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第十九話 戦いの後

 ジュピターが去った後、俺たちは北20地区に魔力の残滓を置いてギルドまで戻った。

 戻る最中、オリビアもラキアも一言も話すことはなかった。


 ギルドから報酬をもらい外に出る。

 辺りはすっかり暗く、街灯が道を照らしていた。


「……凄い魔獣が出てきちゃいましたね……」


 ラキアが口を開いた。

 今回1番精神的にダメージを受けたのはラキアだろう。強大な敵を前にしても、回復専門のラキアにはできることがない。性格上辛いはずだ。


 俺はラキアの肩にそっと手を置く。


「大丈夫だよ。次出てきたら確実に仕留めるから」

「けど……私は何もできませんでした」


 安心させるために言った言葉が、更にラキアを落ち込ませてしまった。


「それは私も一緒だ。攻撃が一切通らなかったからな。それにラキアの回復スキルは貴重だ。もしも誰かが傷付いても治せるんだからな」


 オリビアも俺に合わせてラキアを慰める。

 事実補助系のスキル、しかも回復のスキルは数が少ない。ラキアはパーティには欲しい人材だ。


「私……パーティにいてもいいですか?」

「勿論!」


 俺とオリビアは声を合わせた。


 それにしてもジュピターという人型魔獣。人語を扱い、粘りつくような魔力を発していた。危険度は今まで見た魔獣の中でも最大級だ。

 王様に知らせる必要があるだろう。


「とりあえず王様に報告に行こう」


 ラキアとオリビアを引き連れて、玉座の間へと向かった。


 ◇


「……という感じです」

 

 俺は王様にことの顛末を伝えた。

 王様はしばし沈黙していた。やがて白い顎髭をさすりながら口を開いた。


「成程……未開の地に人がいた形跡、それに魔王の子供と称する人型の魔獣、ジュピターか……カイトでも苦戦するとは、まずい状況だな」


 ことの重大さを理解しているのか、王様の歯切れが悪い。


「1番怖いことは、目的がみえないことですね」


 王様が言わなかったことを俺は伝えた。


「現実的なところだとやはり世界征服でも目論んでいるのだろう。魔獣から見れば人間も異質な存在だろうからな」


 ……そうだろうか。

 そうであるならあの戦力的にとっくに全滅していてもおかしくない。俺たちはなんらかの理由で生かされているんじゃないだろうか。


 考えたところで憶測の域は出ないし、何よりもう少し戦力が欲しい。


「王様、他に戦えそうな人間はいないですか?」

「むぅ……あまり未開の地の開拓に人を割いても守りが手薄になるしな……」


 悩んでいる王様に、隣に居たオリビアが進言した。


「バルトはどうでしょうか?」

「オリビア! 何をバカなことを言う!」


 オリビアの発言に王様が急に激昂し始めた。バルト……聞いたことない名だが、一体誰なんだろうか。


「今我が国は火急の事態です。魔獣たちに遅れをとるわけにはいかないでしょう」

「確かに……そうだが……私は責任は取れんぞ」

「構いません。私が責任を取ります」


 責任を取らない王様とはどういうことなのか。

 今はとにかくオリビアに任せるか。


「それではバルトの元に行きます」


 そう言ってオリビアは玉座の間を後にする。俺たちは頭上にはてなマークを出しながらついて行くことにした。

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