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第11話 「呼ばれている」

ドゴォ…ッ…



コンビニの壁(かべ)にめり込んだマリスがーー

ゆっくりと体を起こす。



黒い霧(きり)が、さらに濃(こ)くなっていた。



男は笑う。

「聞こえる」


「聞こえるんだよ」



キリカが眉(まゆ)をひそめる。

「何が?」



マリスは空を指差した。

「塔(とう)だ」


「塔(とう)が呼んでる」



コトハが端末(たんまつ)を確認する。


画面が赤く点滅(てんめつ)していた。

「顕化反応(けんかはんのう)…急上昇」


「ありえない速度」



キリカが顔をしかめる。

「ちょっと待って」


「どれくらい?」



コトハは静かに答える。

「この街だけで……」


「三十以上」



キリカが目を見開く。

「三十!?」



その瞬間!



床が砕(くだ)ける。

マリスが地面を蹴りーー

一直線にリントへ突っ込む。



瞬足の一撃が振り下ろされた。


だが――


リントは動かない。



拳が当たる寸前ーー

リントが身体を開きスルリといなす。


すり抜けた攻撃は無人の壁へーー

衝撃(しょうげき)で空気が弾(はじ)けた。



マリスが目を見開く。

「……?」



リントは低く言う。

「もう終わりだ」



マリスは笑った。

「違う」


「始まりだ」



その瞬間!



男の体から大量の黒い霧が噴(ふ)き出した!!


霧が膨(ふく)れ上がり体が歪(ゆが)む。



コトハが叫(さけ)ぶ。

「顕化(けんか)が進んでる!」


「第二段階!!」



キリカが拳を握(にぎ)る。

「うわぁ」


「今日は忙しいね」



リントは一歩踏(ふ)み出す。


空気が一瞬(いっしゅん)ーー

重く沈(しず)んだ。



次の瞬間!!



拳が閃(ひらめ)きーー

一筋の閃光が走る。



黒い霧(きり)が爆(は)ぜ!!

マリスの体が崩(くず)れ落ちた…



リントは静かに言う。

「もう苦しまなくていい」


………


「よく頑張ったな」



黒い霧(きり)が消えていく……



倒れているのは

ただの男だった。

意識を失っているだけだ。



キリカが肩をすくめる。

「ほんと毎回これ」


「人騒(ひとさわ)がせ」



コトハは端末(たんまつ)を見る。


だが――


その顔色が変わった。

「……リント」


「まだ終わってない」



キリカが笑う。

「え、また?」



コトハは画面を見せた。


赤い点。


それが一気に増えている…



キリカの笑顔が消える。

「……嘘(うそ)でしょ」



コトハは言った。

「顕化反応(けんかはんのう)」


「この街だけで…」


「百を超(こ)えた!」



「……」


その沈黙を打ち破るように遠くから爆発音。


そして悲鳴(ひめい)…



突然リントは悪寒(おかん)にも似た視線を感じ……振り返る。



黒い塔(とう)ーー


その頂上に黒い影が立っていた。


そこ影はーーゆっくりと首を傾(かたむ)ける。



そして――呟(つぶや)く。


「見つけた」


「リント」


男は静かに笑った。


「やっと会えた」



その男の名は



  【ゼノン】



黒い塔の光がーー

夜空を貫(つらぬ)いた。



――その瞬間(しゅんかん)。



リントの胸がーー

同じように脈打った。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


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