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ハズレと言われた『磁石』スキルで、俺は世界を無双する。  作者: 小兼


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15話 捜索

 あの村長、あの地図を渡しやがったのか!?あの全部めちゃくちゃになってるあの地図を!?

 あの地図に描いてある湖(と村長が呼んだ干上がった窪地)は、確か北の方にあった。北といえば、俺が独眼巨人(サイクロプス)やスライムと遭遇した方向だ。

 万が一あのスライムと――いや、スライムでなくとも独眼巨人(サイクロプス)と遭遇すれば、ロカルドでも瞬殺される。

 俺には『磁石』があったため、なんとか倒せたが、普通の人間なら抵抗もできずに殺されるだろう。

 今すぐにでもロカルドに正しい方向を教えに行かないと。


 急いで家に戻り、ナイフを取り出して森へと急ぐ。そんな俺を見た村人が驚きの声をあげている。

 ああ、そういえば村人に受け入れられやすくなるようにするため、戦闘は避けた方がいいんだったな……いや、今はそんなことを言っている場合ではないか。

 今、ロカルド達を助けられるのは、多分俺だけ。俺が、やらないと。


「……さて」


 方位磁石を取りだし、小さな水筒から水を注ぐ。そこへ、針金を浮かべる。

 ……こっちが、東か。だからこっちへ……いや、あの地図に描いてある湖は北にあった。だから、北か。

 まずは、ロカルドから。ロカルドがいなくなれば、あの村の防衛力が大きく落ちる。

 確か、あの地図に描いてある湖は、ここから500メートル行ったところだったか。間に合うといいんだが……。


「ギギギギギ!」


ドンッ!


 目の前に突然、巨大な蜥蜴のような魔物が降ってきた。

 今は夜。魔物が一番活発になる時間だ。そんな時に森に一人でいたら、そりゃ襲われる。

 こいつらはそれほど強くはないが、数で押されてはロカルドでも勝ち目がない。

 早くいかないと。


「ギギギギギギ!」


 おっと、まずはこいつを片付けないとな。


「『磁極付与』」


 その辺の石複数個に、N極付与。


「『磁極付与』」


 魔物の心臓――命核(コア)に、S極付与。


ドスドスドスッ!


「ギギッギギギギ!」


 魔物の体に大量の石がぶつかり、食い込む。放っておけば、石が命核(コア)にまで食い込み、破壊される。

 今は、こんなやつに構っている暇はない。

 早く、ロカルドのところへ――と走り出したのだか、50メートルも進まないうちに。


「ビュルアァァ!」

「ビュ、ビュ!」


 また魔物。数は、11体。

 見た目は、牛のような顔をした鳥。空を飛びつつ、鋭い爪で攻撃を仕掛けてくる。

 想定はしていたが、やはり魔物が多い。クソ、お前らに構ってる暇はねえんだよ!

 ここは一旦無視し、進むことにする。

 攻撃を仕掛けに降りてきた奴だけ殺ればいい。


「ビュルアァァア!」


 2体同時に降りてきた。よし、2体ならさっきの方法でも倒せる。


「『磁極付与』、『磁極付与』」


ドドドドドッ!


 2体に襲いかかる石礫。


《レベルが上がりました》


《レベルが298になりました》


 更に一体、攻撃を仕掛けに降りてくる。だが、1体だけならば余裕だ。

 襲いかかる爪を避け、ナイフを突き刺す。スキルを使うまでもなく、ナイフの一撃で魔物が生き絶える。


《レベルが上がりました》


《レベルが302になりました》


 ――さて、()()だ。ここが、あの地図に描かれた湖の場所。

 ていうか、ここまで全力で走ってきたのに、息切れがしない。むしろ、あと3,4キロほどなら走り続けられそうだ。《素早さ:15,000》の影響だろうか?

 どちらにせよ、好都合。


 さて、ロカルドを探さないと。だが、辺りにはロカルドの姿どころか、人の姿すらない。一体、どこへ――その時、足元の腐葉土が乱れていることに気づいた。何かが引き摺られたように草木が乱れ倒されている。

 そして、その痕跡は、とある方向へと続いている。


 その方向へ進むと、数メートル先の木の根元で、鈍く光る何かがあることに気づいた。

 近づいて拾いあげると、それは剣の折れた先端部分だった。

 長さ30センチほど。刃こぼれが激しく、黒ずんだ液体が付着している。柄の部分はない。

 これは、もしや。


「ロカルドの、剣か……?」


 回りを見渡してみると、倒された草木や幹に刻まれた深い斬り傷。

 そして、地面に散らばる人間の血と思しき赤黒い飛沫が目に入った。

  そして、剣の折れた先端から一直線に続く、何かを引きずったような不自然な溝。

 それは、ロカルドが踏み込んだと思われるルートからは明らかに外れており、より森の奥深く、険しい斜面の方向へと続いていた。

 連れ去られたのか?

 多分、この先にロカルドがいる。とりあえず、この溝を辿るか……。


 斜面を登りきった先に、それはあった。


 鬱蒼とした蔦に覆われた崖肌に、不自然なほどの大きな「穴」が口を開けていた。洞窟だ。

 高さは3メートルはあろうか。入り口付近の地面は踏み固められ、草木はことごとく枯れ、赤い液体――血がついている。

 あの溝と血痕は、この洞窟の奥へと消えている。そして、洞窟の奥深くからは、人間のうめき声のようなかすかな気配が感じられた。


 おそらくここは、ロカルドを捕らえた魔物の巣窟。捕まえた人間を、この中に運んでるんだ。

 だが、何のために殺さず生け捕りにしたんだ?普通に殺したほうが楽だろうに。

 人間(しょくりょう)の備蓄か?それとも――(エサ)?

 (ロカルド)を助けに来た人間を、引き寄せるための?

 どちらにせよ、早く行かねばまずい。考えるのはここまでだ。

 俺は、洞窟の中へと足を踏み入れた――。

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