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ハズレと言われた『磁石』スキルで、俺は世界を無双する。  作者: 小兼


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18話 詮索

「お前、いったい何者なんだ?」


 ロカルドの問いに、俺は一瞬言葉に詰まった。

 正直に答えるべきか、それとも、これまで通り誤魔化すべきか。


「何者って、俺は俺ですよ?今更何を」

「ごまかすな。俺は真剣に聞いているんだ」

「……ただの、迷子です」

「あの洞窟の魔物を一人で倒せる迷子が、どこにいるんだよ」


 ぐぅの音も出ない正論だった。

 ロカルドは別に責めるような口調ではなかったが、誤魔化しを許さない雰囲気があった。


「……正直に言うと、自分でもよくわからないんです」

「わからない?」

「気がついたら、あの森にいて。それまでの記憶も、あんまりはっきりしてなくて……」


 半分嘘で、半分本当だ。

 異世界から召喚された、なんてことを言っても信じてもらえないだろうし、そもそも信じてもらえたとしても面倒なことになりそうな気がする。

 それに、それを言ってしまったら、万が一女神にそれがバレると口封じとしてロカルドが消されるかもしれない。それは本心だ。


 ロカルドはしばらく俺の顔を見つめていたが、やがて小さくため息をついた。


「……まあ、いい。誰にだって、言いたくないことの一つや二つあるもんだ」

「すみません……」

「謝るな。お前が俺たちを助けてくれたのは事実だしな」


 そう言って、ロカルドは少し笑った。

 それ以上は何も聞かれず、ホッと胸を撫で下ろす。


 だが、問題はもう一人いた。


..

.


 その日の昼、村長に集会所へ呼び出された。

 あの、何かを探るような目をしていた村長だ。


「アオイよ。改めて聞きたいのだが」


 村長は穏やかな声でそう切り出した。

 うーん、ロカルドに続いてまたもや嫌な予感!


「お前の、出身地はどこだ?」

「……えっと」

「いや、無理に答えずともよい。ただ、わしも一応、この村の長としてな。お前のような者を村に置く以上、最低限のことは知っておきたいのだ」


 それは当然だろうな。身元不詳の怪しい人物を村に置き続けるわけにはいかない。言ってしまえば、知らない人に金を貸してくれと頼むようなものだ。

 村長の目は、決して責めるような色をしていなかった。

 むしろ、心配しているような、そんな目だった。

 それが、むしろ心に刺さった。


「……正直に言いますと、自分でもよく覚えていないんです。気づいたら、あの森に倒れていて」

「ふむ……記憶喪失、ということか」

「そう、なるんだと思います」


 完全な嘘ではない。ある意味、こっちの世界に来た時点での記憶は曖昧だし、何より「異世界から来た」と正直に言うよりはマシだろう。


 村長はしばらく目を閉じ、何かを考えているようだった。


「……お前のステータス、見せてもらってもよいか?」


 その一言に、心臓が跳ねた。

 な、なんて言った……?


「ステータス、ですか?」

「うむ。この世界では、召喚された者だけがステータスというものを持つと言われておる。それを見れば、お前の素性が少しはわかるかもしれん」


 ……バレてる。いや、まだ完全にではないが、村長は何かを知っている。

 ステータスという言葉が出る時点で、十中八九俺のことを召喚者だと見抜いている。

 誤魔化すべきか、見せるべきか。一瞬迷ったが、ここでさらに誤魔化すと、逆に怪しまれる気がした。


「……わかりました」


 手のひらを上に向け、小さく唱える。


「ステータスオープン」


 半透明の板が現れ、村長の前に表示された。


---


ステータス


アオイ・モチヅキ

種族:人間

年齢:17

レベル:305

体力:15,250/15,250

魔力:15,250/15,250

攻撃力:15,250

防御力:15,250

素早さ:15,250

固有スキル:『磁石』


---


 その数値を見た瞬間、村長の目が見開かれた。


「……これは……」

「……変、ですか?」

「変どころではない。わしの知る限り、この国の騎士団長でさえ、ここまでの数値は持っておらん」


 村長の声が、わずかに震えていた。


「お前、やはり……召喚されし者、なのか」


 核心を突かれ、俺は思わず黙り込んでしまった。

 その沈黙が、何よりの答えになってしまっていた。


「……村長」

「……いや、よい。何も言わずともよい」


 村長は静かに首を振った。


「お前がどこから来たにせよ、お前がこの村を助けてくれたことに変わりはない。わしは、それで十分だと思っておる」

「……ありがとうございます」

「ただし――」


 村長の声が、少し低くなった。


「お前のその力、決して誰彼構わず見せてはならんぞ。世の中には、お前のような者を利用しようとする輩も、少なくない」


 それは、長年を村長として生きてきた人の言葉だった。その言葉は、胸に深く刻み込まれた。

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