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第五十三話 対面

 分かる……。

 見えていないけれど、感じる。

 この血の匂いに寒気……仲間たちのものだ。

 

 俺が部屋に向かって歩き出すと、脳内に直接語りかけられた。


 ――アース。早く玉座の間に来い。貴様にはその資格がある。


 脳に響く気持ち悪い声。

 サンか。


「資格もクソもあるかよ。仲間たちとともにてめぇのもとにいってやるから待っとけ」


 ――貴様に拒否権はない。


 サンが話を終えると同時に、目の前が光に包まれた。

 眩しさに目をつむり、明るさに慣れてきたところで目を開けると、そこは玉座の間だった。

 玉座にはサンが腰をおろしている。


「空間転移……ウラヌスはまだ生きているのか」

「悪い知らせだ、アース。貴様の仲間は我が子供たちと相打ちになった。お互いに死んでいる」


 相打ち――みんな戦って、プラネットシリーズを打ち倒したんだ。……命と、引き換えに。

 ラキアも、オリビアも、バルトも。

 

 告白……できなかったなあ。

 けど、俺が、みんなの思いを背負って、必ずサンを……殺す。


「それじゃあ、この空間転移は……?」


 全員死んだのであれば、ウラヌスがスキルを使うことは不可能なはずだ。

 まさか、死後も残るのか?


「子どものスキルなどすべて使えるに決まっているだろう。ウラヌスのスキルは希少だからな。戦闘能力は、ゴミに等しかったがな」


 ゴミ……?

 サンは今、自分の子どもをゴミ扱いしたというのか。


「そう怒るな。我にとっては我以外の存在などすべてが塵同然だ。人間だけは食料として価値があるがな。我の子どもといえども塵であることに変わりはない。力なきものに生きる価値はない」


 拳を握りしめる。

 こいつは……同じ魔獣ですらなんとも思っていないんだ。

 自分だけが、頂点で絶対の支配者だと思っていやがる。


 笑いがこみあげてくる。

 俺はこんな生物に傾倒しそうになっていたなんてな。


「てめぇと話しても時間の無駄だな。いくぜ……サン。決めようじゃねぇか、人間と魔獣、どちらが生きるべきか」

「確かに論じる必要などないな。どのような話をしようとも、人間は食料としてしか価値がないのだからな」


 俺は目を見開く。

 この空間の重力を支配して、時を止める。


「重力操作・終末転界」


 魔王だろうがなんだろうが、時を止めるという支配力には誰も抗うことはできない。

 サンは玉座に座ったままピクリとも動かない。

 

 すぐに終わらせてやる――!


 俺は飛び上がりサンの眼前に降り立つ。

 そのまま拳を抜く――


「アッ…………ツ……!」


 サンは間違いなく止まっている。

 だが、サンを取り巻く熱が留まることを知らない。

 それどころか時の支配に抗おうと温度が上昇していき、やがて熱は可視化されていった。


 たまらず飛び退き距離をとる。

 眼球から血が溢れ一旦スキルを解除する。


「覚醒スキル……。魔獣として生きることを拒んだ半魔獣の分際でよくぞそこまで成ったものだ。だが……貴様では我に触れることなどできない」


 サンはゆっくりと立ち上がり、手をかざした。


仄日は天地を灰と化す(ゾネグラオザーム)


 一帯が焔で埋め尽くされ、俺は業火包まれた。

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