前。
キリカが呆れた顔で言う。
「これさ…」
「映画とかのレベルじゃないよね」
コトハは端末を睨んでいた。
「顕化反応が……止まらない」
「増え続けてる」
キリカが言う。
「百とか言ってたよね?」
コトハは答えた。
「今は……」
「二百三十…」
キリカ
「は?」
「……」
突如ーー遠くで爆発音。
リントが歩き出す。
キリカが聞く。
「どうする?」
リントは短く言った。
「全部止める!」
一瞬だけ…
街の音が遠のいた。
キリカが吹き出す。
「相変わらず無茶言うねあんた」
コトハは冷静に言う。
「分散するしかない…」
「このままだと街が壊れる」
キリカが指を鳴らす。
「よし」
「暴れる時間だ!!」
三人はそれぞれ別の方向を見る。
その時ーー
空気が変わった!?
リントが顔を上げる。
黒い塔。
そこから黒い光が脈打っていた。
まるで…
心臓の鼓動のように。
その頃。
黒い塔の頂上でーー
一人の男が街を見下ろしていた。
黒いコート。
鋭い目。
【ゼノン】
彼の足元には
黒い霧が渦巻いていた。
ゼノンは静かに言う。
「始まったな」
背後の闇から声がする。
「派手にやるじゃないか」
現れたのはフードを被った男。
ゼノンは振り向かない。
「D」
男は笑った。
「街一つ壊す気か?」
ゼノンは答える。
「壊す?」
「違うな…見せるんだ」
ゼノンの目が細くなるーー
「人間の本当の姿をな」
街のあちこちで
黒い霧が立ち上る。
悲鳴。
爆発。
混乱。
ゼノンは呟いた。
「さあ、リント」
「どこまで耐える」
「どこまで人間を信じる」
Dは空を見上げる。
「……面白い男だな」
「リント」
その頃。
リントはビルの屋上に立っていた。
目の前にはーー
三体のマリス。
街の向こうでは
さらに黒い煙が上がる。
キリカが隣に立つ。
「数、多すぎ」
コトハも言う。
「まだ増えてる」
リントは拳を握った。
そして――
黒い塔を見る。
「……来る」
キリカ
「何が?」
リントは答える。
「本物が」
その瞬間!!
屋上の端にいつの間にか…
一人の男が立っていた。
黒いコート。
鋭い目。
男は言った。
「やっと会えたな」
リントが振り向く。
男は笑う。
「リント」
「お前をずっと探していた」
キリカが小声で言う。
「誰?」
男は答えた。
「ゼノン」
そして静かに言う…
「元リベラだ…」
その言葉に――
リントの心臓は妙な
ざわつきを感じた。
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