四章
「若様!姫様!侯爵がっ!」
カレンが大急ぎで二人を呼びに来た。
「どうしたの?!」
「容態が悪化しました!シィーフ様やラスタ様も呼び、話があるとおしゃっていました」
城主の病状の急変によって、城内は人の往来が激しくなっていた。
走り出すほどの勢いで三人は侯爵のもとへ向かった。
「父上」
「お父様」
扉を開けると、侯爵は真っ白な顔になっていた。
「・・・・・・アラン・・・・・・ウェンディ・・・・・・。最後の最後まですまない・・・・・・」
「お父様、ど・・・・・・」
二人は、何を伝えたかったのか分からず、尋ねようとした。しかし、扉の開く音に遮られた。
ガチャ!
「侯爵」
「父上」
シィーフとラスタが入ってきた。
スティーブには、もう起き上がれるほど力が無いのに、最後の力を振り絞って起き上がり、言った。
「アラン・・・・・・ウェンディ・・・・・・民を頼んだぞ・・・・・・」
そして、ダーウィン侯爵は目を閉じ、二度と目を開けることはなかった。
「お父様っー!」
葬儀も終わり、喪服を着た、アランとウェンディは悲しみにくれていた。
会うことはあまりなかったが、血の繋がった両親をもうどちらも亡くし、二人きりになってしまった。
ウェンディはソファに座り込み、顔を手で塞ぎこんで泣いていた。嗚咽を聞くのがつらくなったアランは、ウェンディを慰めようと柔らかい金色の髪を優しく撫でていた。それでも止まらない、というよりもまた新たな涙が流れてきたので、思っていたことを言おうと思った。
「・・・・・・父上は最後謝ってたな。謝ることなんて何もないのに」
「えぇ・・・・・・お父様は・・・・・・私達の・・・・・・たった一人の・・・お父様・・・・・・・なのだから」
窓の外の打ち付けるような滴を降らす雨空は、彼らの今の心のようだった。
ラスタは自身の母親に向かっていらいらした様子を見せていた。
「母上、侯爵は何も言わずに死んだので、ダーウィン領を得ることはできません!」
「得ることなんて簡単よ。あの二人を消せばいいのだから・・・・・・バイン卿」
魔女にぴったりな笑みを浮かべ、バインを呼んだ。
「はい、何でしょうか、シィーフ様」
「明朝。アランとウェンディを殺しなさい」
「はい」
次の朝、バイン卿は隊を連ね、アラン達の部屋へ向かった。
そこには、もうアランもウェンディもいなかった。
「気がついたのね。まぁいいわ。忌々しいあいつらがいない今、私がダーウィン領の領主よ」
その声と共に雷が轟き、ダーウィン領はシィーフによって暗黒の時代になっていった。




