五章
アランとウェンディは西陽をそれぞれの背に浴びながら、馬で山脈を越えた。
「ここが・・・・・・サファルか・・・・・・」
アランの呟きで、それまで、泣き疲れと馬に揺られた疲れからアランの背に寄りかかるように顔を埋めていたウェンディは、顔を上げた。
「綺麗・・・・・・」
二人が見下ろす麦畑は、夕陽に黄金に染め輝き、秋風に穂を揺らしていた。その姿はまるで、サファルの象徴とされる、たてがみを揺らす獅子のようだった。
ふと目をそらそうとすると、涙が流れるあと少しのところまで来ていたことに気がつけた。
(なんで?―――ほっと・・・・・・したから?)
感動するほどの景色は、立て続けて起こるこれまでにない不運で緊張したウェンディの心をふっと緩めさせたのだ。
(駄目っ!泣いちゃ・・・・・・)
唇を痛いほど噛みしめていた。
(もう、弱くなりたくない・・・・・・!)
「大人にならなきゃいけない」と感じたウェンディはアランの背から手を離していた。
「・・・・・・」
驚いたように、それでいて何処か淋しげなアランに、ウェンディは気がついてなかった。
日も沈み、旅館や夜の店の光で町は明るかった。
二人は泊まるための宿を見つけるために町を目指して畑の間を歩いていた。
そんな時、前方から人声が聞こえた。
「マントとフード、しっかり被っとけよ。さすがに庶民が着るものじゃないからな」
城を抜け出す時に着替えてはきたが、旅装束ではないため、ただの旅人という言い訳は出来そうになかった。
アランが、前方を見ていると、二人の盗賊に絡まれている老人がいた。
彼は、馬を止め、腰に剣があることを確かめると、ウェンディを残して馬を降りた。
「ちょっと待ってろ」
「えっ・・・・・・?アラン?」
そう言うと、アランは馬の鼻面を軽く叩き、歩み寄っていた。
「なぁ、じいさん。金持ってるんだろぉ?さっさと出せよ」
脅されているというのに、老人は平然としていた。
「君らに渡すための金など持っておらんぞ?」
「なんだってっ!力ずくじゃないと分かんないのか?!」
盗賊の一人は、短刀を振りかざそうとしていた。しかし、降り下ろせなかった。
「んっ!?」
盗賊は、背を振りかえると手を押さえていたのは、アランだった。
「お年寄りには優しくするものですよ」
そう言うと、後ろから襲おうとするもう一人を長い足で蹴り飛ばした。
そして、押さえていた手を捻らせて、短刀を落とす。足を引っかけさせ、倒すと、背に捻り上げた。
「痛たっ、たっ、たっ!」
「・・・・・・おじいさん、こいつらどうしますか?」
後ろでのびた男と体の下の男を見て、最初に狙われていた老人に尋ねた。
「未遂では終わったが、この先にある町の警備隊に出してもいいと思うの」
「そうですか・・・・・・あ・・・・・・」
アランの下にいる盗賊も気絶していた。
アランは、盗賊の上から立ち上がり、膝についた泥を落とすと、縄を探そうと盗賊の荷物を物色していた。
その様子をその場にあった切り株に座りながら老人は、見ていた。
「随分な腕前のようじゃな。何処かの騎士かね?」
アランは、手を止めて言葉を選ぶように答えていた。
「・・・・・・いえ。妹と旅をしている・・・・・・放浪の・・・・・・身です」
「その妹さんは?」
「・・・・・・忘れてたっ!」
アランが、来た方を振り返ると、ウェンディは馬を歩かせていた。
「アラン!レディは待たせるものじゃないのよっ!」
フードの下からぷうっと頬を膨らませたウェンディは、アランに叫んでいた。
「すまないー!」
アランがウェンディを紹介しようと、老人を見ると懐かしげな表情を浮かばせてウェンディ
を見ていた。
「・・・・・・ソフィア・・・・・・」
「・・・・・・?母ではありませんよ。あれは、私の妹です」
『ソフィア』というのは、アランとウェンディの母親の名前だったため、アランはそう答えたが、老人はその言葉にも驚いていた。
「母・・・・・・そうか!君らがソフィアの子どもか!」
感動し始めた老人に兄妹は、首を傾げていた。
中途半端なところで切ってしまってすみません。不定期になってすみません。謝ることいっぱいですみません!!
次回も頑張りますので、応援コメント・批評のコメントもよろしくお願いします。




