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第二十七話 帰還、そして

「カイトォォォォォォォォォ!!!」


 はるか後方からバルトの声と走ってくる聞こえてきた。

 ついでにラキアとオリビアの悲鳴も。

 見ればバルトに引きずられるかたちでラキアとオリビアがきていた。


「大丈夫か!」

「それはこっちのセリフだ!」


 ラキアとオリビアは地面でグッタリとしている。

 息を整えたあと、バルトは神妙な面持ちで俺に問いかけた。


「カイト……あいつ倒したんだな」

「まぁ……な」


 なんとも言えない返事を返す。

 なにしろ自覚がない。ネプチューンが俺の目の前から姿を消していて、なおかつ建物や木々が一帯なくなっていることから、おそらく倒したと思うが……。


「まさかお前の底力がこんなにヤバいとはな……敵に回したらいけない奴だったぜ」

 

 ワハハと笑いながら軽口を叩くバルト。

 

 俺は――笑えない。

 たしかにここまでの被害を出す力だ。人型魔獣とも互角以上に戦えるだろう。けど、いつ味方に攻撃するかも分からない。

 こんな不安定な状態で、この先戦えるだろうか。


「しかし、敵の情報は得られなかったな」


 ラキアによる治癒を受けたのか、オリビアは回復した状態で話した。


「とりあえず窮地を脱することが第一だったからな。次はもう少し上手くやりたいけど」

「カイトさんがいなかったら全滅してましたから、今回はこれが1番の結果です。亡くなった勇者の方々もいますから……」


 ラキアは伏し目がちに言った。

 

 そうだ。仲間が無事で、魔王の子供と称する相手を1人撃破できたのだ。今はこの結果を喜ぼう。


「よし、じゃあ帰るか!」


 俺たちはラキアのおかげで結果的に無傷で王国へ帰還した。


 

 ◇



「なんだぁ? 遠くのほうがやけに明るくねぇか?」


 北10地区を抜けたあたりでバルトがぼやいた。

 たしかに夕焼けにしては明るくすぎる。いや、明るいというより燃えているような……!


「あそこは……まさか……孤児院……!?」


 ラキアは口に手を当てて震え始めた。

 孤児院の方角が猛々しく燃え上がっている。遠目で見ても火力が分かる。急いで行っても間に合うか……?


「とりあえず急ぐぞ!」


 俺が言うより早くラキアが駆け出していた。

 オリビアとバルトも続くように走る。


 頼む……無事であってくれ……!



 ◇



 燃え盛る炎。

 殺害されている騎士たち。

 魔獣たちを相手に奮闘する騎士たち。

 姿の見えない子供たち。


 孤児院は焦土と化していた。


「う……そ……」


 ラキアは生気を失ったように膝から崩れ落ちた。

 

「とりあえず騎士団を助けるぞ!」


 オリビアが先行して魔獣たちを殺していく。

 俺とバルトも合わせて動く。

 

 しかし魔獣たちの数が多い。

 ゴリラントやリザードなど見たこともない魔獣も存在している。

 50……いや、100は超えているか……?

 

「クソッ! 数が多すぎる!」


 バルトも必死に応戦するが、騎士団が次々とやられていく。

 視界の端に魔獣に殺されそうになっている騎士を見つける。


「重力操作・下転!」


ゴリラントを重力で圧し潰して騎士を救出する。

 もともと深手を負っていたのか、グラリと体勢を崩したところに肩を貸す。


「どうした! なにがあった!?」

「ば……け……もの……」


 騎士は最後の力を振り絞って指を差し、そう言い残して気を失った。

 

 俺は騎士の示した場所に目を向ける。

 紅蓮の劫火に包まれた孤児院の残骸の上に立つ男が1人。

 男は次元の裂け目に抱え込んでいた子供を次々と放り込んでいた。


「なにやってんだお前ぇぇぇぇ!!!」


 俺の怒号に気がついたのか、赤いマントに赤フードを身にまとった男がこちらを伺うように頭を向けた。


「んあ? 誰だお前?」


 興味のない口ぶりで、男は俺に話した。

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