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第十六話 強さの秘密

「カイトさん!」


 城の前までもどると、ラキアがピンクのおさげを揺らしながら走ってきた。


「どうしたラキア? そんなに焦って」

「変なことしてないですか?」

「何だ変なことって!?」


 というか俺の心配じゃないのか。


「やりすぎていないかが心配だったのだ。カイト君の力を本気で使えば死人の山ができあがってしまうからな」


 ラキアに続いてオリビアも歩きながら話した。みんな俺のことを化け物とでも思っているのか。

 まあいいか。邪魔者は成敗したし、これからは心置きなく未開の地の開拓を行えるのだ。


「未開の地の開拓に向けての肩慣らしをしたくらいだ。大したことはしていない。それよりもギルドに行ってこれから北区に向かおうか」


 日はまだ高い。王様に急かされているし、このまま開拓に赴くことがベストだろう。


「そうですね。王様も頭を悩ませていましたし、早く進めることに賛成です」

「私も賛成だ。他の勇者たちを見てイライラしたし、戦闘で憂さ晴らしをしたいところだ」


 ラキアとオリビアもやる気満々だ。

 市街地を通ってギルドに赴き、未開の地の開拓、北十地区から進める申請をした。


 ◇


 森林地帯である北区に足を踏み入れて、まずは北十地区を目指す。


 木の枝や1mはある雑草をかき分けながら先へ進む。俺が先陣を切ってラキアやオリビアが歩きやすいようにしてあげなければいけないからな。


「しかし不可解だな」


 オリビアは後ろで独り言のように呟いた。


「何がですか?」


 大きな独り言だったからか、ラキアが反応する。


「いや、なに、カイト君の力は他の勇者やそれ以外のスキル使用者を遥かに凌駕している。スキルもさることながら、魔力量が桁違いだ。一体どんな人生を歩めばそうなるのだ」


 ふむ、オリビアの言う通りだな。別段両親の魔力量も多くはなかったし、俺自身も特別な訓練はしていない。


 だけど魔力量は常人の何10倍、下手したら何100倍だ。そしてスキルの変化。これが1番他の人間とは違う。スキルが訓練によって強化されていくということはあるが、全く別物になるということは聞いたことがない。

 

「そんなの俺が聞きたいよ。突然変な声が頭に響いて気付いたらとんでもないスキルを手にしてたんだから」


 俺は後ろを振り向かないまま答える。


「何か変な血でも入っているんじゃないか?」


 オリビアはククッと笑っていた。それを見たラキアが不機嫌そうな声をあげる。


「オリビアさん、そんなこと言わないでください。カイトさんはとても優しい人ですよ」

「悪かったよ。ラキアちゃんはカイト君のことが本当に好きなんだな」

「ぶおっ!」


 木の枝が顔面に当たってしまった。

 いきなり何を言い始めるんだオリビアは。母といいオリビアといい、みんな色恋沙汰にしたがるな。


「えーと、勿論、惹かれてはいますよ。けどそれは共に戦う仲間として……というふうに捉えてました」

「なるほど。ラキアちゃんも勇者の刻印があるとは思うが、戦う理由はなんだ?」


 ザクザクと、雑草を踏んで歩く音のテンポが遅くなった。


「…………私が勇者であるからです。私はこの国にいる人全てを守りたい。獣によって親兄弟を失くした人たちも中にはいますから……」


 ラキア自身、同じ境遇だから。俺も片親だから少しは分かる。勇敢だった父のように、俺も勇者として戦うんだ。


「2人とも立派だな。私も見習わなければな」


 刻印はなくとも勇者と同じ志を持つオリビア。刻印なんて関係ない。どれだけ思いが強いかの方がよっぽど重要だ。


 与太話(よたばなし)をしている内に、北10地区まで辿り着く。ここから先は本当に未知の世界だ。どこまで続いているかも分からない。とりあえず20地区までは行きたいな。


「気を張っていけよ、何が起きるか分からないからな」


 俺は振り返り、2人を見る。

 オリビアはレイピアを、ラキアは先に宝石が埋め込まれたロッドを、それぞれ携えていた。戦闘準備は万全といったところか。


「よし、じゃあ行くぞ!」


 俺たちは北11地区に足を踏み入れた。

 

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