表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/17

1夜限りの。

 僕は夢を見るのが好きだった。1夜限りでならどんなことでもできる。それが夢だから。嫌なことがあったらすぐに夢を見た。夢を見ている間は何でも忘れられるから。


 僕には特殊な能力がある。夢の内容が可能な範囲で現実になるというもの。

 僕はこの能力がキライだった。

 夢は内容を覚えていないから良いのだと、僕は思っていた―――



 本を閉じ、ため息を付いた。

 この主人公はどれほど自分が恵まれているのか気付いていない。と思った。

 俺は最底辺にいた。ブラック企業、孫の顔孫の顔と煩い母親の声、過ぎていくだけの時間。もうこの世の地獄だ。


 この力があれば、どれほど俺は生まれ変われるのだろうと思い、カフェインで寝られない頭をたたき、無理やり眠りについた。


 夢を見ていた。理想の女性が現れる、そして結婚する夢。


 目が覚めた。なぜだかわからないが、頭の中にはしっかりと夢の内容が残っていた。俺はなぜかフラフラと街に繰り出した。そこからはトントン拍子だった。いつの間にか一世一代の告白が終わり、好みの女の子の手を握っていた。


 いつの間にか、転職し、妻と一緒に楽しく働いていた。とても楽しかった。

 そして、いつの間にか妻は妊娠していた。


 そして、目が覚めた。気がついたらいつもの暗い部屋にいた。


「ああ、夢か。」


 笑えるな。ようやく希望を持っていたのに。折角まともな生活を遅れたと思ったのに。ああ、笑える。笑える。


 ありがとう。夢、最後に希望を持たせてくれて、

 ありがとう。小説、夢を見させてくれて。


 俺は夜に駆ける事にした。












 6日後に、出産後、入院が終了し、帰宅した妻に発見され、火葬が始まった。

 妻は最後まで泣いていた。

 生まれたばかりの子供は理由もわからず、静かな雰囲気に泣いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ