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オンラインゲームしてたらいつの間にやら勇者になってました(笑)  作者: こばやん2号
2部【アース大陸横断編】 第1章 「目指せドグロブニク 漫遊編」
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49話:「出立」


「ヤマトさん、本当にこれでよかったですのん?」


ペトスとの取引が終わり、荷馬車を引く馬などの

諸々の準備をしてもらうことになった。


明日の朝には準備が完了するとのことなので

俺たちはそのままニルベルンさんの屋敷に戻るためもと来た道を引き返していた。




そんな中30000ゼリルという破格の値段の荷馬車を購入しても大丈夫だったのかと

マーリンは歩きながら聞いてきた。


因みにニルベルンさんが渡してくれた紹介状には

俺が勇者ということは伏せられていた。

だからこそ足元を見られたのだが・・・・・・


「うーーん、良くはないけどあの荷馬車しかなかったし

何より足元を見られるのは仕方ないことさ・・・・」



そう言いながらマーリンの頭にポンと手を置く

年齢的にはかなり年上と言っても

見た目がしょうがくせ・・・・もとい中学生にしか見えないため

どうしても子供扱いしてしまう。


「あっ・・・・・・てへへですの・・・・」


俺に頭を触られたのが恥ずかしかったのか

最初は肩をピクリと振るわせたがその後は照れ笑いを浮かべて俯く。

その姿は健気で幼気いたいけな少女の様だった。


「むぅーーーー」


「やぁーまぁーとぉーさぁーまぁーーーー!!」


そんな俺の行為を不服に思ったのかリナとエルノアが

冷たい視線を向けてくる。



「いや、ついな・・・・」



先ほどの行為に弁明する形で言葉を発すると

リナがまた馬鹿なことを言い出す。


「ではついうっかりということで私とチューしましょ! チュー!!」


そう言いながら口をたこのようにすぼめて顔を近づけてくる。


「誰がするか!!」


当然のように突っぱねる、全くこいつの頭の中は

ピンク色の事しか頭にないのか!?

そんなことを考えているとエルノアが上目遣いでおずおずと尋ねてくる。


「じゃあヤマト様・・・あたしも頭ポンポンしてほしい・・・・です・・・・・・」


エルノアさん頼むからその目はやめてくれませんかね!? 反則ですよそれは!!

そんなことを考えながら彼女の誘惑に根負けしてしまい

彼女の頭に俺の手が乗ろうとした直後、彼女の姿が消えていた。


エルノアの頭に乗せるはずだった手はなぜかリナの頭に乗っかっていた。

というよりもエルノアがいた場所に何故かコイツがいたのだ。


恍惚の表情を浮かべるリナ、俺はエルノアがどこに行ったのか姿を確認すると

リナの隣でうつ伏せに倒れていた。


どうやら俺の手がエルノアの頭に乗ろうとした瞬間にエルノアを押しのけ

その僅かな瞬間に彼女と入れ替わるという神業をやってのけたのだ。

全くその素早さを戦闘でも活かしてもらいたいものだ。


「大丈夫かエルノア?」


流石に怪我はしていないだろうが勢いよく突き飛ばされているため

一応安否確認はした方がいいだろう。


「はい・・・・大丈夫です・・・・というかリナ様!! 何をするんですか!!」


エルノアはむくりと起き上がると自分を突き飛ばした張本人に抗議の声を上げる。

当の本人はわざとらしくかすれた音色の口笛を吹きながらあさっての方向を見続けていた。

そんなあからさまなしらばっくれ方を見たのは昭和のテレビ以来だ。


「リナ様あたしの話を聞いているのですか!!」


当然のことながらそんな態度を取られて

平然としているほどお人好しではないエルノアが

先ほどのリナの狼藉ろうぜきを責め立ててきた。


「だって・・・・」


そう呟くとそれが開戦の合図と言わんばかりに二人の口論が始まった。

俺はそのやり取りをもはや数えるのがめんどくさいほど見せられているので

マーリンに声を掛けると二人を置いて先にニルベルンの屋敷に向かうことにした。





歩くこと30分ほど経過したところでようやく屋敷に到着した。

因みにリナとエルノアが大和が先に行ったことに気付いて追いついてきたのは

彼が歩き出してから15分ほど経ってからだった。


早速ニルベルンのもとに行き、荷馬車を購入した旨を伝える。


「そうですか、無事購入できたのであればよかったです。

 ところでヤマト殿、何か不手際などはありませんでしたか?」


ニルベルンもペトスに対しては思うところがあったのだろう

何か問題を起こしたのではないかと勘ぐって俺に尋ねてきた。


「商魂たくましくかなり吹っ掛けられましたよ」


右手を頭の後ろに回しながら苦笑いを浮かべそう答える。


「やはりそうでしたか・・・・全く、あの金の亡者め!

 ここはやはりヤマト殿の身分を明かし、相場の金額で売るよう働きかけた方が―――」


言い終わる前に俺が遮る。


「問題はありません。 全て俺の想定内です」


その後ニルベルンさんと10分ほど談笑したあと

再会の約束をし、彼の屋敷を後にした。


その後一晩過ごす宿を借りるため宿屋へと向かう。

部屋割りの際誰が俺の部屋で寝るかという小競り合いが

三人の間で起こったが、二つ部屋を借りて俺と女子で別れることにした。


(その時女子全員が風船のように頬を膨らませていたのが面白かった)




翌日宿屋を出発し、ペトスのもとへ行くと

予定通り荷馬車の準備が整っていた。


毛並みと肌つやが見るからにいい立派な馬が2頭

昨日購入した荷馬車と繋がっており今か今かと出発の時を待っていた。


「ヤマト様昨日は大変失礼いたしました・・・・

 まさかあなた様が魔王討伐に行かれる勇者ご一行だとは露知らず。

 高額な値段を吹っ掛けてしまったことお許しください。

 こちら12000ゼリルでございます」


そういうと昨日渡した白茶色の袋を返してくるペトス

どこからか俺が勇者であることを嗅ぎつけたのかそれともニルベルンさんが

あの後話を付けてくれたのかはわからないが

どうやらこの荷馬車を適正金額で売ってくれるらしく

30000ゼリルから相場の値段を引いた12000ゼリルを返してくれた。


(ってかこの荷馬車の相場って18000ゼリルだったのかよ!

 吹っ掛けるにも程があんだろ!!!!)


とりあえず袋を受け取ると荷台を確認する。

中を見ると、馬に与えるための干し草や

水・食料などが準備されており、見た感じいい仕事をしていた。


一通り中を確認した後、ペトスにお礼を言って荷馬車を受け取る。


「ヤマト様道中お気を付けて」


現金なもので俺が勇者とわかった途端手のひら返しで媚を売ってくる

全く商人というのはホントにたくましいものだ。


大和たちはペトスに見送られ荷馬車に乗り込むと馬を走らせる。

馬を引くのは奴隷の時にエルノアが経験したことがあるらしいので

彼女に馬を操作してもらうことにした。


かくして、パーティーが出揃い本格的な魔王討伐の旅が

始まろうとしているのであった・・・・・・

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