表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハズレと言われた『磁石』スキルで、俺は世界を無双する。  作者: 小兼


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
22/23

20話 受容

注目度 - すべて 24位

注目度 - 連載中 49位

……言いたいことはたくさんあるんですけど、とりあえず読んでいただきありがとうございます

 翌日から、本格的にブロアの工房に通うようになった。

 目的は二つ。一つはブロアの仕事の手伝い、もう一つは――俺の専用武器の制作だ。


「よし、まずは素材選びからだな」


 ブロアが工房の奥から、何種類かの鉄鉱石や鉱物を運んできた。

 前の世界でも何度か見た、お馴染みの鉄鉱石だけではなく、紫色の光沢のある不思議な鉱物や、微かに青みがかった石なども混じっている。

 おお、ファンタジーだ!


「これ全部、村の周りで採れるやつですか?」


 と聞くと、ブロアの顔が少し曇った。


「ああ、半分はな。残り半分は、前にガレオンから仕入れたやつだ」

「ガレオン?」

「隣の街だよ。村よりずっとでかい街で、武具屋もたくさんあるし、交易も盛んだったんだが……今は貿易路の影響で、仕入れもままならねぇ」


 ガレオン、か。前に村長から聞いた地名のような気がする。村長によると、貿易路を絶たれたんだったっけか。多分、その中にはガレオンも含まれるんだろう。


「で、お前さんの力で、まずはこの鉱石の中から純度の高いものを選り分けてくれ」

「選り分ける、ですか?どうやって……」

「お前さんの『磁極付与』ってやつ、磁力の強さも調整できるんだろ?」

「できないこともないですけど……」

「だったら、純度の高い鉄ほど磁力に強く反応するはずだ。微妙な磁力で試してみりゃ、選別できるはずだぜ」


 なるほど、考えたこともなかった使い方だ。元の世界の磁石の原理を応用できるとは。


磁力吸引(マグネット)


 ブロアの言う通り、ごく弱い磁力を発生させてみると、確かに鉱石によって反応の強さが違うことに気づいた。

 この反応が強いやつを選べばいいのか?でも、反応が漠然としててわからないな……そうだ。


「『磁極付与』」


 弱いS極を、鉱石の山全体にゆっくりとかけてみた。

 すると、純度の高そうな鉱石ほど、わずかに俺の手のひらの方へ動こうとする感覚があった。まるで生き物が寄ってくるような、不思議な手応えだ。


「お、これは……いい感じだな」


 ブロアがそれを見て、選別された鉱石を一つ一つ手に取り、満足そうに頷いている。


「こりゃ便利だ。今まで目視と勘でやってた作業が、一瞬で済む。職人冥利に尽きるぜ」

「役に立ってよかったです」


 しばらく作業を続けるうちに、だんだんと打ち解け、自然と会話も増えていった。


「アオイ、お前さん、こんな田舎で燻ってるには勿体ない力を持ってるな」

「そうですか?」

「ああ。お前さんがその気になりゃ、街でも名を轟かせられるんじゃねぇか?もしその気なら、手伝うが……」


 その言葉に、複雑な気持ちになる。

 目立ちたくない、というのが本音だ。目立ちすぎると、俺のスキルについてバレるかもしれない。異世界の知識や異能は、この世界には馴染まないものだ。それが原因で排斥されたり、利用されたりするかもしれない。

 それに、俺の噂があの女神の耳に入ったりしたら、どうなるかわからない。追手が来る可能性もゼロじゃない。

 だが、いつまでもこの村に隠れているわけにもいかないだろう、というのも分かっている。


「……まあ、今のところはこの村でのんびりしたいですけどね」

「欲がないな」

「ないんじゃなくて、目立ちたくないんです」

「同じじゃないか、それ?ハハ、まあそれもいいさ。お前さんの好きにすりゃいい」


 そんな雑談を交わしながら、作業を続ける。


「さて、純度の高い鉄が選べたところで……本番だ」


 ブロアが選り分けられた鉄鉱石を炉に入れ、火をくべる。炎が勢いよく燃え上がり、工房の温度が一気に上がった。


「アオイ、お前さんにも一つ頼みがある」

「何ですか?」

「火で熱した鉄を、お前さんの力で叩く――いや、圧縮してみてくれ」

「圧縮、ですか」


 炉の中で真っ赤に熱された鉄の塊を、ブロアが鉗子で取り出す。


「普通は、これをハンマーで叩いて鍛えるんだが……お前さんの『磁極付与』なら、内部から均一に圧縮できるんじゃねぇかと思ってよ」

「できると思いますけど、このままじゃ無理です。薄い、頑丈な金属の板を2枚くらい用意してくれますか?」

「おう」


 そして渡された2枚の金属の板の片方に、S極を付与する。

 そしてその金属板を熱した鉄塊の下に置き、鉄塊を挟むようにもう一枚の金属板をのせる。


「『磁極付与』」


 上に載せられた金属板に、N極を付与。

 ジュッ、という音とともに、鉄塊が2枚の板に挟まれてぎゅっと縮こまるように形を変えていく。

 断面を見せてもらうと、確かにハンマーで叩いた時よりも気泡が少なく、密度が高くなっているようだった。


「……こいつは、すげぇな」


 ブロアが食い入るように鉄塊を見つめている。


「こんな製法、見たことねぇ。お前さん、知らねぇうちにとんでもない技術を生み出してるぞ。もしかしたら、これで村の鍛冶技術自体が変わるかもしれねぇ」

「そんな、大げさですよ」

「いや、マジだって。これなら、今までよりずっと頑丈で、軽量な武器が作れるはずだ」


 ブロアの興奮した様子に、こちらまで何だか嬉しくなってくる。

 戦うためだけだと思っていたスキルが、誰かの役に立っている。それは、思っていたよりもずっと心地よい感覚だった。自分の力が創造的な面でも活きるなんて、意外と悪くない。


「よし、この調子で素材を仕上げよう。お前さん専用の武器、楽しみにしててくれ。きっといいものができるはずだ」

「はい、よろしくお願いします」


 こうして、俺とブロアの「武器づくり」が、本格的に始まったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ