第三十四話 突入
廊下を歩く多数の足音で目を覚ました。
上半身を起こすと同時に扉を開けられた。
白髪の少女、ウラヌスだ。
「おはようございます、アースさん。準備ができたら玉座の間にきてください。あと……これを着てきてください」
青色と白色、緑色がマーブル状に入ったロングマントを俺に手渡し必要事項だけ告げてウラヌスは出ていった。
せめてノックしてから入ってきてほしいものだな。
俺は受け取ったロングマントを羽織って玉座の間に向かった。
◇
「集まったか」
横並びで整列していた俺らプラネットシリーズに向かってサンは厳かに口を開いた。
「本日、キークロス王国の王に会いに行き、食料を提供してもらえるかの交渉をしに行く。抵抗された場合はまた強制的にさらうことにする。アース、サターン、ジュピター、ついてこい」
「おっしゃー! 暴れるぜぇ……!」
「サターン、一応交渉決裂したら、だからな」
サターンが体を震わせて喜んでいる。ジュピターはその横でいさめていた。
俺もキークロス王国に……。ついに殺してまわることになる。人間どもを……!
サターンほどではないが、俺も体が震えてきた。
怖いのか嬉しいのかまだ判別できない。
ふと、視線を感じる。マーキュリーが眠たそうな目でこちらを見ている。
どちらで生きていくか……か。
もう考えている余地もないだろう。
「では今から行くぞ。ウラヌス、頼むぞ」
「分かりました。皆さん、中央へ」
ウラヌスに言われた通り王国に行く魔獣たちは中央に集まる。
「宙を漂う一羽の蝶」
胸の前で手を組んだウラヌスはスキルを発動し、次元の裂け目が作り出された。
これまで次元の裂け目でプラネットシリーズを運搬していたのはウラヌスだったのか。
「ご武運をサン様、そして、兄弟の皆さま」
ウラヌスの会釈が目に入ったところで、次元の裂け目が閉じた。
◇
宙を浮く感覚に身をゆだねる。
しばらくの浮遊感を楽しみやがて着陸するような振動を感じた。
「しゃあ! ついたぜ!」
サターンの大きな声とともに、キークロス城の目の前に俺たちはいた。
本当にすごい能力だな。俺がネプチューンを倒せたのは運がよかったのかもしれないな。
「サン様、正面から行くんですか?」
ジュピターは前に立っていたサンに問いかける。
「無論だ。交渉をしに行くのだからな」
サンはそのまま歩き始めた。城門にいた騎士が俺たちを見つける。途端、大声を張り上げて王国内に敵襲を伝え始めた。
「……まあ、こうなるわな」
ジュピターはため息をついて飛び上がり、城門にいた騎士5人を素手で殺した。
あっけなく、死んだ。
これが俺がこれから過ごす世界。
「あ! ずりぃぞジュピター! その役は俺だろうが!」
吠えるサターンをサンは手で制した。
「なんども言わせるな。交渉にきたのだ。ゆるりと正面から玉座の間を目指すぞ」
ジュピターが城門を開ける。
サンはブツブツと悪態をつくサターンを連れて中へと入っていった。
「アース、早く入れよ」
ジュピターに促されて俺も歩を進める。
まさか魔獣として王国に、城に足を踏み入れることになるとはな。
暗雲立ち込める空を見上げながらサンの後を追った。




