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第二十四話 北30地区

 北20地区までの魔獣は俺とオリビア、バルトで簡単に倒すことができた。ラキアには後方から支援をして、万が一に備えてもらっている。


「なんだ、大したことねぇやつらばっかりだな」


 以前辿り着いた人気のない集落まで来て、バルトは口を開いた。


「お前は人型魔獣を見ていないからそんなことを言えるのだ。あいつらはカイト君に近い実力の持ち主なんだぞ」


 オリビアは諭すようにバルトに言った。

 舌打ちをしてバルトはそっぽを向く。


「は、カイトと同レベルだったら世界が終わってるぜ」


 バルトは先行して歩き始めた。

 頭悪そうに見えて以外に物事を理解しているな。

 

 北20地区を超えて、遂に北21地区に足を踏み入れる。またも森林になっていったが、20地区までと比べて開けた場所が多く、その度に人の手によって造られたであろう建築物が散見された。しかし人は1人も見当たらない。


ギィーギィーと鳴く魔獣が次から次へと姿を現す。


「しゃらくせぇなぁ! 爆裂炸手!」


 バルトは機械仕掛けの右腕を爆破させて、大きな牙とツノを持つ四足歩行の魔獣、ホワイトファングを蹴散らしていく。


「カイトさん、やっぱり王国以外にも人はいるんですね……」


 ラキアは不安そうな顔で俺に話しかける。


「おそらく……な。そしてそいつらは全員魔獣たちによって殺されているんだろう」


 北区しかまだ見ていないが、他の区もどうようなのだろう。

 ここまで殺戮を繰り返しておいて、なぜ王国は未だそこまでの被害がないのだろうか。早いところ人型魔獣を捕まえて話を聞きたいところだ。

 

 やがて北30地区へと辿り着いた。

 今まで見た中では1番大きな集落、いや、もう街といっても過言ではないほど精巧な建物の造りになっていた。

 ご多分に漏れず人はいない。


 未開の地の中でも発達している場所とそうでない場所で分かれているらしい。


 俺は木にもたれかかるようにして立った。

 別段なにか起きたわけではないが、まだこの先もあるのかと思うと少々嫌気がさす。


「とりあえずは30地区まで辿り着いたが……どうする?」


 オリビアが進むか退くかの判断を俺に委ねた。

 まだお目当ての人型魔獣に出会えていない。嫌気がさしたとはいえ体力は万全、日もまだ高い。


「……先に進もう」


 俺はそう言って街を抜けていき31地区に歩こうとしたとき、見えない壁に阻まれて突き飛ばされた。


「なんだッ!」


 俺はすぐさま臨戦体勢をとるが、敵襲というわけではなかった。たた、先に進めない、結界のようなものが張られていた。


「これは……八重結界(やじゅうけっかい)……ですね」


 ラキアは結界の中身を看破した。

 補助系のスキルを使うラキアは同じ補助系のスキルに対しての観察眼に長けている。


「八重結界? なんだそりゃ」


 バルトが首を傾げる。


「単純に8枚の結界が張られているってことです。しかも1枚の決壊につき1人が貼っているため、8人の結界を貼っている相手を倒さなくてはなりません」

「めんどっちぃなぁ」


 バルトはため息混じりに話す。

 これ以上は進めない……か。


「珍しい女も居たもんだねぇ。回復系のスキルを持ってるなんて」


 ジュピターのときと同じく、空中に次元の裂け目ができて、中から人が出てきた。

 いや……人じゃない。人型魔獣……だ。


 青藍(せいらん)の髪をポニーテールにしていて、水色のロングマントに身を包む女の人型魔獣。


 青色と白色が混じった瞳でこちらを見下ろした。


「私の名前はネプチューン。魔王の8番目の子供だ。悪いけどお前ら全員死んでもらうよ!」

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