二十一章
王城に入ると、たくさんの人達が出迎えに来ていた。
「セバスチャン!新しい料理が出来たんだ。試食してくれないか?」
「グリンさん!お帰りなさいっ。花、受け取ってください!」
「ねぇ、また手品やってぇ」
みんなの周りには、色々な人々が集まっていた。
(そっか。二年に一回来てるってことは、知り合いもたくさんいるんだ・・・)
異国にいることを改めて意識させられたウェンディはロメルをひき、厩に向かおうとした。
「はぁ、はぁ。レディ・ウェンディですか?」
十二、三の少年が走って寄ってきた。
白いシャツに黒いベスト、それに青いネクタイをした少年だった。周りに似た服装の人が多いことを見ると、使用人の衣装のようだ。
「アラン様からのお手紙をお届けにあがりました」
「ありがとう。君は?」
目の前の少年に微笑みながら、手紙を受け取った。
「先日よりアラン・ウィーダン男爵の侍従をさせていただいている、サジです」
「・・・ウィーダン男爵・・・」
(なんで『ウィーダン男爵』なんて名乗っているんだろう・・・?)
ウェンディの悩んでいる様子を不思議そうな顔で、サジが見ていることに気がついて、笑顔を浮かべて礼を言うと、再びロメルをひいて、厩に向かい、そこで手紙を読むことにした。
ロメルを厩の部屋に入れ、木箱に腰をかけると、ジンも早く読めよ、という表情で隣に座っていた。手紙の封を開けると、アランの気取ったような文字で書かれていた。
我が愛しい妹 ウェンディへ
直接会わずに此のような形ですまない。此の内容は、人に伝わるべきではないから、此の手紙は読んでしまったら、焼いて捨ててくれ。
報告が主に二つある。
別れてから僕は、アレニウス殿の推薦もあり、サファル騎士団に入ることができた。今は、第三分隊にいる。
次は、悪い知らせだ。
サファル軍会議で、ガサラが国交を断絶して、諸外国との平和会議にも参加しなくなったという話が出た。噂では、ダーウィン領主がガサラの王に軍事強化を進言したらしい。
そのため、ダーウィン侯爵の名ではなく、ウィーダンを名乗っている。サジから今の僕の名を聞いたと思うが、男爵の位は、サファル国のゾリム陛下より戴いた。
これから、僕達の秘密にかかわる内容の話は、此のような手紙にして渡す。シィーフの手の者がいるかもしれないからな。
ウェンディもどうか気をつけて。
アランより
二度読み直し、外には聞こえぬように、小声で唱えた。
「・・・フレイム」
手の中に残った炭は風に運ばれた。
(やっぱり大変なんだ・・・)
ふっとウェンディの顔が陰ったが、隣に座るジンに笑顔を向けた。
「この話は、団長に伝えるべきだよね」
ウェンディは、ジンを抱いて厩を出た。
白髪頭の使用人と話しているアレニウスを見つけた。
ウェンディが近づくと、アレニウスも気づいたようで、話を止めてウェンディ近寄ってきた。
「どうしたんだね?」
「団長さん。あの、アランのことについてなんですが・・・」
ウェンディが話始めようとすると、手で話を止め、周りをちらっと見た。
「・・・場所を変えよう」
ウェンディと自分の荷物を近くにいた団員に頼むと城に入った。ウェンディは、スタスタと歩くアレニウスになかば走るようについていった。
アレニウスの部屋は、グリゴール村での部屋が大きくなったようだった。その大きくなった広さも大量の本で埋め尽くされていたが。
アレニウスは、椅子に座るように示すと、話すように促した。
ウェンディが手紙の内容を話終えると、腕を組んで聞いていたアレニウスは、頷いた。
「アランのするようにした方が良かろう」
その後、スッと真っ直ぐにウェンディの目を見た。
「シィーフの間者がいるかもしれないからの・・・気をつけるのじゃよ」
「はい」
ウェンディの隣に座るジンもニャーン、と鳴いた。
色々突っ込みたい部分(シスコン発言とか)はありますが、今回も対談形式カットですみませんorz




