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第十四話 未開の地開拓

 オリビアがパーティに加わって1週間後。またも王様から招集がかかった。伝令役の顔を見るに、今回は以前の猛獣退治よりも切羽詰まっている様だ。


「王からの招集か……一体何だろうな」

 

 首を傾げるオリビアに俺は冗談を飛ばす。


「また猛獣が出たんじゃないかな」

「バカなことを言うな! ……まあ、私が言えたことではないが……」


 オリビアは目を細めて項垂れた。強気じゃないときの彼女は可愛らしい。


「そういうこと言わないでくださいカイトさん」


 ピシリとラキアに(いさ)められてしまった。

 

 玉座の間に辿り着くと、ハウメア、ケレス、エリスが既に到着していた。全勇者パーティを集めるなんてよっぽどのことなのか。全員がニヤニヤとこちらを見てくる。気持ち悪さに耐えながら彼らの横まで歩いた。

 

「さて、集まったか」


 若干の頼りない雰囲気を(かも)し出しながら王様は話始めた。


「勇者パーティに集まってもらったのは他でもない、魔王についての話を聞いてもらうためだ」


 ハウメアやケレス、エリスは顔を見合わせていた。彼らも知らないことなのか。王様は話を続ける。


「知っての通り私のスキルは他人にスキルを付与するものだ。これは先代、先々代から続いている。しかし、その昔、予言のスキルを持った王の家系があった。その予言は予言書として今残っている。予言書は今年、つまり1050年と2年前の記述しかないが、その内容は……」


 王様は玉座から立ち上がり語気を強めた。


「2年前に勇者の刻印を持った人間が生まれ、同時に魔王という人間とは違う種族の王も誕生するだろう。そして今年、魔王は勢力を強めて人間界を滅ぼす。この結末を変えるには勇者が魔王を倒すしかない、と」


 ひとしきり話し終えた王様は俺ら勇者の顔を眺めた。


「そこから未開の地の開拓を進めてもらっていたわけだが、更に急を要する。全員にはそのことを念頭に置いて活動して欲しい」

「勿論、活動は行なっていますが、何故今になってこの話を? 前から分かっていたのなら、教えてくれればよかったじゃないですか」


 王様の言葉にハウメアが返す。

 ハウメアにしてはまともな発言だ。確かに前から言っておけば精力的に活動を行えただろう。


「…………予言ということをあまり信じてはいなかったのだ。むやみやたら広めて国民を(おど)かすような真似をしたくはなかった。だが最近になって魔獣と呼ばれる今まで見たことのない獣が発見されるようになってきて国民が被害にあっていること、勇者の刻印を持った人間が出てきたことにより、あの予言は本当であることが分かったのだ」


 まあ、何百年も前のスキルで、しかも予言なんて荒唐無稽(こうとうむけい)なスキル、信じられないのも無理はないか。

 王様の暗い表情を前に、もう勇者たちは異論を唱えることはできなかった。


「魔王がどのような姿で何を目的としていて、どこに住んでいるのか。未だ不明だ。そもそも王国として成り立ったのですらつい数百年前のこと。この世界にはまだまだ謎が多い。未開の地を開拓して国民の安全を図ってほしい」


 王様は深々と頭を下げた。

 

「もとよりそのつもりです、王様。キークロス王国は俺が守ります」


 俺は胸を張って答えた。ハウメアやケレスの舌打ちが聞こえたが関係ない。


「カイト、お前には一番の期待をしているぞ。お前のスキルは今まで記録にない強大なスキルだからな」


 王様が発言するや否や、ハウメアは1人前に出た。平静を装っているが肩が震えている。ハウメアの赤い具足はまるで怒りを表しているかのようだ。


「王様、未開の地開拓は私たち南のパーティが一番進んでいるんですよ。期待をかけるなら仲違いしたパーティより私たちに目を向けるべきです」

「うむ、勿論勇者全員に期待をしている。頼んだぞ」


 王様はそう締め括り話を終えた。

 ハウメアの歯軋りの音が俺の耳に届く。イライラしていることがみてとれる。大きな足音を立てて他の勇者パーティは城を後にした。足を引っ張ることだけは勘弁してほしいものだ。

 

 俺も合わせて外に出る。

 オリビアとラキアも異様な雰囲気に気付いているのか、神妙な面持(おもも)ちで俺の後についてきた。

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