第二十三話 壊滅
晴れてパーティ入りしたバルト。王様とは多少の確執が生まれてしまったが、仕方ない。強力な魔獣を倒すためにはこちらも力が必要だ。それにバルトは思ったよりも悪人ではない。彼もまた愛国心を持っていた。
パーティ入りした後もバルトはグチグチ文句は言っていたものの、俺に対して真っ向から歯向かうということはない。ひとまずは丸く収まった。
次なる未開の地開拓のために準備を進めて数日後、クエストを覗きにギルドに全員で赴いたとき、ギルド内が騒然としていた。
「なんだ? やけにうるせぇじゃねぇか。いつもこんなにうるせぇのか?」
バルトが俺の耳元でつぶやく。
そんなことはない。確かに静かな場所ではないものの、耳元で話さなければ聞こえない程ではない。活気があるというよりも、戦々恐々としている雰囲気だ。受付嬢が必死にクエスト受注者を鎮めている。
俺たちは人波を掻き分けて受付嬢のいるカウンターへと近付いた。
「これはなんの騒ぎだ?」
俺が話しかけると受付嬢は安堵したのか、落ち着いた表情で話始めた。
「今朝情報が入ってきまして、北区以外の勇者が正体不明の魔獣を相手に全滅したみたいなんです……! カイトさんたちやガイアさんたちが大丈夫か不安でしたが、とりあえずは安心しました……」
なるほどな。それは大騒ぎになるわけだ。国が頼りにしていた勇者がことごとくやられてしまったのだ。信じられないといったところか。ますます急ぐ必要があるな。
俺は後ろにいる仲間たちを見る。全員思いは一緒だ。
「未開の地開拓のクエストを発行してくれ。北区を今日で30地区まで進める」
「……大丈夫ですか?」
「当たり前だ。俺は最強だぞ」
虚勢でもなんでもなく、本当に自負している。もう俺たち以外では魔獣を止められない。
発行の手続きをしている間、俺は物思いに耽る。
以前考えていた通り、魔獣たちが本気を出せばこの国はすぐに壊滅状態に陥るはずだ。だがのらりくらりと数人を殺害しては姿を消す。魔獣たちの目的がみえない。本能のままに殺戮を繰り返しているわけでもないだろう。下級の魔獣はありえるが、人型の魔獣は明らかに知能が発達していた。奴らの行動にはなにか意味があるはずだ。
「カイトさん……?」
ラキアに声をかけられて意識を受付嬢へと戻す。手続きが終わったようだ。
「よし、じゃあ行くぞ!」
考えても仕方がない。人型魔獣を捕えて話を聞ければ話は早いだろうが、そう上手くもいかないだろう。だが奴らと接触することが問題解決の近道だ。ジュピターかもしくは他の魔王の子供とやらと出会えることを期待して、俺たちは北20地区へと向かった。




