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オンラインゲームしてたらいつの間にやら勇者になってました(笑)  作者: こばやん2号
2部【アース大陸横断編】 第1章 「目指せドグロブニク 漫遊編」
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61話:「一触即発」


「ヤマト様ご無事ですか?」

「今お助けします!!」

「中級魔法 (セカンド・マジック) ファイアー・ボール!!」


どうやら【テレポート】の魔法で飛ばされた場所は

リナたちのいたところから近かったようで5分もしないうちに

大和とリリスのいる場所へと追いかけてきた。


マーリンの放った魔法が飛来する。

だが大和に当たらないよう考慮されているのだろう

威嚇射撃程度の効果しか見込めない。

だが威力は申し分なく地面に着弾すると同時に爆風が渦巻いていた。


放たれた複数の火の玉のうちの一つが大和とリリスの僅か数メートルの場所で爆発した。

その爆風に巻き込まれてそうになり、その場から逃れるように二人が地面に倒れ込む。


三人が大和を安否を気遣う声が聞こえる。

咄嗟とっさに地面に倒れ込んだお陰で直撃は避けられた。

閉じていた目を開けるとそこには暗闇が広がっている。


(あれ? 目を開けてるのに何で暗いんだ?)


その答えを理解した時には時すでに遅しだった。


「っ!? やっヤマト・・・・」


リリスの呼ぶ声が聞こえるがその声はどこか不安げな色を含んでいる。

いや不安げというよりもどこか困惑したような気配も窺える。


未だに暗闇に閉ざされた視界のまま一つあることに気付く。

それは自分の顔に柔らかくて生暖かい感触があり

なんとも気持ちがいいというのが正直な感想だ。


(この感触は・・・・まさか!?)


そう思ってその感触から顔を遠ざけると突然視界が明るくなり

視力が回復する。


そこにあったのは薄桃色に染まった二つの丘だった。

そう大和はマーリンの放った魔法の爆風でリリスと共に地面に倒れ込み

その反動でリリスの双丘の谷間に顔を埋める形になっていたのだ。


「・・・・・・」


リリスが瞳を潤ませながら上目遣いでこちらを見てくる。

ピンク色の肌なのにも関わらず顔が赤くなっているのがはっきりわかる。

そのあまりの可愛さに一瞬心を奪われそうになるが

男の意地でなんとか現実世界にとどまることに成功した大和はリリスに向かって


「あー、その・・・・ごめん」


一応事故ではあるが彼女の膨らみに顔を埋めていたのは事実であって

通常ならぶん殴られてもおかしくない状況だがリリスの反応はというと


「うっうん・・・・別にヤマトだったら何されても平気だし・・・・・・」


はあ? 今なんか聞き捨てならない言葉が含まれていた気がするが

その言葉の真意を確かめる前にリリスが突然吹っ飛んでいったため

問いただす機会を逃してしまったのだ。


何が起きたのかというと、答えは単純明快。

大和とリリスの間にただならぬ雰囲気が漂っていたのを敏感に察知した三人が

その空気を一刀両断するためリリスを殴り飛ばしたのだ。


リナはドロップキック、エルノアはアッパーカット

マーリンは非力なのだろう戦闘で使っていた杖で殴りつけたようだ。


「お前ら無抵抗の人間になんてことしやがるっ!?」


そう三人に言うとマーリンがとんちの利いた返答をする。


「人間じゃなくて魔族ですのん・・・・」


そう答えるとリリスの方を殺気交じりの視線で睨みつける。

この雰囲気はこれ以上突っ込んではいけないと悟った大和は

リリスに駆け寄ろうとしたのだが・・・・


「ヤマト様危険です。 ここは私たちに任せてください!」

「そうです! あの魔族めなんて・・・・なんて羨ましいことを!

 あたしだってまだそんなことしてもらってないのにぃぃぃぃぃ!!!」


最近エルノアのキャラが崩壊しだしているなと思った大和だったが

たぶんこれが彼女の素なのだろうと割り切ることにした。


「ぐぬぬぬ、おのれぇ! 人間風情がっ!!」


そう言いながら立ち上がり体勢を整えるリリス。

そして自分を吹き飛ばした三人にこれまた凶悪な殺気が籠った視線を向ける。


(確かリリスってメフィストフェレス、フィスの軍隊の第3部隊の部隊長だっけ?)


そう彼女こそ魔王の右腕と呼ばれているメフィストフェレス

彼直轄の軍隊、その一部隊の隊長の位を授かっているのだ。

実力は本物だ。


普段のリリスの態度しか見ていない大和にとって

彼女がメフィスト陣営ナンバー4の実力者という事実が信じられずにいた。

あんなにかわいい――――― もとい、温厚そうな彼女が今

仲間であるリナたちに対し、凶悪な殺気を放っているのがどこか現実離れしていた。


だが不思議なことが一つあった。

それはリナたちもまたリリスに負けないほどの凄まじい殺気を放っていた。

大和は感覚的にその殺気が相手を殺傷する目的の殺気ではなく

もっと別の意味を含んだ殺気なのではないかと睨んでいた。


リナの放った一言が大和の考えを肯定する言葉だった。


「あなた、私の将来の旦那様に汚らしい胸を押し付けてくれてるんですか?

 ・・・・殺しますよ」


話し方は普段道理のリナだがそこには明らかな不快感と怒りが込められていた。

それに反論しようとしたリリスが話す前に残りの二人が的確な突っ込みを入れる。


「「誰が未来の旦那様だ!!」」


二人の突っ込みに思わずバランスを崩すがすぐに体勢を立て直す。


「リナ様、この際だからはっきり申し上げておきますが

 ヤマトさまの未来の妻になるあたしを差し置いてそのような

 軽はずみな言葉は 謹んでいただきたい!!」


そしてさらにマーリンの追撃


「そうです。 ヤマトさんはマーリンの旦那さんですのん!!」


あれ? マーリンまでおかしなこと言いだしてるし、どうなってんの?


その言葉が三つ巴の戦いの開戦となり女のプライドを掛けた戦いに発展する。

そのあとはお互いの欠点を言い合い自分がいかに大和の妻に相応しいか激論を交わす三人。


一方リリスは三人の戦いをただ呆然と眺めているだけだった。

さきほどの殺気は消え失せ三人の見苦しい言い合いを苦虫を噛みつぶしたような顔で見ている。


これ以上身内の恥を晒すのは許しがたいので全員にチョップを食らわせることで

この事態をなんとか収拾したのだった。


その後リリスに迷惑を掛けたことを謝罪し頭を撫でてやると

顔を真っ赤にしてどこかに飛び去ってしまった。

その後三人も頭を撫でてほしいと要求してきたがもちろん断った。


かくして一触即発の危機は何とか脱したのだった。

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