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非科学的潜在力女子2  作者: ゆずさくら
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(7)

 全員があちこちを見回す。

 見えるのは山と、海。そして無人駅。海方向にジグザグに降りていく道。

 山の上の方へ行く、やはり同じようにジグザグした道があった。

 建物は、駅周辺に物置小屋のようなものが一つ。

 眼下の海岸には、いくつか家らしき屋根がいくつか見えた。

 全員が海岸の方を見る。

「あそこに『ハツエ』がいるのかな」

 奈々がそう言うとアキナがそれを受けて答える。

「居なくても、人がいるなら話は聞けるんじゃない?」

「ここ降りるの?」

 美優が呆れたようにそう言った。

 駅から見た感じだが、かなりの高さを降りて行かなければならない。

 もしそれが無駄足となれば同じ高さを上って帰って来なければならないわけだ。

 アキナはトランプを取り出して言った。

「ババ抜きして負けたひと……」

「ジャンケンで負けたひ……」

 反応したように亜夢が言っていた。

「じゃ、どっちで決めるかジャンケンで……」

 奈々がアキナと亜夢の間に入ると、言った。

「……もう。いいわよ。私が下りて聞いてくる。もしわかったら電話する。同時に上も探しててよ?」

 奈々は小道を進んでいった。

「奈々、危ないよ。『ハツエ』がどんな人か分からないんだから」

超能力(ちから)に対抗する手段を知っているひとなら、きっといい人だよ」

 道が曲がっていて、すぐに奈々の姿が見えなくなる。

 亜夢が慌てて追いかける。

「いや、万が一ってこともあるし、道中でなにかあるかも。私もついて行く」

「亜夢がいくなら、私もいく」

 と、ほとんど同時に美優が亜夢の後を追う。

 一人になったアキナはしばらく考え、周りを見渡す。

 美優の姿も見えなくなって、誰もいなくなるとアキナも走り出した。

「おいてかないで!」




 アキナが追いついた時、それとなく奈々が言う。

「あのさ…… 全員来たら意味ないんじゃない? 『ハツエ』が上に居たら無駄足なんだよ?」

「いやいや、最初から全員で動けばよかったんだよ。やっぱり心細いじゃん」

 道の周りは藪になっているし、道は曲がりくねりながら下っているため、極端に見通しが悪い。亜夢がそう言うのも根拠があるように思えた。美優が亜夢に賛成、という風に体を寄せて言う。

「蛇とかも出てきそうだよね」

「おねぇちゃん」

 突然、あたりの藪の中から声がした。

 四人は立ち止まると、獣道のような小さな通路の方を見つめた。

「?」

 ガサガサ、と音がして、藪が揺れた。

「おねぇちゃん」

 声は聞こえるが、姿は見えない。

 亜夢が揺れたあたりの藪に手をかざすと、空気の流れを使って左右に開いて、何かいないか確かめる。

「怖いよ~」

 また同じ声がそう言った。亜夢が呼びかける。

「どこにいるの?」

 亜夢は、あたりのあちこちに手をかざして、風を起こして声の主を居場所を探す。

「いないね……」

「おねぇちゃん、風を吹かせるから怖いよ」

「!」

 亜夢は自分のしたことでその子を怖がらせてしまったと思い、胸に手を当て、頭を下げた。

「ごめんね。怖かった?」

「……」

 美優が言った。

「大丈夫だよ。もうしないから。出てきて? お話しよう?」

「出て行かない」

 美優と亜夢は顔を見合わせた。

 奈々は顎に指を当てて、何か考えているようだった。

 亜夢がそれを見て奈々にたずねる。

「(何かアイディアある)」

「(やってみていい?)」

 全員がうなずいた。

「私、奈々っていうの。この子は亜夢、こっちの子が美優。最後のおねぇちゃんはアキナっていうのよ。お名前は?」

 名前を聞き出そうという作戦か、と三人は思った。

 名前が分かれば呼びかけやすい。

 四人はそれぞれ藪の動きをじっと見ていた。

「ハツエよ」

「えっ?」

 四人は再び顔を見合わせた。

「ハツエだって」

「ハツエって、校長の言っていたあのハツエ?」

「ハツエって、お婆さんだと思っていたんだけど。だって私達の先輩なんでしょ」

「確かに声は若いけど、出てきたらお婆さんかもしれないじゃん」

「……」

 亜夢は一人、藪を向いてたずねた。

「ハツエさん。私達、あなたに相談があるんです」

「(ちょっと、いきなり何言ってんの亜夢)」

 そう言ってアキナが亜夢のそでを引く。

 ガサガサ、と音がして、藪の中から飛び出してくる人影があった。

 小さく、黒く、弾丸のように宙を回転(ロール)し、四人の頭を飛び越えて、亜夢の後ろに着地した。

 ゆっくりと立ち上がる姿は、亜夢たちの三分の一ほどの背丈の、女の子だった。

 肩紐になっている黒いワンピースに黄色い靴。金髪に黒いカチューシャ。

 両手をお尻のあたりで回して立っている。

「外国人?」

「ハツエちゃん?」

 両手を後ろにした姿勢のまま、上体を突き出して言う。

「相談ってなに?」

「あの、この()精神制御(マインドコントロール)されてしまっているんです」

 亜夢が美優の両肩に手を置いて、押し出すようにした。

「この()を助ける方法を教えてください」

「よろしくおお願いします」

「お願いします」

 亜夢のお願いに、奈々とアキナが同調したように言った。

 美優はいぶかし気な表情を浮かべる。

「ちょうだい」

 ハツエを名乗る女の子は、右手だけ前に出した。

「?」

「飴とか、チョコレートとか持ってないの?」

 亜夢は背負っていたバックを下して中を探し始めた。

「(亜夢、ちょっとまって)」

 美優が亜夢を制し、全員に手招きをして集めた。

 五人が道の真ん中で輪になって顔を見合わせる。

「(どうしたの美優)」

 美優は全員の顔を見回して、ハツエと名乗る少女を見つける。

 美優はだまったままさらに道を戻る方向を指さし、小声で言う。

「(向こうで話そう)」

 三人の動きにハツエと名乗る少女がついてくる。

 美優は困ったような表情。

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