睡蓮
目が覚めた。いつもよりも暗い部屋だ。椅子に座りながら寝ている。手首には痣ができている。くっきりと。まるで勲章のように、誇らしげに確かにそこに在った。
微睡む意識の中、何故ここにいるのかと思考を始めた。
灰色の壁、錆びた鉄格子。牢屋だ。私の人生とは無縁でありたかった場所。成る程と1人で合点がいく。
「上手くいったのだな。」
1人で安堵した。
「何が上手くいったのかジックリと問いただしたいところだが、もうすぐ定時だ。さっさと終わらせよう。こちらへ来い。」
扉から声がする。
「ああ、そこに人が居たのか。理解った今出よう。」
さっさと牢屋の頑丈な鉄の扉へと歩いていくと、ガチャリと解錠の音が聞こえた。
扉の外へ出ると、さっさと施設の外へと案内された。
施設の外に出ると、日光が眼を焼いた。熱い。ただ、ひたすらに。
やっとの自由かと思っていたのだが、それは束の間の夢だったようだ。
鉄のフェンスで外とは隔絶され、人集りができている。
「やはり。」
処刑場だ。ガヤガヤと観衆の声が五月蝿い。
今から死ぬのだろうか、そんな考えだけが異様に脳裏を過る。
だが、顔には出さない。
そして王が処刑場にやってきた。
先程の看守が口を開く。
「この国に反抗しようとした愚か者に法の裁きを。愚か者の血を王に捧げよう。」
看守はピストルを抜き、私に向ける。
そして、再び口を開く。
「最後に言い残すことは?仕事だからな。多少は聞いてやる。」
最後の言葉か。
「俺の墓にはシャガを植えてくれ。お前も好きだろう?」
「ああ。理解った。」
静かに返事をして、処刑場に破裂音が響いた。
次の瞬間、確かに私には意識が在った。あたりを見渡すと、バタリと音がした。
―――王が倒れていた。




