ニゲロ
駄目だ。逃げないと。走れ、動け、足。アイツが来る。
――逃げろ。逃げろ。逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ
何度も何度も言葉が脳内で響く。口からは「死にたくない。死にたくない。」と生物としての本能が漏れた。ああ、笑えない。笑いたくないのに。恐怖からか、狂気からか。口がニヤけた。狂気的な笑い声が口から放たれる。声が漏れたら駄目なのに。音でバレちゃうのに。なぜか声が漏れた。
ああ、どうしてだろう。どうして、奴がこちらへ歩みを進めているのだろう。どうしてこちらに刃を向けているんだろう。どうして?なぜ。わからない。
どうしてだ?
突如として雨が降り出す。とても強い。ゲリラ豪雨と言うやつだろうか。人生最後にして人生初体験だ。
「正義を貶した愚者、裁きを受けん」
アイツの声だ。雨が煩いはずなのに、はっきりと聞こえる。
静かに、穏やかに、まるで料理をするかのような手際で―――《《肩に割れ目がついた。》》
「ヒッ」
痛みは感じなかった。傷口から溢れる血は雨で流された。
これで、終わりか。と思うも、口からは出さない。腹から溢れるのは怒りと恨みの黒い感情。どんどんと視界は真っ暗になっていく。
最後に口から漏れた言葉は、
「自己満ジャンキー野郎―――」
意識が途絶えた。
一つの死体の前、マスクを付けた男は冷徹に言い放つ。
「まずは1人―――」




