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オンラインゲームしてたらいつの間にやら勇者になってました(笑)  作者: こばやん2号
2部【アース大陸横断編】 第1章 「目指せドグロブニク 漫遊編」
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48話:「大和のお財布事情」


「ふーむ・・・ニルベルン様の紹介状ねえ~」


そう言いながら訝しげな顔で大和を見た後、その顔のまま後ろに控えている美女たちを一瞥する。

彼こそ主に荷馬車の売買を生業なりわいとする商人ペトスである。


身長は160センチにも満たないほど低く小太りで

商人らしく少々小奇麗な橙色の服を身に纏っていた。


年齢は大和よりも5つほど年上くらいだろうか

まだ頭頂部は生えそろっているが、無くなるのは時間の問題というほどの年齢だ。



「ようこそおいでくださいました。 ヤマト様

では早速ですが、どういったおもむきの荷馬車をご所望で?」



見た目とは打って変わって商魂たくましく商談を進めるペトス。

こちらとしても世間話をしに来たわけではないので彼の質問に素直に答える。



「4人用の長距離旅向きの荷馬車があれば・・・・」



そう伝えるとペトスは羊皮紙を取り出しそれを確認していく

どうやら在庫リストなのだろう、それに目を通し荷馬車の在庫状況を確認しているようだ。

ある程度流し見したペトスは羊皮紙を丸めなおし、それをポンと手で打ち鳴らした後

営業スマイルを大和に向けてくる。


「それなら丁度良いものがございます。 こちらへどうぞ!」


そう言うと大和たちを隣の倉庫のような部屋に案内した。


そこには大小さまざまな荷馬車が等間隔で納められており

屋根の付いていないものから馬3頭以上でないと引くことが難しい大きさのものまで

パッと見た感じではレパートリーは幅広く取り揃えている様だった。


ペトスはその中にある一つの荷馬車を指し示した。


「えーっと4人用で長距離でも大丈夫なのは

今うちで扱ってるものだとこれだけですね。」


それはごくごく一般的な荷馬車だった。

白い布で形作られている屋根、通常よりも大きめにそして頑丈に作られている車輪に

人数的には10人ほどが入れるスペースがある荷台が設置されていた。


「ふむ・・・・・・」



わざとらしく顎に手を当て考え込む大和

だがこの世界の荷馬車の相場や質など彼にわかるはずもないので

ここは彼女たちの意見も聞いてみようと振り返ったが

リナは目が合うと【だらしない顔】を浮かべ

エルノアは頬を赤らめるだけだった。


最後の頼みの綱であるマーリンはというと

大和と同じように顎に手を当てて考えている様子だった。

ジェスタで道具屋を営んでいる彼女ならこういう荷馬車の良し悪しもわかっているようで


「確かに4人用としては申し分ないと思いますのん

 あとは値段次第ですのん」


彼女の言葉を信じ、ペトスに値段を聞く大和


「この荷馬車お幾らですか?」



「30000ゼリルになります」



ペトスが言い放つと大和以外の三人が驚きの声を上げる。


「さっ30000ぜりっ、えぇ!?」


「いくら何でも足元見過ぎですのん!!」


「あたしが奴隷として買われた時の10倍・・・・・・」


その計算はやめた方がいいと思いますよ? エルノアさん?

それぞれがそれぞれのリアクションを取ったところで

改めて三人に向き直り単純な質問をする。


「30000ゼリルってそんなの高いの?」



何も知らない大和のために三人は説明してくれた。

まず一般的な平民が生きていくために必要とされているお金は

1800~2300ゼリルほどらしく、それでも稼ぎのいい方だそうだ。

その一年分の給金に相当する金額だということだ。


大和は元の世界に直して考えてみた。


(まず一般的な月収が20万円としてそれの12か月分だから・・・・240万円!?)


『そこそこ値の張る国産車かよ!!』と心の中でツッコミを入れてみる。

とか考えているとペトスが畳み掛けてきた。


「こちらの型は人気の型でございまして、これを逃しますと次に入荷するのは

ふた月以上先になってしまいますがいかがいたしましょう?」


「ぐぬぬぬぬぬ・・・・」


とか言ってみたが実のところ大和にとって30000ゼリルは大金ではなかった。


なぜならこの世界のお金【ゼリル】という通貨は

彼がプレイしていたオンラインゲーム【タワー・ファイナル】の共通通貨である。

廃人とまではいかないまでも、かなりのプレイ時間を誇る彼にとって

ゼリルはもはや売るほど持っているのだ。


大和はメニュー画面を開き所持金の欄を確認する。


現在の所持金


999999999999999ゼリル



ご覧の通り大和は表示することができる所持金の限界を超えているのだ

俗に言う【カンスト】である。


余談だが、タワー・ファイナルの場合所持金がカンストになっても

所持金データ自体は蓄積するため表示ではカンストしていても

実際所持している金額は表示されている数字以上ということになる。


つまり999兆ゼリル以上のお金を所持しているのだ。


だが三人のリアクションから見て30000ゼリルは大金。

その大金をサラッと払ってしまうと今後の彼女たちの大和の見る目がどう変わるのか

それが少々気がかりで返答しかねていたのだ。


だから敢えて、大和は敢えてこういうリアクションを取ることにした。


「うぅ~、・・・・はあー、わかりました。

 背に腹は変えられない30000ゼリルでお願いします・・・・」



そこにいた全員が目を見開き大和に視線が集まった。


「ヤマトさんホントにいいですのん?」


「もう少しまけてもらった方が・・・・」


「あたしの10倍・・・・あたしの10倍・・・・」


そして改めてペトスにお願いした大和だったが

最後にちょっとした一言を付け加えた。



「ペトスさん、30000ゼリル払うので何か付けてくださいよ? おまけ的な・・・・」



そう言うとしばらく考えたあと


「わかりました。 いろいろとお付けいたします」



交渉成立したので簡単な契約書にサインをし

30000ゼリルの入った白茶色の袋をペトスに手渡す。

これにて荷馬車の売買契約が成立した。

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