表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/61

第四十九話 人型魔獣マーキュリー 前編

「【カイト】……お前がきたか……」


 サラサラの暗い青髪を揺らしながら話す。

 黒いマントを口元まで上げているこの男は……。


「マーキュリー……!」


 プラネットシリーズ長兄のマーキュリー。放つ魔力の濃さはサンを除けば一番だ。


「いったいここはどこだ?」

「魔王城の中にある修練場のようなものだ。遮るものはなにもなく、ただ真っ直ぐ戦いあうことしかできない。我々にとって最高の場であろう」


 青白磁(せいはくじ)の瞳で俺を見る。マーキュリーから、このときを待っていたかのような高揚感をわずかに感じる。


「どちらで生きるか、決めてきたようだな」


 ――《アース》……《カイト・ダーヴィン》……お前がこれからどちらで生きていくのか、定めておけ。


 マーキュリーは魔王城でそう言っていた。

 

「もちろんだ。今お前の隣ではなく対面にいることからも察しがつくだろう? 俺は勇者カイト・ダーヴィンだ。お前をここで潰す」


 マーキュリーに負けじと魔力を放出する。透き通るような白い魔力。対するマーキュリーはアメーバ状のドロドロとした白い魔力。色合いは似ているが、その性質はあまりにも正反対だ。


「……答えを得たならそれでいい。憂うことなくお前を殺せる」


 お互いが部屋の中に円を描くように歩き始める。カッカッと具足が音を鳴らす。

 

 マーキュリーにはなにかを感じる。魔王城での助言。あの言葉が意味するところはなんだったんだ?

 加えて答えを得たから俺を殺すという。最後の最後まで俺が同胞であるかどうかを確かめたかったとでもいうのか。


 関係ないか。

 俺は勇者でマーキュリーは魔獣。それ以外に意味なんてない。


「重力操作・虚空下転」


 目を見開き先手を取る。重力場をマーキュリーのいる位置に精製する。

 だが一足飛びで重力場から逃れた。


降り注ぐ吉凶の星(コメット)

 

 マーキュリーがスキルを発動する。天井面に次元の裂け目のような黒い空間が4つ出現した。

 そこからナニかが射出される――!


「重力操作・虚空上転!」


 自分の前に重力場を精製し射出されたものは天井に突き刺さった。

 プラネットシリーズの修練とあってかなり頑丈だ。破片程度しか落ちてこない。

 

 突き刺さったものを見る。

 あれは……岩石……か?


「これは彗星だ。ふん……初撃で避けるとは、まさに人間界最強だな」

「魔獣も含めて、だ」

「あの程度の物量を捌けたくらいで調子に乗るな。次は……40だ」


 マーキュリーは片手を上げると、黒い空間を40個精製する。

 まさか……!


「ああ、言い忘れてた。ゆりかごから墓場まで(ウニヴェルズム)を40個精製して……射出する数は、その100倍だ」


 話し終わるや否や、彗星が俺を目掛けてマシンガンのごとく射出されていく。

 

「重力操作・虚空流転!」


 重力場を精製する。かかった彗星を利用し別の彗星を叩き落としていく。

 だが飛んでくる質量が違いすぎる。40000個の彗星……俺の重力場をもってしても抜けられてしまう。


「重力操作・虚空炎上転!」


 一面を焼き焦がす炎を発生させる。しかし彗星は止まらない。やがて重力場を突き破り俺のエリアに侵入してきた。


「クッソ……!」

「無駄だ。これまでのプラネットシリーズと同じだと思うなよ……。俺は……お前と同じ境遇なのだからな」

「え……?」


 飛んでくる彗星を避けながら、マーキュリーはおかしなことを言った。

 俺と……同じ?


 困惑する俺の表情を見て楽しんでいるのか、マーキュリーは目を細めて笑っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ